通知表記入に備える!4月スタート「日々の見とり方」

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学習指導要領に合わせた通知表記入を行うには、年度はじめから子供のどこを観察しておけばよいのでしょうか。以前新潟市教育委員会で、指導主事(算数)として先生方の育成に携わり、評価についても指導を行ってきた間嶋校長に、具体的な観察ポイントを伺いました。

執筆/新潟県公立小学校校長・間嶋雅樹

通知表記入に備える
イラストAC

教科書会社の評価計画を基に、複数の観点からポイントを絞りながら評価する

昨年度、学習指導要領の実施に向け、本校の教員に話をしてきたのはまず、「以前の学習指導要領の評価項目と何が違うのかをしっかり頭に入れて、評価を行うこと」でした。

例えば従前、「関心・意欲・態度」について、現場の先生はノートをきちんと提出したとか、書くべきことをきちんと書いたとか、意欲的に読んだということで評価を行っていたと思います。

しかし今回の「主体的に学習に取り組む態度」は、「思考・判断・表現」とセットになるイメージ(下図参照)で、学習過程の粘り強さや子供自身が成長をメタ認知できるということまで含まれています。そうすると従前、提出物を出させれば比較的簡単に評価できたわけですが、現行の学習指導要領ではメタ認知を言語にして表現させないと評価できないということになります。

図表

以前からあった、「思考・判断・表現」や「知識・技能」も以前と同様ではありません。「思考・判断・表現」は考えたことについて表現できなければ評価できませんから、そのための問いを考えることが必要です。「知識・技能」についても、意味理解を含んだ知識を評価するための手立てが必要です。

そうなると毎時毎時、評価を行うことは不可能です。ただし単元ごとに各観点を最低1回は評価することが必要ですので、どの場面で何を考えさせ、それを評価するためにどのように表現させるかを考えた、評価計画が必要になります。

それは、その時間でどのような力を付けるのかを明確にした指導計画と表裏一体のものでなければなりません。

年度当初にそれをゼロから作成するのは大変ですので、教科書会社から出されている評価計画を上手に使えばよいと思います。ただし1時間に複数の観点が示されていたりするので、ポイントを絞ることが必要です。また評価は学年でそろえることも必要ですから、本市ではよく各学年の担任が得意な教科ごとに分担して評価計画を作成しています。

このような明確な評価計画があれば、実際の評価での負担は軽減されます。例えば従前、先生方が座席表を用意し、何をどんなふうに表現していたか、こまごまとメモをとったりもしていたと思います。

しかし「何をどのように表現させ、評価するか」ポイントを絞った明確な評価計画があれば、それができているかどうかを見て、簡単に丸を付けるだけで評価記録を残すことができるのです(もちろん、記述記録を残しても可)。

では具体的にどのように評価を行えばよいのでしょうか。1時間の内容が明確で、若い先生方にとっても分かりやすい算数で説明していきましょう。

四年生の評価「わり算の筆算」単元例

「知識・技能」

従前の観点なら、テストで計算ができていれば評価されていただろうと思います。

しかし現行学習指導要領の「知識・技能」では、筆算の意味を理解していることが重要です。商を立てる、かける、ひく…といった筆算のアルゴリズムがなぜ、そのようになるのか説明できる、といったことが求められます。

ですから評価を行うときには、「なぜ、ここはひかなきゃだめなの?」といった問いを投げることで、意味理解を問うことが必要ですし、それを説明できれば評価も丸を付けることができます。

わり算の筆算ならば、計算のアルゴリズムのどこにポイントを当てて働きかけるのかが明確になっていれば、評価も明確になると思いますし、それがあれば、具体物の準備や板書の整理のしかたも明確になります。

「思考・判断・表現」

わり算の筆算で例えると、630÷6の場合、十の位に0が立ち、今までのアルゴリズムでも筆算は可能ですが、0のかけ算をやって、ひき算を行うことは必要ない作業と言えます。このときがアルゴリズムを本当に考えさせる場面です。「かけ算で23×30のとき、0の筆算はどうやったの?」と問います。子供はかけ算で省略した経験があるので、わり算でどう省略できるのか、そして省略した場合にどう処理するのかを思考し、表現し始めます。

「0が立ったときは、かけてひいても結果は同じなので、かけ算の筆算のように省略できる。そのときは立てる・おろすになる」と、計算の仕組みをかけ算の経験を基に思考した表現があれば、評価に丸を付けてよいと思います。

「主体的に学習に取り組む態度」

冒頭でも少し触れた「主体的に学習に取り組む態度」は、学習における「知識及び技能」や「思考力、判断力、表現力等」の獲得に向けた「粘り強さ」と「自らの学習の調整」を見とることが必要です。

まず「粘り強さ」は、わり算の結果が出なかったとしても、わり算の筆算と結び付けながら具体物の操作をしていたり、それを記述していたりしたことを評価していくのです。そのような評価を行う手立てとして、板書に筆算と具体物を提示することでその学習を促し、評価をしやすくしていくのです。

「自らの学習の調整」は、学習の最後にふり返りを記述させるなどして評価します。その記述に「わりきれないときに、どうしたらいいか分からなかったけれど、具体物の操作をしながら隣同士で話したら、少し関係が分かった」とあれば、具体物と筆算の関係について、自分の当初の様子と最終的な状況とを比べ、メタ認知しているわけですから、メモに丸を付けてよいだろうと思います。

三年生の評価「重さ」単元例

「知識・技能」

「重さ」の単元で例えば、天秤で1円玉を使って重さを量るとき、20グラムの重さのものは1円玉20個で釣り合います。

次に50グラムのものを出して量るとき、子供たちの多くは、また最初から1円玉を1個、2個と天秤に載せて50個で50グラムと言うでしょう。

そのとき「さっき量ったものを使って、なんとかならないかな?」と問いかけたとします。そうすると、天秤の性質や重さのたし算の概念を使って思考させることができます。

実際にそのようにして、20グラムのもののそばに1円玉を載せ、重さのたし算の概念を使って考え、20グラムのものと30グラムの1円玉とで50グラム、と量ることができれば、「知識・技能」は評価できると思います。

子供を見とる教師

「思考・判断・表現」

先の「重さ」の学習過程で、50グラムのものに対し、20グラムのものと1円玉30個で釣り合ったときに、「これは50グラムだ」と言います。そのときに「どうして50グラムだと考えたの?」と問うのです。

そのときに「さっき量ったものは20グラムだった。それに1円玉30個をたしたものと釣り合っているから、20グラムたす30グラムで50グラムだと思う」というように表現できていれば、先生が仕掛けた「これを使って」という仕掛けに沿って考えているので、「思考・判断・表現」は二重丸です。

この評価のポイントは、「どうして?」という問いに対し、「ものの20と1円玉の30をたしたのと釣り合っているから、50だ」と表現していることです。

「主体的に学習に取り組む態度」

この「重さ」の学習後にふり返りを書かせたとき、「最初は1円玉を50個数えて50グラムを量ったので、とても大変だった。でも最初に量った20グラムのものを使えば、簡単に量ることができた。重たいものを量るときには、最初から重さが分かっているものを使えば、もっと簡単に量れると思った」といったことが、書けていればよいと思います。それは自らの学びをふり返ってメタ認知していると言えるし、「もっと重いものを量ってみたい」という次の学びへの意欲にもつながると思います。

ちなみに重さの学習は秤がメインになっているのですが、このような天秤の学習をやっておくと、秤を出したときにものを載せれば重さを量ることができるので、自分が苦労して量った経験もあり、子供たちは感激します。

また重さの学習では量感も大事なので、ただ「秤の目盛りがこうだから、何グラム」と量れるだけでなく、このような学習もしっかりしておくことが大切だと思います。

評価のため、子供に何を問うのかなどの準備が大切

今回、内容が明確で1時間ごとのイメージがしやすい算数で説明をしてきました。国語や社会などの教科の場合は、数時間の単元を通し、どの場面でどんな力を育むかを明確にし、それをどんな仕掛けをして評価するか、明確にしておくことが必要です。

ちなみに評価を評定につなげる場合は、先の単元ごとの評価で、B評価をとった単元の数によって、A評価を付ける方法があります。もう一つ、先生が事前に考えたB評価をさらに上回っていくような評価を、A評価とする方法もあります。

例えば折れ線グラフで、傾きの大きさと変化の大きさの関係に気付けばB評価で、「ここからここの傾きが一番大きいから変化も大きい」と言えれば、丸でしょう。

先生がそのように考えていたら、「それだったら、平らな線は変化していない」「右側に下がっているのは減っている」という言葉が出てくれば、A評価とするという考え方です。

子供を見とる教師

現実に評定を行う場合には、一学期間の単元の数などとも関係しますが、両方を併せて評価することになるのだと思います。

最後に繰り返しになりますが、どこで評価するかという評価計画は、どこでどんな力を育むかという指導計画と表裏一体のものです。だからこそ、子供に付いた力を評価するために、教員が何を働きかけ、何を問うのか、事前の準備が大切です。それが明確になれば、子供に力が付くだけでなく、自分自身の授業力向上にもつながっていくのです。

取材・文/矢ノ浦勝之 イラスト/山本郁子

『教育技術 小三小四』2021年4/5月号より

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