あや跳び、交差跳びの学習ってどうやって進めたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #13】
前回し跳びや後ろ回し跳びなど、短なわ跳びの基本的な技を身につけたら、次に挑戦したいのが、「あや跳び」「交差跳び」です。これらの技を早めに習得できるように学習を進めましょう。ここでは、あや跳び、交差跳びの学習をどのように進めていけばよいかを紹介します。
執筆/新潟県公立小学校教諭・竹松 譲
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
Ⅰ.あや跳び、交差跳びの学習を始めるにあたって
学習を始めるにあたって、子どもたちが使用する短なわの確認をしておきましょう。長さや使用する短なわの種類など、学習を始める前に家庭と連携して準備を進めておくと、学習をスムーズに始めることができます。
なわの準備ができたら、車輪回しなどの様々なバリエーションのなわ回しを経験させましょう。
Ⅱ.あや跳び
1 あや跳びに挑戦
あや跳びは以下の通り、①〜③の動きを繰り返して行います。
①なわが頭を越えたら、おへその前で大きく腕を交差させて跳ぶ。腕を交差したまま、手首の動きでなわを回します。
②なわが頭を越えたら、腕を開き始めます。
③腕を開いたら、前回し跳びをします。
2 こんなときどうしたらいいの?
①「8の字回し」のイメージがつかめない
8の字回し(身体の前で8の字を描くように、右側、左側と交互になわを回す動き)のイメージがもてず、うまくなわを回せない子には、人差し指を立ててグリップに添えるように持たせるのがおすすめです。
「人差し指で8の字を描いてみよう」と声をかけ、人差し指の動きに注目させて8の字を描かせることで、8の字回しのイメージをもちやすくなります。
動きのイメージがつかめてきたら、右手、左手でなわを回し、両手に1本ずつ持った8の字回しも行うとよいでしょう。
②腕を交差するタイミングと、跳ぶリズムが合わない。
腕を交差してリズムよくなわを跳ぶ動きに慣れていない子どもたちにとって、あや跳びを続けるのは難しいことです。そこで、まずは、なわを持たずに「エアーなわ跳び」を行わせ、子どもたちがあや跳びのリズムや動き方に慣れるようにしていきましょう。
初めは腕を交差する動きから取り組ませます。ペアで動きを見合い、「閉じる・開く・閉じる・開く…」と、腕を交差するタイミングに合わせた声をかけるのも動きの習得に効果的です。子どもたちが腕を交差する動きやタイミングに慣れてきたら、前回し跳びのリズムに合わせて跳びながら腕を交差する動きに取り組ませていきましょう。
③腕を交差する動作が小さい
腕を交差する動作が小さくて、なわを跳び越せない子どもがいます。このような場合、ペアでお互いの動きを見合い、アドバイスし合うことで腕を大きく交差する動きにつなげていきます。進め方は以下の通りです。
●見る人は、跳んでいる友達の後ろから、動きを見ます。
●後ろから見て、跳んでいる人が腕を交差したときに、手首が身体の外側に出て見えていれば、大きく腕を交差することができています。見る人は、「手首OK」「手首が見えているよ」と、後ろから手首が見えているかどうかを本人に伝えます。
Ⅲ.交差跳び
1 交差跳びに挑戦
以下のことを意識して交差跳びに挑戦です。
①なわが頭を越えたら、身体のおへその前で大きく腕を交差させて跳ぶ。
②腕を交差したまま、手首の動きでなわを回す。
③大きく腕を交差したまま、2回目以降のなわ回しと跳躍を続ける。
2 こんなときどうしたらいいの?
①なわを回し続けることができない。
まずは跳躍せずに、腕を交差した状態でのなわ回しから取り組ませてみましょう。初めは、片手になわを持ってなわを回します。慣れてきたら、反対の手でも挑戦です。最後は両方の手になわを持って、取り組んでみましょう。
交差跳びのときの手首を回す向きは、後ろ回し跳びと同じ向きです。後ろ回し跳びも十分に経験させておきましょう。
②腕を交差する位置が高い
顔の前で腕を交差すると、交差した手が大きく上下に動いてしまい、引っかかりやすくなります。そこで、あや跳びの学習と同様に、ペアでお互いの動きを観察し、アドバイスし合うことで、へその前で腕を交差させる動きにつなげていきましょう。進め方は以下の通りです。
●見る人は、跳んでいる友達の前から見ます。
●運動中には、「手首で回そう」「手首OK」「おへその前でバッテンだよ」「おへその前OK」などと跳んでいる友達に声をかけます。
必要に応じて、教師がその子の手首を持って一緒になわ回しを行ってもよいでしょう。なお、視線をやや下に向けることで少しかがんだ姿勢になり、へその前で腕を交差しやすくなります。
なわ跳びカードを使って黙々と1人で練習するよりも、ペアでアドバイスし合う学習スタイルをおすすめします。
友達からアドバイスをもらうことで、自己の動きへの気付きが深まり、動きの習得につながります。また、個々で練習するのに比べ、お互いの動きを見合う学習は、集団で学ぶよさも実感させることができます。短なわ跳びの学習を通して、できる喜びと集団で学ぶよさを実感できるようにしていきましょう。
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執筆
竹松 譲
新潟県公立小学校 教諭
1989年新潟県新潟市生まれ。子どもたちがたくさんの「できた!」を積み重ねられる体育授業を目指して、日々研鑽中。体育授業でのかかわり合いを中心として、子どもたち一人ひとりが安心して過ごすことのできる学級づくりを目指している。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子