子どもの主体的な姿を引き出す指導のアイデア【音声つき】

連載
古舘良純の「つぶやききれなかったこと」

岩手県公立小学校教諭

古舘良純

「なりたい姿」について子どもたちに聞いてみても、曖昧な答えしか返ってこないこともあるかもしれません。子どもたちとの関係も深まった学年のまとめの時期には、「こんな○○は嫌だ」の切り口から、子どもの思考を刺激してみるのも効果的です。

若手教師から絶大な支持を得ている古舘良純先生が、Twitterではつぶやききれなかった思いを語る音声つき連載をお届けします。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

https://youtu.be/N2wooArSDAQ

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つぶやききれなかったポイント3つ

このツイートにも、つぶやき切れなかったポイントが3つあります。

1 「終わりが見えている」から伝えられる

1つ目は、「終わりが見えている」から伝えられるということです。

4月から、「こんな○○は嫌だ」という考え方では、教室がネガティブになっていく気がします。

やはり4月は、ある程度抽象度が高くても、目標となる言葉を示し、その具体的な姿を教師が価値づけていく必要があるでしょう。

しかし、停滞期を迎えがちな11月頃、そして3月に向かう冬休み明けなどは、いよいよポジティブワードだけで乗り切れなくなってくることがあります。同じことの繰り返しで子どもたちも慣れてしまっているからです。

思考に刺激を与え、逆転の発想から考えてみるための「こんな◯◯は嫌だ」という切り口にしているのです。

良くも悪くも、子どもたちは「あれがだめ」「これはいけない」と、学校生活のNG事項をたくさん知っているものです(たくさん注意を受けてきているのでしょう……)。

だから、4月当初にこの方法で切り込んでしまっては、少し品のない話に広がってしまったり、それがNG行為を助長してしまう形に発展したりする可能性があります。

あくまで、子どもたちとの関係性の中で、子どもの思考を膨らませる一助として行っていくと考えてください。

2 「何のために考えるのか」という目的意識を持つ

2つ目は、「何のために考えるのか」という目的意識を持つことです。

子どもの思考を膨らませるために行うとすれば、その目的が必要になります。

「何のためにこのNGを考えているのか」ということです。

このツイートは6年生、卒業生を意識して考えていますが、例えば、「こんな掃除は嫌だ」とか「こんな授業態度は嫌だ」など、汎用性があると思います。

あくまで、「こうあったらいいな」という望ましい姿を子どもたちの口から出させたいのです。自分たちで理想の姿を語り合うというのは、子どもたちの主体的な姿を引き出します。また、自分の口で言ったこと、自分たちで決めたことに関しては、子どもたちはきちんとルールを守ろうとします。そうした姿を目指しているのです。

さらに、教師側の目的としても、トップダウンで指導しないことや頭ごなしに注意しないことなど、子どもファーストかつ子どもを主語にした指導方法を考えることができます。

「そうだね」「確かにね」「なるほどね」と、子どもに共感的に接することもでき、関係性を育みながら指導することができます。

特に、卒業を間近にした6年生にとっては、担任が伴走者として寄り添うことができるのです。

3 抽象的な言葉も必要

3つ目は、「抽象的な言葉も必要」であるということです。

このツイートでは、この先の展開が書かれていませんが、このまま指導が終わるわけではありません。

この後、「こんな◯◯は嫌だ」から、「ではどんな姿を目指すのか」という逆転の姿を考え、引き出します。

さらに、それらをある程度グルーピングし、抽象度の高い言葉で束ねます。

そうすることで、具体的な「行動目標」と、その行動がもつ「意識目標」が明確になるのです。

例えば、「挨拶をする6年生」「廊下歩行が落ち着いている6年生」「話が聞ける6年生」などは、「相手を大切にできる6年生」のようにまとめます。

すると、「相手を大切にできる」とは他に何があるか? を考えることもでき、前向きで具体的な指導に発展させることも可能になるのです。

切り口はネガティブであっても、最後に子どもたちの心が「やるぞ」「頑張るぞ」となっていなければなりません。

そうしていくための、指導のアイデアとして受け取っていただけると幸いです。

みなさんの教室でも、ぜひさまざまな形で実践してみてください。


https://youtu.be/N2wooArSDAQ

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古舘良純先生寄り
古舘良純先生

古舘良純(ふるだて・よしずみ)
岩手県久慈市出身、北海道教育大学函館校出身、菊池道場岩手支部代表、バラスーシ研究会所属、共著『授業の腕をあげるちょこっとスキル』(明治図書出版)、平成29年度千葉県教育弘済会教育実践研究論文にて最優秀賞を受賞

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