低学年の長なわ跳びの授業は、何をしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #14】
#12では、1年生の「ゆうびんやさん」と「とおりぬけ」という教材を紹介しました。クラスの全員がなわの中で跳ぶことに慣れ、なわに入るタイミングが分かってきたら、次のステップに進みましょう。今回は、「0の字跳び」と「8の字跳び」を紹介します。なわ回しは、全てなわが上から近づいてくる「かぶり回し」です。
執筆/東京都公立小学校教諭・今田菜美
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1.通り抜けずになわの中で跳ぶ、「0の字跳び」
「とおりぬけ」のタイミングでなわに入り、中央で一度止まってジャンプをし、なわから抜けるのが0の字跳びです。以下の順序で行います。
①「とおりぬけ」のように、なわを追いかけるタイミングでなわに入ります。
②回し手の真ん中で一度止まって、両足で踏み切ります。
③踏み切ったのと同じ位置に着地して、なわにぶつからないように走り抜けます。
④走り抜けたら、点線矢印のように移動して列の後ろに戻ります。
なわに入るタイミングがつかめない子には、なわが地面につく音に合わせて「はい!」や「いま!」と声をかけます。
なわに入ることができても中で跳べない子には、教師や上手にできる子が手をつないで一緒に跳んであげたり、教師が回し手となって跳ばせたりしてもよいでしょう。
また、走ったまま勢いよく跳躍してしまい、着地位置がずれるというつまずきもあります。
このような場合には、回し手を結ぶラインを引いて、ライン上で踏み切って着地することを意識させます。
全員がスムーズに跳べるようになってくると、自然と連続跳びになってきます。0の字跳びの動きだと、8人程度のグループ(跳ぶ子が6人)では間に合わなくなります。ここまで習熟させることができたら、移動距離が短い8の字跳びに進みましょう。
2.「8の字跳び」
長なわ跳びの跳び方として、最も知られているのは8の字跳びでしょう。入門期の授業では、連続跳びで長く続けて楽しむことを課題にするのが適当です。以下の順序で行います。
①跳ぶ子は、回し手の横に並びます。
②回し手はかぶり回しでなわを回します。
③なわをよく見て0の字跳びと同じタイミングでなわに入ります。
④回し手の真ん中でなわを跳び越します。
⑤なわにぶつからないように、反対側の回し手のそばを通って抜けます。
跳躍した後、横方向に抜けてしまう子には、回し手の肩を目指してななめに抜けることを意識させます。また、地面に8の字を描くなどし、動き方を示してあげるとよいでしょう。
なわの後方で跳んでしまう子には、なわの中心で跳ぶことを意識させるために、地面に跳ぶ位置の目印を描いておきます。
#16では、8の字跳びでの連続跳び、そしてむかえ回し(反対回し)を紹介します。様々な長なわ跳びの教材で、子どもたちの「できそう」「できた」といった自己肯定感を高めていきましょう。
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執筆
今田 菜美
東京都公立小学校 教諭
1991年大阪府生まれ。学びの系統性を考えることで、子どもたちの「できそう・できた」を保障する授業を目指して、日々実践中。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子