【小4・理科「自然の中の水の姿」】子供が問いを立て、学び方を選ぶ理科の授業[2回目]〈デジタル×深い学び〉
前回は、東京都板橋区立板橋第六小学校、小4・理科「自然の中の水の姿」(秋葉翔指導教諭)における授業準備を紹介しました。今回はその第2回として、実際の授業の様子をレポートします。理科室の窓の写真をきっかけに、子供が自ら問いを立て、それぞれの方法で実験を進めながら学びを深めていく姿をレポートします。

この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の39回目です。記事一覧はこちら

東京都板橋区立板橋第六小学校
学校目標は、「自律心をもち、『学び・心・体』の自立を目指す子」。近隣の中学校、小学校とともに、9年間のつながりを意識した教育を進め、学力の定着と中学校への滑らかな接続をめざしています。
目次
[授業のはじめ]
2枚の写真から
子供たちの思考が走り出す
授業は、教卓の周りに子供を集めるところから始まりました。秋葉先生が見せたのは、理科室の窓を写した2枚の写真です。1枚は昼、もう1枚は夜に写したものでした。
こちらは昼、こちらは夜の理科室の窓の写真です。あれ? 曇ってるね?
なんだろう……。見えにくいね。
秋葉先生が写真を見せて問いかけると、一部の子供はすぐに自分の席に戻り、自分で問題を考え始めました。秋葉先生は、教卓の近くに残った子供と対話を続けます。
2枚の写真は何が違うかな。明るさかな。どうして見えづらいんだろう。実際に窓を見てみようか。

曇ってるんだね。この正体はなんだろう?
湯気かな…?
今まで学びを使うと、見えているものは何だと言えそうですか。気体は、目に見えるんだっけ?
水蒸気!
水蒸気は気体なので、目に見えないですね。見えるってことは、これは何だろう? どういうことなのかな?
秋葉先生は、これまでの学びを振り返りながら、子供が「水はどこから出てきたのだろう」と自分で問いを見いだせるように話を進めていきます。教卓の周りで先生の話を聞く子がいる一方で、席に戻って考え始める子も少しずつ増えていきます。問いづくりは、教卓の周りだけでなく、教室全体へ広がっていきました。
[授業のなか]
それぞれが選んだ方法で実験が進む
でも、学びは教室全体でつながっていく
授業が動き出すと、子供は一斉に同じ実験をするのではなく、それぞれの予想に応じて実験を考え、始めていきました。空気を閉じ込めようとする子、冷やし方を工夫する子、条件を変えて確かめようとする子など、教室のあちこちで思い思いの実験が進みます。子供は、それぞれのペースで実験をしたり、結果をもとに話し合ったりしながら、学びを深めていきました。
秋葉先生は、子供の間を絶えず回りながら声をかけていました。その内容は答えではなく、「前回どうだったかな?」「どんなときの結果からそう言えるのかな?」と、次の一歩が見える問いかけです。答えを急がず、子供が自分で考えを前に進められるよう支えていました。
また先生の手元には、前時までの子供全員の学びのメモがありました。先生は、そのメモをもとに子供へ声をかけていきます。表現が苦手な子には聞き取りながら言葉を引き出し、結論までたどり着いた子には「いつでもそうかな?」「違う場所でもできるかな?」と問い返す。子供がそれぞれのペースで学びを進めていても、学びが教室全体で深まっていくのは、一人一人のつまずきや強みをふまえた見取りと支えがあるからでした。
前時までの子供の学び
●Aくん:表現が苦手なので、聞き取って記述する。「水蒸気」という言葉を定着させたいので、「どうなった?」と聞いて回る。
●Bさん:問題解決を進めているが、データの不足がある。進捗を確認する。
●Cくん:既習の実験から予想を考え、「水滴=水に戻った水蒸気」と考察ができた。
一見すると自由に見えるこの授業も、子供が思いつきで動いているわけではありません。子供が自分で考えを深めるための足場が、丁寧に用意されていることが伝わってきました。






