授業力を高めたい!⑤ ~授業のテンポ~

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板書や指導のコツを伝授!樋口綾香の「すてきやん通信」【隔週水曜20時更新】

大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 研究の仕方が分からなかったり一人では不安だったりする先生に向けて、授業力を高めるための手段や考え方についてお伝えするシリーズをお届けしています。今回は、1時間の授業のテンポと展開について考えます。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

イラストAC

テンポがよい授業とは

「授業のテンポがよい」あるいは「テンポが悪い」と授業参観後に言われたことはありませんか。授業のテンポとは授業の進む速度のことで、「テンポがよい」とは、「曖昧さやモタモタした感じがなく快いさま」を表します。

この「テンポのよさ」は、授業力と大きく関わり合うと私は感じています。子供たちが生き生きと学習に向き合い、楽しみながら力をつけていく授業をするためには、どのようなことを心がけるとよいのでしょうか。

授業のテンポを上げる4つの秘訣

授業を観察していて、テンポがよいと感じる点は、次の4点です。

  1. 授業者の指示が短く、的確である。
  2. 活動の時間や方法が明確で、子供の動きがきびきびしている。
  3. 教材に向き合うなどの「静」の時間と、話し合いながら考えを形成していく「動」の時間のメリハリがある。
  4. 活動がつながり、子供たちが多くの意見をやり取りしながら終末に向けて考えを深めていく様子が分かる。

1~4について詳しく解説します。

①授業者の指示が短く、的確である。

授業者の指示が短く、的確であるためには、「目標」と「手立て」を明確にしておく必要があります。1時間の授業でどのような力をつけるのか(目標)、それはどのような方法で身につけることができるのか(手立て)を熟考し、子供たちの思考がスムーズに流れるように意図して活動を考えます。授業者が子供の立場で授業を構想しない限り、テンポのよい授業にはつながらないのです。

②活動の時間や方法が明確で、子供の動きがきびきびしている。

活動の説明をするときにも、説明は短く、的確であることが肝要です。さらに、「活動時間」や「活動形態」についても授業者は配慮する必要があります。

たとえば、

「1場面の大造じいさんの心情について話し合いましょう」

と指示を出したとします。

この指示を受けた子供たちはどんなことを考えると思いますか。

  • 誰と話し合ったらいいのだろう。
  • 1場面の大造じいさんの心情って、どこに書いてあるのかな。
  • ノートに書けばいいのかな。教科書に書き込むのかな。

授業者からの指示が曖昧だと、子供たちは、「よし! すぐに話し合うぞ!」とはならずに、活動の方法や順序に不安や疑問をもつことがあります。これが、活動に取り組むまでの間を生み出し、曖昧でモタモタとした状態になってしまいます。

このような状態を引き起こさない解決策として、3つの方法があります。

  1. 活動の時間をはっきりと伝える。
  2. 活動の形態とその意義を伝える。
  3. 活動のゴールを示す。

これらを取り入れると、先ほどの指示は次のように変わります。

「1場面の大造じいさんの心情について、ペアで話し合います。時間は10分間です。まず、教科書の1場面をペアで音読しながら大造じいさんの心情が表れていると思う言葉や文に線を引きましょう。そのあと、ペアでより詳しく話し合い、気づいたことをノートに書きます。質問はありますか。では、始めましょう」

重要なのは、子供たちが迷わないように、子供の立場で考えながら、授業者の頭の中に描かれているイメージを、子供と共有することです。活動の度に小さなゴールを示すとよいでしょう。

③教材や問題に向き合うなどの「静」の時間と、話し合いながら考えを形成していく「動」の時間のメリハリがある。

45分間の中に、「集中して取り組む時間」と「活発に意見をやり取りする時間」を、意識的につくることを大切にしています。

教室にはいろいろな子がいます。静かに学ぶ中で自分の考えがまとまっていく子もいれば、他者と話したり、他者の意見を聴いたりする中で考えがつくられていく子もいます。また、1つの活動が長時間続くと、離席したり、集中が途切れてしまったりする子もいます。

「静」と「動」、どちらか一方だけの授業にならないように授業を組み立てることで、多様な子供たちにフィットする学習の進め方ができるだけでなく、行動にメリハリができ、参加率も高まります。

④活動がつながり、子供たちが多くの意見をやり取りしながら終末に向けて考えを深めていく様子が分かる。

授業者は、②や③で挙げた活動を、ただの「点」ではなく、つながりあって「面」になっていくように組み立てます。そして、もっとも大切なのは、学んでいる子供たち自身が、活動のつながりから思考が広がり、深まっていくことを実感することです。

授業者の意図があり、子供が活動に意義を感じて学ぶことに意欲的になると、子供の学ぶ速度を加速させることができます。

授業のテンポを上げる秘訣は、授業力と大きく関わりあっていると思いませんか。みなさんも、スピード感を意識して、授業づくりに臨んでみてください。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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