【中2・数学「算額をつくろう」】自ら問いをつくり、解決することで数学の楽しさを知る[前編]〈デジタル×深い学び〉
今回紹介するのは、埼玉県久喜市立鷲宮東中学校の数学科授業。井上孝行教諭による、2年2組の授業レポートです。テーマは「算額をつくろう」。クラウド上のホワイトボード「FigJam」を使い、生徒一人ひとりが自分だけの問題づくりに挑みました。

この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の40回目です。記事一覧はこちら

埼玉県久喜市立鷲宮東中学校
「私が あなたが みんなでつくる鷲宮東中学校」をめざす学校像とし、学校教育目標である「自律・尊重・貢献」の具現化や、すべての生徒が学ぶ意義を感じる支援の研究を行う。2026年度からは教育課程特例校として「未来創造科」を設け、生徒の「非認知能力」や「探究的に学ぶ力」を育んでいる。
目次
オリジナルの問題づくり「算額」に挑戦
「算額」とは江戸時代後期の文化で、難しい数学の問題が解けた記念に、その問題を記した絵馬を神社や寺に奉納したというもの。奉納された算額を見た人が、さらに別の問題をつくって新たな算額を奉納する――。こうした「解く→新しい問いをつくる→また解く」というサイクルが、当時の和算のレベルを押し上げていったと言われています。
この授業で生徒たちが取り組むのが、まさにこの「算額」づくり。これまで授業で解いてきた問題の条件を生徒自身が変え、新しい問題をつくって、その答えと説明までを考えるという活動です。
「数学の問題をただ解くだけでなく、解いた後に振り返って、『ここからさらに、こういうことが言えるのではないか』と考える態度や力を育てたいんです」と井上教諭は授業のねらいを語ります。以前から紙ベースで取り組んできたこの活動を、近年はICTと組み合わせる形で発展させてきました。

FigJamで他者参照しながらアイデアを広げる
今回の授業で課題として出されたのは以下の4つの問題。生徒はこのうちいずれか一つを選び、問題の条件を変えて、新しい問題をつくっていきます。
1.カレンダーで横3つの数の和はいつでも3の倍数になることを説明しよう
2.奇数と奇数の和は、いつでも奇数になることを説明しよう
3.2けたの自然数と、その数の十の位と一の位の数を入れ替えた数の差は、いつでも9の倍数になることを説明しよう
4.どちらの方が面積が大きいですか?(下記画像参照)

じゃあ、まずは10分間、自分で頑張ってみよう。どうしても困ったら、友達の考えを参考にしてもいいですよ。
●指導のポイント
FigJam最大の利点は、席を立たなくても友達の考えをのぞくことができること。「どんな問題をつくればいいか分からない」と手が止まった生徒も、友達の画面をヒントにすることができ、活動のハードルがグッと下がります。
生徒たちが問題づくりに取り組む間、井上教諭は机の間を回りながら、FigJamの画面で生徒全員の進捗を確認します。「手が止まっている子、白紙のままの子など、机間指導だけでは見落としてしまう状況にいち早く気づけるのがいちばんの利点です」と井上教諭は語ります。教師にとってもFigJamは“もう一つの目”として機能しています。
