すべての子供がイキイキ輝く! 自己肯定感を育む声かけポイント

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近年、国際比較や各種アンケートなどから、子供たちの自己肯定感が低いことが問題視されています。実際、「自分なんて……」と自信をもてない子への指導に悩んでいる現場の先生も多いようです。そこで、自己肯定感を育むための声かけポイントとその例を紹介します。

<監修>

足立啓美●一般社団法人日本ポジティブ教育協会代表理事、レジリエンスジャパン推進協議会WG委員、 認定ポジティブ心理学コーチ、Strength Switch認定ファシリテーター。小学校~高校、適応指導教室などさまざまな教育現場でレジリエンス講座の講師として活躍中。

吾郷智子●一般社団法人日本ポジティブ教育協会理事、応用ポジティブ心理学修士(MAPP)。元高等学校教諭。「強み(キャラクターストレングス)」を中心に、ポジティブ心理学の実践と研究に努めている。

すべての子供がイキイキ輝く! 自己肯定感を育む声かけポイント

そもそも自己肯定感とは?

自己肯定感とは、ありのままの自分を大切にする気持ち、自分によいところも、苦手なこともあるけれど、自分のことが好きだなと思える気持ちです。自己肯定感が高い子供は、自分はまわりに愛され、価値のある人間であると考える傾向がより多く見られます。その意識が、自分に対する自信ややる気、自我の確立、前向きにがんばる心や心の充足感につながります。

実際、東京都教職員研修センターでの調査研究から、自尊感情や自己肯定感が高い傾向にある子供は、進路の目標が明確で、友人関係も良好であることが分かっています。一方、学習への意欲や理解度が低い子供は、自己肯定感が低い傾向にあると指摘されています。低学年は、自己肯定感の土台を育てる時期です。子供を丸ごと受け止めて、その子自身の強みを見付けて育てていく大人の関わりが重要です。

自己肯定感を育むほめ方と「強み」

自己肯定感を高めるためには、子供自身が自分の強みと弱みを認識して自分自身について理解すること、そして自分の「強み」を発揮することが大切です。そのために、教師は日々、子供それぞれの強みを見付けて認めていく(ほめていく)わけですが、意識しておきたいことがあります。

それは、子供の能力や達成した結果にのみ目を向けるのではなく、その子が結果を得るためにどんな行動をして、どんな「強み」を使ったのか、言語化して伝えていくことです。

今回ご紹介する「強み」とは、人間がもつ「よい性格的特性」です。ポジティブ心理学では、「強み(=よい性格的特性、キャラクターストレングス)」は、文化や信条の違いを越え、人類共通して24に特定できることが分かっています。

24の「強み」の中で、自分がどの強みの要素をたくさんもっているか、それぞれの「強み」がどう組み合わさっているかで「その人らしさ」が表れるのです。

講演やワークショップでは、「それも強みなの?」と驚く子供も多い。
講演やワークショップでは、「それも強みなの?」と驚く子供も多い。

「強み」を意識してほめよう

「強み」を意識して認める(ほめる)ことに関して、私(監修者・足立)が体験した話を紹介しましょう。公園の池でオタマジャクシを捕まえた3人のきょうだいの話です。お姉ちゃんは、オタマジャクシを捕まえようと、1時間以上も集中していました。上の弟は、そのとき唯一持っていたペットボトルを使って、お姉ちゃんをサポート。末の弟は、お母さんのもとへ、網や袋など他の道具がないか聞きに行きました。

その後、3きょうだいは見事にオタマジャクシを捕まえたのですが、こういう場合、どのように声をかけたらよいのでしょうか。

「強み」の観点からいうと、お姉ちゃんは「がんばり続ける力」という「強み」を使いました。お姉ちゃんに協力した上の弟には、「チームワーク」という「強み」があります。末の弟は、何か違う方法はないかと考える「創造性」を発揮しました。

こうした「強み」を意識すれば、単に「オタマジャクシが捕まえられてよかったね」ではなく、「あきらめずに、がんばり続けたね」「お姉ちゃんに協力して、いっしょにがんばれたね」「いろんな方法を考えようとするのが、あなたのいいところだね」とほめること(「強み」を認めること)になるでしょう。

このように、実際の行動と「強み」を結び付けると、自分の「強み」を理解しやすくなるのです。 

「強み」を意識してほめよう
子供だけでなく、保護者も「強み」に興味津々。
子供だけでなく、保護者も「強み」に興味津々。子供たちの「強み」を保護者と共有することで、共に「自己肯定感」を育てていこう。

クラスで実践してみよう!

子供たちが自分やまわりの強みに気付けるようになるためには、いろいろな強みがあることを知ることが大切です。そのために、下記で紹介する24の強みを教師と子供で共有することが最初のステップです。

24の「強み」を紹介すると、「これも強みなの?」と驚かれることもよくあります。さまざまなタイプの「強み」を知ったうえで、自分や他者の強みを見付けて、認め合うことが、自己肯定感や多様性を育むことにもつながります。

実践!やってみよう!

アクティビティー1

24の強みを知ろう

(活用場面…国語・道徳・学級会・朝の会など)

24の強みを紹介して、その言葉の意味を話し合ってみよう。その強みをもっている人を探してみよう。

アクティビティー2

強みを見付けよう

(活用場面…国語・社会・道徳など)

物語の中の登場人物、歴史上の人物、身近な人がどのような強みを使ったかを話し合ってみよう。

*最初に24の強みそれぞれの意味を理解しておくことが大切です。(下図参照)

アクティビティー3

強みの木

(活動場面…朝の会や帰りの会、学級活動など)

模造紙に大きな木の幹と枝を描きます。葉っぱの形にした付箋を用意して、教師が見付けた子供の強みを書き、木の絵に貼っていきます。

* 家庭でもできるので、保護者に提案してもよいでしょう。

「強み」の木
幹には子供の名前を書き、「○○○の木」とする。

24の「強み」の特徴と声かけ例

日本ポジティブ教育協会監修『見つけてのばそう!自分の「強み」』(小学館)より抜粋

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取材・文/ひだいますみ イラスト/あべまりな・Blue-mallow

『教育技術 小一小二』 2020年9月号より

『見つけてのばそう!自分の「強み」』(小学館)

日本ポジティブ教育協会監修『見つけてのばそう! 自分の「強み」』(小学館)、好評発売中!

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