「ゲーミフィケーション」とは?【知っておきたい教育用語】

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ゲームデザインの要素をゲーム以外に活用する「ゲーミフィケーション」が注目されています。この「ゲーミフィケーション」を教育の分野に応用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

執筆/宮城教育大学教育学部准教授・板垣翔大

「ゲーミフィケーション」とは

「ゲーム」って楽しいですよね。気がつけばついつい時間を忘れて没頭してしまっていることがあります。それはなぜかというと、ゲームを作る側の人がプレイする側の人に楽しんでもらえるように工夫して設計・開発しているためです。そういったゲームデザインの要素をゲーム以外のものにも用いることを「ゲーミフィケーション」といいます。例えば、ゲーミフィケーションは以下のように整理されています。

・競争や運、模倣、非日常性といった遊びの要素を土台とする

・日常生活の文脈とは異なるゴールとルールに規定され、参加者が起こした行動や判断に対し、その成否や優劣の結果が可視化されてフィードバックされるという性質を持つ

・参加者は強制されず、自発的な意志で活動に参加する

『ゲーム要素を取り入れた授業デザイン枠組の開発と実践』藤本徹

これを教育にうまく応用すれば、ゲームのように楽しみながら学習することに繋がります。

教育に対するゲーミフィケーションの利点

教育の分野においてもゲーミフィケーションの考え方で、学習者のやる気を引き出す要素があります。
例えば…

●他の人に勝ちたい
●自分の学習が良かったのか悪かったのかに応じてフィードバックが得られる
●達成したことに応じて獲得できるバッジをすべて集めたい
●間違いや失敗があっても実生活には影響がない
●運によっても得られる結果が変わる

単に、テストを受け、解答したものを採点されて点数を伝えられるだけよりも、運の要素があったり、コレクションをコンプリートしたり、「勝って嬉しい」「負けて悔しい」といった要素があったりすると、学習も楽しくなり意欲が高まりませんか?

先生から「丸」よりも「花丸」をもらいたい、より高い点数をとりたい、友達や過去の自分に勝ちたい、失敗してもチャレンジしたいなどの気持ちに後押しされて、チャレンジし続けたくなることもゲーミフィケーションによるものと言えます。

教育に対するゲーミフィケーションの留意点

一方で、学習のゲーム性だけに終始しては本末転倒です。本来の目的は学習目標を達成することです。どれだけ楽しく学習しても、目標を達成できなければ意味がありませんし、教える側だけでなく、学ぶ側もそのことをメタ認知したいところです。

その際、いかに楽しんで学習できたかではなく、本来の学習目標を達成できたのかを適切に評価することが重要であり、「ルーブリック」による評価で指導者と学習者の両方が形成的に評価することが望まれます。

▼参考資料
藤本徹(PDF)「ゲーム要素を取り入れた授業デザイン枠組の開発と実践」(2015)

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