小4算数「小数倍」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・中山貴仁
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
本時13/15時
ねらい
「基準量を1としたときにいくつに当たるか」という拡張した「倍」の意味について理解する。

評価規準
小数は、量を表すだけでなく、倍を表す場合があることを理解している。(知識及び技能)
小数倍の意味について図などを用いて考え、説明している。(数学的な考え方)
(黒板に黄と赤と青のリボンの図と表を貼る)
黄のリボンを基にすると、赤や青のリボンは何倍ですか。
黄は基にするから1とみるんだったね。
数直線をみると、黄を1とみたとき、赤は2にあたるから2倍、青は3倍だね。
わり算で求めると、40÷20=2で赤は黄のリボンがちょうど2個分、同じく青は3個分です。
そうですね。では、緑はどうでしょう。
(緑の図と表を提示する)
50÷20=2.5と計算はできるけど、2.5倍って小数で表していいのかな。
学習のねらい
倍を表す数が整数にならないときの表し方について考えよう。
見通し
子供はこれまでに、整数÷整数=整数倍である場合を学習しています。赤と青のリボンは整数倍になり、既習であるため、これらが何倍かを求めることで、数直線に表わすと考えやすいことや、基にする量でもう一方の量を割れば何倍かを求めることができることを確かめます。
自力解決では緑のリボンに焦点を絞り、数直線を用いて黄のリボンの2~3倍の間に答えがあることを見通し、数直線を使って説明をしていくことを確認します。
自力解決
※黄と緑のリボンのみの図を子供に渡すと、考えやすくなります。
A つまずいている子
見通しが立たず、手がつかない。
B 素朴に解いている子
黄を基にしたとき、緑のリボンは2倍と半分になっていることから、2.5倍と表せると考える。
C ねらい通り解いている子
数直線に0.1ずつ補助線を入れ、「20を1とみたとき、50は2.5にあたる」ことを図と式を関連付けて求めている。
学び合いの計画
本時は「もとにする量を1とみて、比べられる量が何こ分にあたる」かだけでは端数が出てしまうので、基にする大きさを10等分して0.1にあたる大きさを考えることが必要となります。導入では、整数倍ではイメージしやすかったものが、小数倍ではイメージしにくいことに着目をさせ、どのようにしたら倍を用いて表わせるか考えるようにします。計算だけで求めるのではなく、数直線上で操作をしながら倍を小数で表す意味を考えていくことで、小数倍の理解が深まります。見通しが立たず、手がつかない子供には、数直線の2倍と3倍の間を10等分することで、小数で表すことを理解しやすくするため、下のように補助線が入った図を提示しましょう。

本時の子供のノート例
※数直線の図を活用しましょう。

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
「2.5倍」はどのような意味ですか。
2倍と3倍のちょうど真ん中ということです。
20cmを1とみたときに、50cmが2.5にあたるということです。
2倍と3倍の間を10等分すると、2.5倍になることがよくわかります。
倍を小数で表すときも、考え方は整数のときと同じだね。
※数直線の操作と説明を関連付けて行いながら、子供の考えを深めていく。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
・2.5倍というのは、20cmを1とみたとき50cmが2.5にあたることをいう。
・何倍かを表すときにも小数を使うことがある。
評価問題
黄のリボンの長さをもとにすると、白のリボンの長さは、何倍ですか。数直線を使って説明しましょう。
子供に期待する解答の具体例
30÷20=1.5
黄のリボンを1とみたとき、白のリボンは1.5にあたる。

感想例
・何倍を表すのに小数を使ってもよいことがわかりました。
・身近ないろいろなもので「何倍になるか」を調べたい。
イラスト/小沢ヨマ
『教育技術 小三小四』2020年1月号より