楽しく基礎感覚・技能を高めるにはどうしたらいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #99】

体育の授業でどんな運動に取り組むにしても、基礎感覚づくりは欠かせません。基礎感覚・技能を養うためには、運動に繰り返し取り組むことが必要になります。
しかし、単なる繰り返しでは子どもたちにも飽きがきて、“楽しく” ない授業になってしまいます。そんなときに役立つのが 「じゃんけん〇〇」です。〇〇には運動の名前が入ります。子どもたちが大好きなじゃんけんと運動を組み合わせることで、楽しく取り組める教材になります。
これまでも本連載では、関所じゃんけん、じゃんけんじぞう、ふとん干しじゃんけん<#22><#52>、よじのぼりじゃんけん、じゃんけんグリコなど、じゃんけんと運動の組み合わせ教材を紹介してきました。今回のじゃんけん○○もこれらの仲間です。特別な場や設定なしですぐに取り組めて、ゲーム的に楽しめる教材で、子どもたちの基礎感覚・技能を高めることができます。
執筆/千葉県公立小学校教諭・大野達生
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川譲
目次
1、じゃんけん〇〇の魅力!
子どもたちが好きな「じゃんけん」を加えることで、繰り返し行う運動が楽しい「ゲーム」になります。
体力・技能的にはいつも負けてしまうような子でも、じゃんけんが入れば勝負に勝つ可能性が出てきます。じゃんけんという偶発的要素が入ることでみんなが意欲的に取り組める教材になります。
2、じゃんけん〇〇のやり方
じゃんけん〇〇は以下のような流れで行っていきます。
①相手を見つけてじゃんけんをする。
②勝った子が指定の運動を行い、負けた子は運動の補助(相手)をする。
③終わったら別の相手を探し、またじゃんけんをする。
④一定の人数に勝ったらアガリとし、集合場所に行く。
ここでのポイントは、運動を、じゃんけんに負けた“罰ゲーム”としないことです。必ず「勝った子が運動をする」ようにすることで、運動をしないままアガリになる子が出ないようにします。
また、次のようなアレンジも可能です。
⚫︎アガリまでに必要な勝ち数を調整する
⚫︎チーム戦にして「制限時間内に多く集まったほうが勝ち」とする
⚫︎慣れてきたら、「ケンケン」や「スキップ」など移動の仕方も指定する
学級の実態や身につけさせたい技能に応じて柔軟に対応できるのも、この教材のよさです。
3、じゃんけん〇〇の例
①じゃんけん手足走り
負けた人は体育座りをする。勝った人はその周りを手足走りで3周する。

②じゃんけんうさぎ跳び
勝った人はうさぎ跳びで10歩進む。負けた人は歩数を数える。
体育座りの子の周りを跳んでもよい。

③じゃんけんカエルの足打ち
勝った人はカエルの足打ちを10回やる(合計で10回足が打てればよい)。
負けた人は数を数える。

④じゃんけんトンネルくぐり
負けたほうが手をついてトンネルをつくり、勝ったほうがそれを5回くぐる。
水泳の学習で、負けたほうが脚を開いてトンネルを作り、それをくぐるといったアレンジもできる。

次に紹介する運動は、事前に折り返しの運動などで十分に技能を高めてから行いましょう。技能が高まっていない状態で行うと、怪我の危険性があります。児童の実態を把握し、安全に配慮して行いましょう。
⑤じゃんけん手押し車
勝ったほうが手をついて10歩歩く。

⑥じゃんけん馬跳び
負けたほうが馬をつくる。勝ったほうはそれを10回跳ぶ。
無理のない高さで行うこと。絶対に助走しないこと。隣とのスペースを確保して行うことなどを確認しておきましょう。

⑦じゃんけんトンネルくぐり(ブリッジver.)
負けたほうが手をついてトンネルをつくり、勝ったほうがそれを5回くぐる。
全員が、ブリッジができるようになっていれば取り組めます。

⑧じゃんけんグーパージャンプ
負けたほうが長座の姿勢から脚を開いたり、閉じたりする。勝ったほうはタイミングを合わせて10回ジャンプする。

4、チーム戦
2で紹介したじゃんけん〇〇のやり方は個人戦になりますが、チーム対抗にアレンジすることもできます。同じチームの子を応援する声が自然と出て、個人戦とは違った盛り上がりが見られるでしょう。
初めに2手に分かれて準備をします。

それ以降の流れは同じです。一定時間時間内に集合場所へ集まった人数が多いチームが勝ちとなります。

2チームに分ける方法は様々だと思います。男女対抗の場合は、発達段階に応じて運動に配慮するとよいでしょう。
他にも、身長順でつくった体育班で競い合う方法もあります。
5、最後に
基礎感覚・技能を高める運動にじゃんけんを取り入れることで、子ども同士の自然な関わり合いが生まれ、授業の雰囲気も明るくなります。また、小さな勝ち負けを日常的に経験することで、勝敗を受け入れる心も育まれます。
さらに、手軽で楽しい活動であるため、休み時間に子どもたちが自主的に取り組む姿も見られるでしょう。こうした積み重ねが、基礎感覚づくりや運動経験の充実につながっていきます。
【参考文献】
・眞榮里耕太(2017)『写真でわかる運動と指導のポイント 体つくり』大修館書店
・平川譲(2018)『体育授業に大切な3つの力 主体的・対話的で深い学びを実現する教師像』 東洋館出版社
・齋藤直人(2021)『対話でつなぐ体育授業51』東洋館出版社
イラスト/佐藤雅枝
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執筆
大野達生
千葉県公立小学校教諭
1999年千葉県市原市生まれ。子どもたちの「できた!」を大切に。子ども同士が関わり合い、互いの成長を喜び合える授業を目指して、日々実践中。

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
