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「同調圧力」に支配されない学級づくりの方法とは?【先行研究から学ぶ 学級経営の極意Ⅳ①】

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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章

子供が多様な他者と関わりながら、必要な資質・能力を身に付けるために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、先行研究を例に挙げながら、子供のよりよい成長を促す学級経営の方法について解説します。第1回は、「同調圧力」について解説します。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章

「同調」とは、自分の意見や行動を他者の考え方に合わせることを意味しています。その「同調」が「圧力」になると、集団内での意見や行動に関して、少数派が多数派に合わせるように暗黙のうちに強制されるという状態になります。

このことは、学級においても、意見や行動の成否、善し悪しにかかわらず、多数派がその集団の考えを支配してしまうことになり、学級経営上の課題が生じてきます。学級内において、自分の考えをもっている子供がいても、無言の圧力によってそれを表現できないということも考えられます。

そこで、「同調圧力」に支配されず、少数意見も大切にする学級経営を行うに当たって、次の3つのキーワード「同調圧力に関する先行研究」「同調行動・同調効果の認識」「同調圧力に支配されない学級経営」でチェックしてみましょう。

CHECK① 同調圧力に関する先行研究

「同調圧力」に関する先行研究として、1956年にアメリカの心理学者ソロモン・アッシュ(Solomon Eliot Asch)が発表した集団行動についての研究を取り上げます。

ソロモン・アッシュの実験の基準線と比較線

【実験例】
男子大学生8人を被験者としました。グループで半円形に並んで座ります。8人のうち7人の学生が実験者の決めた偽りのサクラで、1人だけが被験者でした。
上図の3つの比較線のうち、どれが基準線と同じ長さと思うかについて、1人ずつ口頭で回答するという実験です。

実験は18回繰り返されました。その結果被験者の全回答の「37%」がサクラ役の間違った回答(多数派の回答)に同調することが分かりました。

実験の結論として導かれたことを確認します

この実験では、正しい回答に対する報酬や間違った回答への罰もありませんでした。被験者がサクラの間違った回答に同調してしまった理由として次の2つが提唱されています。

(1)自分の意見が間違っていると考えた可能性
サクラ役の満場一致の回答に直面して、被験者は自分の意見が間違っていると考えた可能性があります。実験後になぜ間違ったのかを尋ねたところ、数人は実際にそのように回答していたということです。

(2)多数派に同調して受け入れられようとした可能性
被験者が多数派の判断に同調することで、多数派に受け入れられようとした可能性があります。これは、サクラがいない状況では正しく判断していたことから分かるとされています。集団からの同調圧力は、全員一致である場合に強く働き、それと異なる意見を述べることが難しくなることを示しています。

CHECK② 同調行動・同調効果の認識

「同調行動」とは、集団において、周囲の意見や行動を受け入れて同じように行動することを指します。同調行動は、同調圧力を受けた結果の行動と捉えられます。「同調効果」とは、無意識に自分の考えや行動を周囲に合わせてしまう心理効果のことです。これも、同調圧力を受けた結果による心の動きと捉えられます。両者の特質を踏まえて「同調圧力」について配慮した、よりよい学級経営を展開していきましょう。

同調行動・同調効果の特質を踏まえます

「同調行動」には、次のようなメリットとデメリットがあります。

【メリット】
・集団内の団結力が高まり、集団の目標達成に貢献する。
・他に迷惑をかけないようにすることが、個人のモチベーションにつながる。
・他に合わせることにより、人間関係が円滑になる。

【デメリット】                                         
・他の意見に左右され、自分の正しい判断ができにくくなる。
・多数派に合わせることで、自分の選択肢が少なくなり、不自由さを感じる。
・一人一人の個性が発揮しにくくなり、新たなことに挑戦する意欲が低下する。

「同調効果」には、主に2つの要因があります。   

1つ目は、「規範的影響」と呼ばれ、集団の一員として嫌われたくないという欲求から自分の意見や行動を周囲に合わせる心理のことを指します。

2つ目は、「情報的影響」と呼ばれ、確かな情報がない場合や判断に自信がない場合に、他者の意見を頼って同調する心理のことを指します。

日本人にとって「同調圧力」が強く感じられるのは、集団の秩序や調和を重視する「和の文化」が根づいていることや歴史的な「村社会」の文化などの影響が考えられるとされます。また、場の空気を読むことや協調性を重視した教育による「調和を大切にする価値観の形成」にも原因があると考えられます。

これらの特質を踏まえ、学級経営上どのような視点をもって指導するかについて構想を立案していきましょう。 

CHECK③ 同調圧力に支配されない学級経営

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