「ICT環境」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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GIGAスクール構想などにより、学校現場におけるICT環境の整備が進みつつあります。ICT環境は単に機器を整備するだけではなく、それをどのように活用していくかが肝要です。各学校での学びに合わせた適切なICT環境整備が求められています。

執筆/麗澤大学准教授・中園長新

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コミュニケーションを支えるために

ICTとは、Information and Communication Technologyの略であり、一般に「情報通信技術」と訳されます。工学的な印象を和らげ、人と人とのつながりを重視していることを強調するために「情報コミュニケーション技術」と訳すこともあります。いずれにしてもICTは、私たちのコミュニケーションを支える重要な技術であり、情報社会においてその整備や活用が重要視されています。

学校教育における「ICT環境」とは、コンピュータなどのICT機器を教室や授業に取り入れて活用する環境のことです。ICTの「C」、すなわち児童生徒同士のコミュニケーションや、教師と児童生徒のコミュニケーションを意識した環境整備が必要です。

ICT環境に含まれる具体的な機器などには、たとえば次のようなものが考えられます。

  • 教育用コンピュータ、校務用コンピュータ
  • 大型提示装置(プロジェクタ、大型テレビ、電子黒板など)
  • ネットワーク環境(インターネット、校内LAN)
  • 校務支援システム、授業支援システム
  • クラウドサービス
  • デジタル教科書(指導者用、学習者用)

ICT環境の整備

ICT環境に含まれる機器などは高価なものも多いため、環境整備は計画的に進めることが重要です。

文部科学省は2014~2017年度の「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」や、2018~2022年度の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を策定し、ICT環境の整備を推進しています。5か年計画の中で学習者用コンピュータは「3クラスに1クラス分程度整備」すなわち「3人に1台」を実現するための予算措置が講じられました。

その後、2017・18年改訂告示の学習指導要領において、小学校プログラミング教育をはじめ、情報教育の充実が図られることとなりました。これを受けて文部科学省は2019年12月に「GIGAスクール構想」を発表し、2023年度までに「1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」の実現を達成することを目標に掲げました。なお、1人1台端末については、「3人に1台」の部分は5か年計画、残りの「3人に2台」の部分がGIGAスクール構想による予算措置となっています。

2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的拡大を受けて、全国の学校では臨時休校やオンライン学習などが行われました。こうした社会情勢を受けて、文部科学省はGIGAスクール構想の計画を見直し、原則としてすべての自治体が2020年度中、すなわち2021年3月までに1人1台端末を整備することとなりました。調達するのに難航した自治体があるものの、2021年3月末までに96.5%の自治体で納品が完了しており、学校のICT環境は一気に整備されました。

ICT環境整備の実際については、日本教育情報化振興会が毎年刊行している「先生と教育行政のためのICT教育環境整備ハンドブック」などが参考になります。

「どのように活用するか」を意識した環境整備を

環境整備の際は「整備したものをどのように活用するか」という視点が欠かせません。整備して終わりとするのではなく、整備したものを効果的に活用することが本質だからです。せっかく導入したICT機器が使われなければ、整備した意味がありません。

たとえば「電子黒板を導入したが、画面が小さすぎて授業で活用できない」といったことにならないためには、電子黒板を活用する授業場面をあらかじめ想定し、その場面に見合った大きさの機器を導入すべきでしょう。また、GIGAスクール構想のように上意下達の状態で環境が整備される場合は、導入した環境をいかに活用していくか、学校現場の力量が問われることになります。

ICT環境の整備や活用については、すでに多くの事例が書籍やインターネットを通して公開されているので参考になります。

たとえば、「フューチャースクール推進事業」(総務省、2010~2013年度)や「学びのイノベーション事業」(文部科学省、2011~2013年度)における実証校での成果があります。

最近では、GIGAスクール構想によって整備されたICT環境を活用するヒントを集めた「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)」のウェブサイトなどがあります。

GIGAスクール構想では、1人1台端末を家庭など学校外で活用することも想定しています。今や学校におけるICT環境は、校内だけでなく、校外での活用も意識して整備・運用していくことが必要です。

コロナの影響で、学校が臨時休校したり、オンライン授業に移行せざるを得なくなったりしましたが、これからもそのような状況になることは十分に考えられます。GIGAスクール構想で端末が整備されても、それがうまく活用されていなければ、子どもたちの学びを保障することは困難です。各学校には、ICT環境の効果的な活用を絶えず検討していくことが求められています。

▼参考文献
文部科学省(ウェブサイト)「ICT環境の整備
総務省(ウェブサイト)「フューチャースクール推進事業
文部科学省(ウェブサイト)「学びのイノベーション事業
文部科学省(ウェブサイト)「学校のICT環境を整備しましょう!(教育のIT化に向けた環境整備4か年計画)
文部科学省(ウェブサイト)「学校におけるICT環境の整備について(教育のICT化に向けた環境整備5か年計画)
日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)「先生と教育行政のためのICT教育環境整備ハンドブック2021」
文部科学省(ウェブサイト)「GIGAスクール構想の実現について
文部科学省(ウェブサイト)「StuDX Style(スタディーエックス スタイル)

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