小2算数「たし算」指導アイデア(10/10時)《できるだけ大きな答えになるひっ算をつくろう》
執筆/富山県公立小学校教諭・前田正秀
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、 前富山県公立小学校校長・中川愼一
目次
本時のねらいと評価規準
(本時10 / 10時 単元末の発展的な学習)
ねらい
2けたのたし算の筆算について学んできたことを生かして、問題を解決する方法を考える。
評価規準
筆算の仕組みを生かして、和を大きくする方法について考えている。(数学的な考え方)

問題場面
□の中に数カードを入れて、できるだけ大きな答えになるひっ算をつくりましょう(同じ数カードは2回使いません)。

□の中に数カードを入れ、答えができるだけ大きくなる筆算をつくります。子供たちは、「は使わないほうがいいな」「まずは、
や
を入れてみよう」などと考えながら、試行錯誤します。そして、近くの友達と「僕は77になったよ」「私は86になったよ」と楽しく競い合うことでしょう。
そのうち、「95ができた!」「これが一番大きな答えだ!」 という声が上がることでしょう。しかし、ここですぐに教師が納得してはいけません。
「本当に?」「絶対に95が一番大きいのかな?」などととぼけてみせます。そうすることで、子供が「だって…」と理由を語り始めるのです。
学習のねらい
答えをいちばん大きくする方ほうを考えよう。
見通し
- 大きい数カードの
から順に十の位の□に入れていけばよさそう。[方法の見通し]
- 答えは、90よりは大きく、100よりは小さくなりそう。[結果の見通し]
- 一番大きい答えを見付けるだけでなく、その筆算のつくり方を考えて説明していこう。[学び方についての見通し]
自力解決の様子
A つまずいている子
大きな数の5と4をたされる数に使ってしまっている。
B 素朴に解いている子
十の位に大きな数を入れるとよいことに気付いている。
C ねらい通りに解いている子
十の位に大きな数を入れれば、同じ位の数は入れ替えてもよいことに気付いている。
学び合いのポイント
話合いでは、答えだけでなく、その理由を語らせることが大切です。
一番大きい答えは、95です。
本当に、95が一番ですか。
95が一番です。や
を十の位に入れたら、答えが95より小さくなるからです
十の位にできるだけ大きいと
、一の位に次に大きな
と
を入れるのが一番大きいです。
十の位に入れたは50、
は40のこと。十の位に大きな数を入れたほうが答えが大きくなります。
ノート例
なかには、「違う筆算の式でも、答えが95になったよ」という子がいるはずです。答えが95になる筆算の式は、下の4種類あります。
ここでは、4種類の筆算を洗い出すことに力を注ぐだけではなく、「どうして、同じ答えになるのでしょう」と投げかけ、子供たちが理由を考えるように仕向けることが大切です。
理由を説明し合うなかで子供たちは、どの筆算も分解すると「(50+40)+(3+2)」になっていることに気付くことでしょう。このような「位ごとに分けて計算して、後からたす」という考えは、計算の基本となる考えです。理由を説明し合うなかで、筆算の仕組みを改めて捉え直すことができるわけです。
本時のまとめ
- 十の位により大きな数を入れると、答えが大きくなる。
- たされる数とたす数の同じ位の数を入れ替えても、答えは同じになる。
評価問題
答えを一番小さくする方ほうを考えよう。
解答
など
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
「十の位により小さな数を入れると、答えが小さくなります」など、理由を述べることができる。
感想例
- ひっ算はくらいごとに計算するから、十の位により大きな数を入れると、答えが大きくなります。
- 2番目に大きな答えも考えてみたいです。
イラスト/松島りつこ・横井智美
『教育技術 小一小二』 2020年4/5月号より