二重回しの学習は、どのように進めたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #15】
前回しや後ろ回し、あや跳びや交差跳びなどの技ができるようになってくると、子どもたちが挑戦したくなってくる技が二重回しです。二重回しができるようになるには、30秒跳びが70回程度跳べる技能が必要です。今回は、子どもが憧れる二重回しの学習の進め方を紹介します。
執筆/新潟県公立特別支援学校教諭・酒井慎一郎
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1 なわ回しのリズムをつかむ
⑴ ジャンプに合わせて手や腿をたたく
前回しから二重回しに入るタイミングや1跳躍の間に2回旋させるリズムをつかむ練習です。前回しのリズムで「トン・トン・トン」と3回跳んでから、1跳躍の間に手や腿を「パ・パン」と2回たたきます。手は胸の前でたたくようにし、腿は軽くたたきます。1回できるようになったら、続けて3回・5回と数を徐々に増やし、10回程度連続でたたくことができるようにします。
⑵ 片手や両手でのなわ回し
実際になわを持ち、ジャンプとなわを回すタイミングを合わせるための練習です。次のように進めます。
①ジャンプをせずに、片手で2つのグリップを持ち、腰の横で3回「トン・トン・トン」と回した後、2回「ビュ・ビュン」と回します。
②もう片方の手でも同じリズムで回します。
③ジャンプを加えて、「トン・トン・トン・ビュ・ビュン」のリズムでなわを回します。
なわを床に強く当てる感じで回すことや2回旋目の「ビュン」を強く速く回すイメージをつかむことが大切です。ペアで、なわを回す音を聞き合ったり、ジャンプとなわ回しが合っているかを見合ったりしながら学習を進めていくことで意識付けを図っていきましょう。真ん中を切ったなわを使って、両手で練習を進めるとさらに効果的です。
2 腰抜け二重回し
まずは、二重回しを1回跳ぶことに挑戦してみましょう。引っかかってしまうことが多い場合には、次のような練習方法があります。
①前回しで3~5回跳んで調子を整えます。
②膝が胸につく程度にジャンプして、二重回しに挑戦します。
③空中で背中を丸めて小さくなったまま着地をします。
膝が胸につく程度に思い切りジャンプして、空中で背中を丸めて小さくなったまま着地をすることで、滞空時間が長くなり、2回旋目のなわをぎりぎり通過させることができます。着地の際に姿勢が崩れるくらいしゃがみ込んでしまうため、「腰抜け二重回し」と呼んでいます。跳び箱の1段目やジャンピングボードを使って腰抜け二重回しに挑戦することで、二重回しのリズム(特に2回旋目を強く速く回すこと)を早く身に付けることができます。
3 階段二重回し
腰抜け二重回しを含めて二重回しが1回跳べたら、二重回しと前回しを組み合わせた「階段二重回し」に挑戦してみましょう。
①前回しで3~5回跳んで調子を整えます。
②二重回しで1回跳びます。(腰抜け二重回しも可)
③再び前回しを3~5回跳んで調子を整えます(腰抜け二重回しの場合は、しゃがんだ姿勢から立ち上がります)。
④再び二重回しをします(腰抜け二重回しも可)。
⑤これを繰り返します。
腰抜け二重回しを間に挟んだ場合は、しゃがんだ姿勢で着地するため、立ち上がりづらくなってしまうことがあります。その場合は、しゃがんだ姿勢からスタートし、立ち上がってから前回しで調子を整え、腰抜け二重回しへと進めていく練習を行います。しゃがんだ姿勢から立ち上がる動きができるようになると、着地の時に姿勢が崩れたりなわが止まったりしても、なわをゆっくり回して前回しにつなげることができるようになります。
ここでもジャンピングボードを使って練習する中で、二重回しのリズム(特に2回旋目を強く速く回すこと)を意識付けましょう。
階段二重回しが10回できるようになることを目標に練習を進めましょう。
4 連続二重回し
階段二重回しが5~10回できるようになると、二重回しが連続でできるようになります。二重回しのポイントは次の通りです。
①両脇をしめて肘を固定し、なわを腰の横で回す。
②なわを床にたたきつけるように回す。特に、2回旋目を強く速く回す。
③前を見て、つま先で跳ぶ。
1回目は跳べても、2回目のジャンプになると引っかかってしまう場合は、ジャンピングボードで練習をするとよいでしょう。ジャンピングボードでジャンプ力をサポートしてもらうことで、余裕をもってなわを2回旋させることができ、連続二重回しのリズムを身に付けていけます。連続で2回跳ぶことができるようになると、回数がどんどん増えていきます。まずは、2回連続で二重回しができるように練習を進めましょう。
また、「後ろ二重回し」や「あや二重回し(はやぶさ)」にも挑戦することで、二重回しのバリエーションが広がり、豊かななわとびの学習につながります。
どの子も「できそう」「できた」「もっとやりたい」と感じられる二重回しの学習になるように、少しでもお役に立てたら幸いです。
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執筆
酒井 慎一郎
新潟県公立特別支援学校 教諭
1979年 新潟県見附市生まれ。小学校や特別支援学校において、運動に苦手意識や抵抗感のある子どもの指導・支援に重点を置いて研鑽中。新潟学校体育研究会幹事。『「資質・能力」を育成する体育科授業モデル』(共著)(学事出版)等、共著・雑誌原稿等執筆多数。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子