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不登校の子どもたちの受け入れ方を、在校生も一緒に考える! フリースクール入学初日に大切な5つのこと

2026年9月1日、小・中学生が通う「花メン」に、27名の新入生がやってきました。花メンとは、「花まるエレメンタリースクール(小学生部門)」と「花まるミドルスクール(中学生部門)」の総称・略称で、不登校を経験した子どもたちが通うフリースクールです。年度途中での入学も受け入れている花メンですが、2026年のこの日は、例年より多くの新しい仲間たちを迎えました。

PBLの司会進行は6年生が担っていました。
PBLの司会進行は6年生が担っていました。

その前日、8月31日に行われたのが、新入生を迎えるためのPBL(Project Based Learning)です。
その学習の中で、在校生たちは新しい仲間を迎えるために、どんな話合いをしていたのでしょうか? 今回は、その様子をレポートします。

子どもたちが最もエネルギーを注いで考えたことは?

結論からお伝えすると、「新入生27名と、誰がどのようにつながるのか?」ということです。

花メンでは入学前に、子どもと保護者が、ハヤトカゲこと林隼人校長と面談をします。保護者がハヤトカゲと話をしている間、面談に来た子どもと一緒に過ごすのは在校生と他の先生たちです。

9月1日の新入生受け入れに向けた前日学習では、「どんな子だった?」という大人の問いかけを受け、実際にその子と一緒に過ごした在校生たちが、自分の言葉で様子を具体的に伝えていきます。

もちろん、大人(先生たち)の側にも事前に得ている情報はあります。ただし、あくまで話の主体は在校生です。大人は必要なときに、必要なことをさりげなく補足していました。

話を聞いている側の在校生たちは、新しい仲間に興味津々です。

レゴが好き。ポケモンが好き。マイクラが好き。サッカーが好き。工作が好き――。

新入生についての情報が共有されるたびに、子どもたちから次々と声が飛びます。
「おっしゃー!」と雄たけびが上がったり、「あ、それなら○○がいいんじゃない?」と誰とつなげるかについての具体的な提案が挟まったりして、なかなかの忙しさ(笑)。

新入生一人一人の学年や好きなものなど、迎え入れるためのキーワードを黒板に書き出していく。
新入生一人一人の学年や好きなものなど、迎え入れるためのキーワードを黒板に書き出していく。

子どもがメンターになる

花メンには、新しく入ってきた子たちに「子どもメンター」を付ける仕組みがあります。一緒に過ごしたり、困っているときに声をかけたり、時には泣いている子のそばに寄り添ったり。2026年度は、一人の新入生に対して3人程度のメンターを決めていきました。

興味深かったのは、単純に「話が合いそうな子」をマッチングしているわけではないことです。先生たちが「この子だったら、こういうタイプの子が合いそう」と新入生との相性を考えるのはもちろん、メンター同士の組み合わせも見て決めていきます。

例えば、メンター候補に挙がった3人を見て、「タイプが似すぎじゃないか?」と考え直す場面もありました。女子の新入生のメンターとして、在校生の女子2人の名前が挙がると、ハヤトカゲが「男子も入った方がいいな」と指摘し、「妹が欲しいと思っている男子、誰かいる?」と在校生に対し声をかける場面もありました。

さらに、「Aがキーマンになって、bはサブね」といった具合に、それぞれの子がチームの中でどんな役割を担えそうかまで想定し、考えていきます。新入生一人一人のために、小さなサポートチームを編成しているようでした。

先生たちが在校生一人一人の個性や強みを熟知しているからこそ、「誰を付けるか」だけではなく、「誰と誰を組み合わせると、どのような化学反応が起こるか」まで考え、予測することができます。
こうして、新しい仲間を迎えるための小さなチームが、一つ、また一つとできあがっていきました。

かつては大人だけでやっていた

この光景には、見覚えがあります。2025年4月、新年度を迎える前に取材した際には、メンターの組み合わせを考えていたのは大人(先生たち)だけでした。「この子には誰が合うだろう?」と、スタッフたちだけで知恵を絞っていたのです。

2025年4月の新入生を迎え入れるためのスタッフ会議
2025年4月の新入生を迎え入れるためのスタッフ会議

あれから1年半。そのプロセスに在校生が加わっているのを見て、思わずスタッフのウタコさんに、「子どもたちでメンターの顔ぶれを考えるようになったのって、いつからですか?」と聞いてみました。

ゼロベースで子どもたちに考えてもらったのは、今回が初めてです。

1年半前には、大人だけで考えていた新入生を迎える仕組み。それを今、子どもたち自身が考え、担い始めています。花メンは、先生たちが子どもたちを育てるだけの場所ではありません。先生たちと子どもたちが、一緒につくっている学校です。1年半前には大人だけが担っていたことを、今は子どもたちも担っている。その光景を見ながら、学校も、子どもたちと一緒に育っているんだなと感じました。

不登校の子を受け入れる初日に大切な5つのこと

ハヤトカゲは、子ども達に次のような問いかけもしていました。

新しく入ってくる子のために、「これ、必要だな」って思うこと、ある?

次々と手が挙がりました。

入ってきてすぐ、「なんで花メンに来たの?」「なんで不登校になっちゃったの?」って聞くと、ちょっと気まずくなっちゃう。

内輪ネタで盛り上がらないようにする。

大人数から話しかけられると疲れちゃう…。

最初の自由時間が怖かった。


確かに!

「やるべきこと」が決まっている授業中とは違って、自由時間には、何をしていいのかわからない。誰といればいいのかわからない。そんな時間こそ、新入生にとって心細いのかもしれません‥‥‥。

すると、すかさず子どもたちから声が上がりました。
「だったら、『一緒に遊ぼう』って声をかけよう」
「『一緒に行く?』って聞けばいいんじゃない?」自分たちが新入生だった時の不安だった経験を手がかりに、「じゃあ、自分たちに何ができる?」まで考えていく――。大人から「こうしてあげて」と指示されるのではなく、子どもたち自身から具体的な行動が次々と出てきました。

さらには、初めて花メンに来た日のことを、こんなふうに振り返る子もいました。

みんな、花メンに入った後のことを言ってるけど、入る前が一番怖い。

ハヤトカゲは「確かにな~!」と、しみじみ相槌を打っていました。私も、この言葉がとても印象に残りました。

新しい場所へ行く。知らない人たちの中へ入っていく。ましてや、一度「学校に行けない」という経験をしている子どもたちです。建物の中に入ってしまえば何とかなるかもしれない。でも、そこまで辿り着くことができない。

だったら、途中から誰かが一緒に来ればいいんじゃない?

じつは2025年4月、先生たちもまったく同じ発想をしていました。「新入生が学校まで辿り着けないかもしれない」と考え、最寄り駅へ迎えに行くスタッフを配置していたのです。1年半前は大人たちが考えていた「駅で待つ」という支援を、今は子どもたち自身が自分たちの経験から考え出していました。

かつて辛かったり、心細かったりした経験の一つ一つが、今、新しい仲間を迎えるための知恵となっているのです。

ここまでの子どもたちの言葉は、フリースクールだけでなく、不登校を経験した子どもを地域の公立学校で迎える際にも大きなヒントになるのではないでしょうか。
今回の取材で子どもたちの声から見えてきたことを大きく5つにまとめてみます。

不登校を経験した子どもたちの声から考える「登校初日に大切な5つのこと」

  1. 不登校の理由を、すぐには聞かない
    「なんで不登校になったの?」と聞かれること自体が負担になることがあります。理由を聞くのは、本人が話したくなってからで遅くはありません。
  2. 大人数で一気に囲まない
    歓迎する気持ちがあっても、たくさんの人から一度に話しかけられると疲れてしまう子もいます。まずは少人数で、静かに関われる環境を。
  3. 授業より「自由時間」に気を配る
    やることが決まっている授業より、「何をしてもいい」休み時間のほうが困ることもあります。「一緒に行く?」「一緒に遊ぶ?」と声をかけてくれる人がいるだけで、安心につながります。
  4. 教室に入る「前」から支援を考える
    子どもにとって最も高いハードルは、教室の中ではなく、校門や昇降口の手前にあるかもしれません。学校に辿り着くまでの動線を子どもたちの目線で考えてみます。
  5. 本人の経験を「弱み」だけで終わらせない
    「怖かった」「困った」「どうしていいかわからなかった」。そんな経験は、次に同じような思いをする子の気持ちを想像する力になります。かつて自分を苦しめた経験が、誰かを支える時の「強み」になるかもしれない。そんな視点を持って関わることで、その子が今、経験していることの意味も変わっていくのではないでしょうか。

不登校を経験した子どもだからこそ、見えることがあります。花メンの子どもたちが教えてくれたのは、「何をしてあげるか」だけではなく、「この子には、今、世界がどう見えているだろう?」と想像することの大切さなのかもしれません。

保護者に「効く」子どもの一言

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