学級活動(1)「比べ合う」「まとめる」話合い活動とは

学級活動(1)「比べ合う、まとめる段階」について解説します。

執筆/福岡県公立小学校教諭・西村仁志

学級活動(1)  比べ合う、まとめる段階

生活の問題を解決するための話合い

学級会で話し合う段階を示すことがあります。

「出し合う」 
意見を出す段階。

「比べ合う、まとめる」
意見の思いや願いをわかりあいながら、みんなで合意形成を図る段階。

決める→実践する

学級会では、話合いを上手にすることをねらいとするのではなく、生活の問題を解決するために話合いを行います。話合いの技能を鍛えることは、国語科を中心とした各教科の時間で指導をしましょう。

話合い活動の特質について

比べ合う、まとめる段階でどのように合意形成を図るのか、実際の学級会をもとにポイントを確認していきます。

議題
みんなで楽しいカラオケ大会にしよう。

提案理由
歌うことが好きな人だけではなく、歌うことが苦手な友達も含めてみんなが楽しくなるようなカラオケ大会にしたいと思い、提案しました。

活動の全体計画

目的を明確にする

「何のための話合い」なのかを提案理由で明らかにします。

「何のための話合い」なのかを提案理由で明らかにする

決まっていることを明確にする

学級会の話合いでは、準備期間や場所など活動内容を見通したものを示しておきましょう。それが合意形成の判断基準にもなります。

決まっていることを明確にする

グラフや資料などの根拠をもとに話し合う

高学年では、客観的なデータ(グラフの数値など)と提案理由から意見をつくることも考えられます。

グラフや資料などの根拠をもとに話し合う

意見のまとめ方の例を示しておく

全員が少しでも納得に近づく方法を示します

  • それぞれの意見を合わせる。
  • よいところを取り入れて、新たな考えをつくる。
  • 縮小して全部行う。
  • 優先順位をつける。
  • 考えを変えて、意見を変える。
  • 条件をつけて賛成する。
  • 多数決で決める。

多数決を用いる場合は、お互いの主張をわかりあい、それでも決まらなかった場合に、全員に確認をすることが大切です。

例「十分話し合い、お互いの意見の理由がわかったので、多数決をとって決めてもいいですか」

板書

「楽器を使うかどうか」についての子供の発言

C1「私は楽器を使うに賛成です。理由は苦手な人も歌いやすくなると思うからです」
C2「質問があります。どんな楽器を使いますか」
C3「タンバリンやトライアングルなど音楽室にある楽器を使ったらいいと思います」
C4「それだと、声が小さい人の歌が聞こえないと思うから、反対です」
C5「それなら、楽器を使うときに友達に合わせて音の大きさに気をつけて使うのはどうですか」
C6「私もC5さんの意見なら賛成です」
 〜その後もやりとりが続く〜
司会「質問や反対意見がないようなので、音楽室にある楽器を使うことは決定します。ただし、声が小さい友達のときにはあまり大きな音を出しすぎないように気をつけて使いましょう」

国語科を中心に身につけた話合いの技能を学級会で生かすようにする

賛成や反対を述べ合うだけでなく、「意見のやりとり」をして考えの違いをわかりあうことや、互いの意見のよさを生かして納得するまとめ方を身につけさせましょう。授業でできることを紹介します。

話し合う子供たち
  • 1往復以上の「意見のやりとり」を多く経験させる。
  • 立場を明確にした話合い活動をする。
  • グループで司会や記録の役割を設定し、学習問題について話し合い、意見をまとめる。

授業で指導したことを「学級会で生かしてみよう」と助言したり、「いろいろな話合い場面でも使えそうだね」と言葉をかけてみましょう。各教科で身につけた話合いの力を生かすことで、学級生活をよりよくする学級会となっていくはずです。

イラスト/高橋正輝

『教育技術 小五小六』2021年2月号より

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