「EdTech」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】

GIGAスクール構想の実現に向けた取り組みが進められる中、EdTechの注目が高まっており、国もさまざまな施策を展開して教育ICT化の促進を図っています。

執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

みんなの教育用語

テクノロジーを活用して、より質の高い教育を提供

「EdTech」とは、「Education(教育)」と「Technology(科学技術)」を組み合わせた造語。2010年頃にアメリカで生まれました。科学技術を活用して教育や学びの形を変えていくこと、あるいはそれを支援するサービスやツールのことを指します。文部科学省では、「教育におけるAI、ビッグデータ等の様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組」と整理しています。

EdTechサービスには、コンピュータやタブレット端末、スマートフォンといったICTを活用した学習コンテンツをはじめ、授業や教材作成を支援するシステム、学習を管理・支援するツール、オンラインやオンデマンドでの授業動画配信、英会話、プログラミング教育、さらには教員と児童生徒のコミュニケーションを促進するものなどが幅広く含まれます。EdTechの市場規模は拡大し続けており、今後さらに拡大すると予想されています。

Society5.0の実現に向けた国の施策

GIGAスクール構想の背景としてもあるように、日本は科学技術を活用した教育が海外と比べて大きく遅れているという実態があります。そんな中、政府が取り組むSociety5.0の実現に向けた施策「未来投資戦略2018」の中で、「AIやビッグデータ等を学校現場等で活用(EdTech)することが有効」などと示された頃から、教育ICT化のキーワードとして注目されるようになりました。

文部科学省は、EdTechの活用推進を目的として、2018年に「新たな時代に対応するためのEdTechを活用した教育改革推進プロジェクトチーム」を発足し、「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」を公開。EdTechを先述のように定義し、「児童生徒と教師にとって使いやすく、教育の質の向上につながるものでなければならない」と示しました。

GIGAスクール構想と両輪で教育のICT化を促進

国の施策としてほかには、経済産業省が2018年に教育産業サービス室を新設し、「『未来の教室』とEdTech研究会」を設置。「未来の教室」の目的はEdTechを用いて個別最適化された学習環境を提供することにあり、その実現のための議論と実証事業を進めています。

さらに経済産業省では、EdTechツールの導入補助により学校等教育機関および学校等設置者と教育産業の協力による教育イノベーションの普及を支援する「EdTech導入補助金」事業を展開。EdTech導入の面的普及をこれまで以上に推進するため、導入実績が少ない自治体への支援を重点的に行います。

このように、文部科学省が推進するGIGAスクール構想でICT環境を整備し、経済産業省が実施する「EdTech導入補助金」で教育サービスを充実させるという形で、国がハードとソフトの両面からバックアップし、各自治体、各学校でICTを活用した教育改革が進められています。

▼参考資料
内閣府(ウェブサイト)「未来投資戦略2018」
文部科学省(ウェブサイト)「Society5.0におけるEdTechを活用した教育ビジョンの策定に向けた方向性」
経済産業省(ウェブサイト)「「未来の教室」とEdTech研究会」
経済産業省(ウェブサイト)「EdTech導入補助金2022」
野村総合研究所(ウェブサイト)「ITナビゲーター2020年版」
佐藤昌宏『EdTechが変える教育の未来』(インプレス)

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