「深い学び」を実現する単元・授業づくりを考えることが重要【次期学習指導要領「改訂への道」#54】

前回から、教育課程企画特別部会や総則・評価特別部会などの委員として審議に携わってこられた、東京都大田区立志茂田中学校の青海正校長(全日本国中学校校長会顧問)に、審議まとめを受けてお話を伺っています。今回は、改訂に向けたポイントと共に、最後に現場の先生方へのメッセージなどを紹介していきます。
目次
小学校では総合的な探究の時間のうち、35時間程度で情報の領域として実施
情報活用能力に関する内容も大事なポイントの1つでしょう。
現行学習指導要領では、情報活用能力が総則にも示され、技術科だけでなく他教科でもタブレット端末などが多様に活用されてきました。しかし、現実には重複して指導されている部分や逆に抜け落ちている部分があるのではないかということで、情報・技術ワーキンググループで議論をして見直しが図られ、知識・技能やモラルなどについて整理をしました。
その結果、小学校では総合的な探究の時間のうち、35時間程度で情報の領域として実施することになりましたが、当然、専門で学んできていない教員は不安になるでしょうから、動画などの教材を提供することになっています。
中学校は現在、技術科があるため、新しく情報・技術科としてリニューアルすることで、内容が充実、整理(資料1参照)されますし、それによって他教科との重複や抜け落ちが解消されるのはよいことだと思います。そのように発達段階ごとに指導内容が整理されて、まとめられたことは好意的に受け止める教員が少なくないでしょう。
この情報活用能力に関する改訂については、審議過程で、「改訂が10年ごとであれば、技術や社会の現実がどんどん変わるから、加筆や修正をしていくことが必要」という話も出ていました。もちろん大きく遅れてしまうことは問題かもしれませんが、情報技術関連にはリスクの面もあるので、急いで新しくして活用させればよいというわけではなく、慎重に考えなければならない部分もあるだろうと思っています。しかし、10年は変えないのではなく、新しいところは加筆、修正をしていくことも必要だろうと考えています。
資料1


教員も「主体的・対話的で深い学び」をしていくことが求められている
ここまで、審議まとめの中で、教員が気になるだろうと思うポイントについて触れてきましたが、私自身は、やはり現場の教員にとっては「深い学び」の実装が重要だと考えています。
冒頭でもお話しした通り、現行でも「主体的・対話的で深い学び」を求めてやってきたわけで、それは変わりません。ただ、これまではイメージしやすい「主体的」「対話的」とは異なり、「深い学び」だけはそれぞれのイメージにズレがあったり、イメージできないという人がいたりした点が課題だったと思います。
そのため、学習指導要領の一層の構造化と表形式化、デジタル化などによって深い学びを考えるための手がかりにしています。さらに、「知識・技能」の「統合的な理解」と「思考、判断、表現等」の「総合的な発揮」など、具体的な姿も示しています。それを手がかりにしていただくとイメージしやすくなるのではないかと思います(資料2参照)。
資料2


さらに、それを実現するためには、ゆとりも必要ですから環境整備をしていくわけで、そこまで同時に審議し、「実現可能性の確保」として環境整備を行うことが示されているのも大きなところです。
実際、教室内に目を向けると、何らかの配慮や支援が必要な子供が半分以上存在する場合もあります。そのような子供たちも包摂しながら「『主体的・対話的で深い学び』の実装」をするには、どうしてもこの環境整備が必要です。現場を支える「人、物、金」が必要なわけで、それもしっかり示しています。
ですから、現場の教員がやるべきは「深い学び」を実装することです。それ以外のことは考えなくてよいというわけではありませんが、例えば、調整授業時数制度なら、あくまでもオプションですが、管理職や教務主任などが中心になって考えればよいように、それぞれがそれぞれの立場に応じて考えていけばよいのです。
現在「教員ごと、学校ごとに教育の質に差が出るのではないか」という不安の声も出ています。そうならないよう、行政は環境整備を行うわけですが、現場では、すべての教員が実力を付けることが必要です。ベテランも1年目の人も、担任を持っている以上は同じ責任を担うのですから、その責任に対して恥ずかしくならないように学び続けなければなりません。そのためには校内研修も必要ですし、自己研鑽も必要でしょう。ただ与えられたことだけをやっているのではなく、教員も「主体的・対話的で深い学び」をしていくことが求められているのです。
