「学校施設」とは?【知っておきたい教育用語】

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新型コロナ感染症の影響もあって学校施設のあり方が問われていますが、学校は社会状況の変化をふまえ、絶えずさまざまな課題に対応していかなければなりません。学校は、子どもたちが学ぶ場として、そして一日の大半を過ごす場として、最も重要な所なのですから。

執筆/国士舘大学准教授・堀井雅道

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「学校施設」とは

学校施設とは、一般的に「校舎」や「運動場」、「体育館」等をさします。法令では、小学校と中学校、高等学校でそれぞれ「学校設置基準」に定められています。

すなわち、最低限「校舎に備えるべき施設」が定められており、「教室」と「図書室、保健室」、「職員室」がそれにあたります。また、「その他の施設」として「校舎及び運動場のほか、体育館を備えるものとする」と示されています。

なお、2021年9月24日公布の特別支援学校の設置基準では、他学校種の上記に加えて「自立活動室」を備えなければならないとされています。

このように学校施設は学校教育を成り立たせる不動産的な物的条件です。

「学校施設」の一般的基準とその指針

上記の設置基準では、学校施設の一般的基準が示されています。すなわち、指導上、保健衛生上、安全上、そして管理上の適切性があげられており、それらが学校施設としての必要条件といえます。

その上で、具体的なあり方については、文部科学省が学校種に応じて「学校施設整備指針」を示しています。この整備指針は学校教育をとりまく社会的状況をふまえて数度にわたり改訂されてきました。

これまでの改訂のねらいは、少子高齢化に伴う学校施設の複合化、学校の事故防止や防犯・防災機能の強化、特別支援教育の推進等にありました。

2019年3月の改訂では、新学習指導要領への対応、ICTを活用できる施設整備、インクルーシブ教育システムの構築や地域との連携・協働の促進等がポイントとなっています。

学校施設のあり方は社会的状況をふまえつつ、指導上、安全上、管理上の適切性を向上させるために変化しているのです。

今日的課題とそれへの対応

文部科学省は2021年8月20日「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について」(中間報告)を公表しています。この中では「学び」を軸に「生活」「共創」、そして「安全」「環境」という5つの方向性から、 新しい時代の学校施設のあり方はどうあるべきかを探っています。

この中間報告なども参考にしながら、学校施設の今日的課題はどこにあるか、そしてそれらの課題にどう対応するかを考えてみます。

新学習指導要領とICT活用に向けた指導上の課題

子どもの主体的・対話的な学びの実現に向けて、子どもの協働的な学習活動の展開も期待されていますが、学校施設には十分な空間的余裕が必要です。今日、少子化や35人学級に向けた法令改正による学級の少人数化に伴い、既存の教室でも少しずつ空間的余裕がでてきていますが、今後さらなる改善が求められます。

小・中学生に1人1台のタブレット等の端末が配備されることになった今日、子どもたちが端末と同時に教科書やノート等を置いて学習するには、机の大きさが不十分との声が聞かれます。しかし、机を大きくするには現在の1学級あたりの児童生徒数や、教室の広さでは不十分なのです。加えて、教室で端末を使用する際のインターネット環境も乏しいという声も聞かれます。まさに、学校施設の指導上の適切さが問われているのです。加えて、文部科学省の中間報告では、学校施設の柔軟性や快適性も求められています。このような課題について、学校は積極的に意見交換しつつ、学校設置者に条件整備を求めていくことが必要です。

安全上の課題

今日、学校施設は耐震化や新改築等により安全性が高まりつつありますが、学校施設に起因する事故もあります。たとえば、校舎からの転落・落下死亡事故です。そのような事故防止のためにも、立ち入りを防ぐための落下防止柵や、落下した場合の死亡リスクを下げるための防護ネット等の設置が求められます。また、校舎のガラスに衝突する事故も頻発していますし、ガラスは大きな地震の発生時には凶器になります。強化ガラスが使用されていない校舎のガラスには飛散防止フィルムを貼るなどの対策が必要です。昨今では、校舎の外壁や庇等の落下による事故も起こっています。

このような学校施設について、学校には安全点検(学校保健安全法施行規則第28条・29条)と、子どもの安全確保上、学校で対応できない場合には校長が学校の設置者へ申し出ること(学校保健安全法第28条)が法令で定められています。

他方、特別支援教育の推進や学校の防災機能の強化の観点からは、学校施設の「バリアフリー化」をはじめ、障害の有無を問わず子どもから高齢者まですべての人びとが安全に利用しやすい「ユニバーサルデザイン」の視点にもとづく整備や改善が求められています。

このような課題に対応するためには、子どもや地域住民の視点による学校施設の「安全点検」も有効と考えられます。

新型コロナウイルス感染症と衛生管理上の課題

新型コロナウイルス感染症については、「3密」を回避することが感染防止対策として有効であるとされていますが、学校は日常的に「3密」であることが問題となりました。これを受けて、小学校35人学級の実現に向けた法改正が行われ、中学校の35人学級化の検討も政府の方針で示されています。これにより、密集・密接をある程度解消するというものですが、「密閉」に対応する換気問題があります。教室の窓やドアを開ければ解決できるという考えもありますが、気温や騒音等によっては、子どもや教職員の学習・教育活動を妨げる場合もあり、指導上の課題ともいえます。

今後、新型コロナウイルス感染症のみならず、インフルエンザ等による感染拡大を防止する上でも、空調・換気設備の整備が必要です。

▼参考資料
文部科学省「小学校(中学校)施設整備指針」(2019年3月)
文部科学省「新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方について(中間報告)」2021年8月20日
文部科学省「近年の災害から学ぶ避難所となる学校施設について:バリアフリー化の取組事例集」(2020年3月)
文部科学省「学校施設の維持管理の徹底に向けて─子供たちを守るために─」(2020年5月)

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