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【読書活動】教師が行う「ブックトーク」の効果的な話し方

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石橋幸子

テーマに沿って本を紹介し、子供が本に興味をもつきっかけになるブックトーク。担任が子供たちにブックトークをする際、どのような手順で進め、どのように話すのが効果的なのかなど、ブックトークのコツを全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にうかがいました。さらに、東京都公立小学校の6年生の子供たちを対象にした石橋先生によるブックトークの実践授業も併せて紹介します。「読書活動」のヒントにしてください。

ブックトーク扉写真

ブックトークのねらいは、子供が主体的に本を読むこと

ねらい

――ブックトークのねらいを教えてください。

石橋 私の考えるブックトークのねらいは、子供が読みたいと思う本を確実に手渡して、子供が主体的に読むことです。ブックトークは本を紹介するだけなので、「わあ、面白そう!」と思ったら、「読んでみようかな」と自分から読みますよね。そこがねらいです。本を紹介するだけで終わっては、最終的な目的までいっていないと思います。最終的には、子供が自ら本を読むことが目的になります。

――ブックトークは小学校の場合、何年生から適しているのでしょうか? 低学年でも可能ならどのような点に留意すればよいでしょうか?

石橋 小学1年生の初めの段階は難しいと思います。この時期の子供たちは、大人にお話を最後まで読んでほしいと思うような成長段階だからです。小学1年生の後半は可能になると思います。私の場合、「1日1冊のブックトーク」といって、「ブックトークはこんなことをするんだよ」と、テーマを設定して1冊の本を選んで紹介していました。

例えば、「犬」といったテーマを設定し、そのテーマで3~4冊を3日かけて紹介します。絵本は10分程度で読めますので、最後まで読み聞かせをしていました。小学1年生では、すらすら読める子もいますが、絵を見ながらお話も読んで楽しめるというのは難しい子が多いのです。だから、絵を見せてお話を聞かせることによって、子供が後でもう1回見たくなるのです。
低学年は、読み聞かせから入るとよいでしょう。中学年はクラスの実態によりますが、5~6冊の紹介ができると思います。高学年は話に30分程度集中することができますから、7~8冊の紹介ができるでしょう。

準備

――ブックトークを実践したい場合の準備や準備物について教えてください。

石橋 3冊程度の本を用意すれば、10分程度のミニブックトークが可能です。余裕があれば、例えば、「ドングリ」がテーマなら、ドングリの実物を見せればインパクトがあります。外国の話なら、地図などを用意します。テーマに関連するものがあればもっと印象的になります。さらに余裕があれば、黒板に書名やキャッチコピーなどの資料を貼っていくと印象に残ります。

テーマ・本の選び方

――ブックトークのテーマの立て方、本の選び方について教えてください。

石橋 テーマの立て方は、「学習内容の関連」「季節や行事の関連」「探究の学習の関連」「子供たちに考えさせたい内容」「学校生活の関連」などが考えられます。「学習内容の関連」では、例えば、運動会でのエイサー、理科での天体授業など、「季節や行事の関連」では、ひな祭りや梅雨など、「探究の学習の関連」では、環境や福祉、国際関係など、「子供たちに考えさせたい内容」では、友達や道徳的なこと、学級の課題など、「学校生活の関連」では、給食などが挙げられます。

本の選び方は、テーマから関連した本を選ぶ方法と、ぜひ紹介したいという本を先に選ぶ方法があります。それはどちらでもよいと思います。紹介する本は様々なジャンルから選びます。ノンフィクションや図鑑、絵本、物語などジャンルを分散させるようにします。また、本の難易度もいろいろ盛り込みます。さらに、読み継がれている本や新刊など発行年もいろいろと取り混ぜたほうがよいでしょう。学校図書館には、よい本なのに子供たちがあまり手に取らない、眠っている本があります。その本などを紹介すると子供たちが関心を寄せるようになります。日本の作品のほか、海外の作品を入れるともっと幅広くなります。

シナリオの書き方と手順

――ブックトークのシナリオの書き方について教えてください。

石橋 まずは書名と著者と出版社という本の基本情報が必要です。私は、そこに発行年を入れるようにします。50年前から読まれている本だとか、出版されたばかりだという情報を子供に伝えると関心が高くなるからです。そして、伝える内容が必要です。例えば、あらすじや読み聞かせをするページ、絵を見せるページなどです。それから、地図などの資料を提示するタイミングなども記載しておきます。読み聞かせのページや見せるページなどはシナリオに書き込んでおくほか、本に付箋などでしるしを入れておきます。また、話すセリフを書いておくと、それを読むこともできるので便利です。シナリオを作る時間がなければ、メモだけでもよいと思います。

――ブックトークの手順を教えてください。

石橋 まずは、ブックトークのテーマを決めるか本を決めるところから始めます。テーマからでも本からでもどちらからでも構いません。次は本を選びます。候補の本を選び、どれにしようかとパラパラと読みながら取捨選択します。ブックトークの時間によって冊数が変わってきます。3冊でもOKです。本の選び方は、難易度もジャンルもいろいろなものが入るとよいでしょう。今回の授業では5冊を選びました。

ブックトークの授業実践

東京都公立小学校の6年生の子供たちに行ったブックトークの実践授業を紹介します。

テーマ:「未知の世界へ ~海外の作家の作品を読もう~」
授業者:石橋幸子
学年、教科:6年生 国語
ねらい:子供たちになじみが薄い海外作品のよさを知らせ、読み進めさせる。
手だて:読み継がれてきた本と新刊本、そして、絵本、ノンフィクション、物語とジャンルも難易度も様々な本を選んだので、興味をもった本を手に取ってほしい。翻訳作品を読み慣れない子への配慮として、難易度の高い本には登場人物の名前とあらすじを入れた「手引カード」を用意したので活用させたい。
準備:お話の舞台がアメリカ、アフリカ、メキシコなので、世界地図を用意するとよい。

今日はこれから新しい世界、未知の世界へ出発する6年生にふさわしい本を紹介します。大海原あり、行ったことがない場所あり、様々な未知の世界です。

① 『マナティーがいた夏』
(エヴァン・グリフィス/作 多賀谷正子/訳 ほるぷ出版 2024.7)〔手引カード付き〕

マナティーがいた夏を紹介

(表紙を見せながら)この本の作者は? 「エヴァン・グリフィス」。そう、アメリカの人です。ということは?

海外の作品。

海外作品であること、訳者がいることを伝えます。

(表紙と裏表紙を広げて見せて)この子が主人公のピーター。隣の黒髪が大親友のトミー。2人とマナティーの場面です。
舞台はアメリカの南東端フロリダ。マナティーは今や絶滅危惧種だそうです(P.17〜出会いの場面を読む。さらに、P.43を読む)。マナティーの背中の白い線はボートに衝突された傷あとだと分かり……。
ピーターの未知の世界とはどんなことか、考えながら読んでみてね。

② 『ビーチサンダル号海へ! プラスチックゴミから船をつくった少年』 
(L・R・ロッディングとD・パバリー/文 М・М・ムワンギ/絵 千葉茂樹/訳 あすなろ書房 2024.8)

ビーチサンダル号海への紹介

マナティーがいるのは汽水域といって海水と真水が交じり合う運河でした。次の本は「海へ」というまさに大海原へ漕ぎ出す話。ただし、船はプラスチックゴミでできています。

えーーー。

この船は2018年にアフリカのラム島から出航したのです。どういうことかというと(絵を見せながらあらすじ紹介)

③ 『ヘンリー・ブラウンの誕生日』 
(エレン・レヴァイン/作 カディール・ネルソン/絵 千葉茂樹/訳 鈴木出版 2008.12)

ヘンリー・ブラウンの誕生日の紹介

ヘンリー・ブラウンも海を越えて新しい世界に旅立ちます(最初から数ページ読み聞かせ、あらすじ紹介。「著者はしがき」を読み、奴隷制度、地下鉄道について補足する)
表紙を見てください。訳したのは? 「千葉茂樹さん」ということは? 

『ビーチサンダル号』と同じ人だ。

海外の方が書いた作品は訳者によっても雰囲気が変わります。誰が訳したかも気にして読むと面白いですよ。

④ 『ビーバー族のしるし』
(エリザベス・ジョージ・スピア/作 こだまともこ/訳 沢田としき/絵 あすなろ書房 2009.2)〔手引カード付き〕

ビーバー族のしるしの紹介

ヘンリー・ブラウンの話は1800年代の中ごろの話。これは1768年の話なので、さらに100年前のアメリカが舞台です。(表紙と裏表紙を見せながら)主人公は白い子と呼ばれたマット。後ろの子は?
未知の土地を買い取り、家を建て、畑を切り開いたお父さんとマット。お父さんはお母さんと妹を連れてくるために元住んでいた家に帰ります。1人で生活することになったマットですが……(あらすじ紹介)
マットにとっての未知の世界はこの川の向こう側のアメリカ先住民が暮らす村でした(アメリカ先住民についても簡単に説明)

⑤ 『それからぼくはひとりで歩く』 
(アリシア・モリーナ/作 星野由美/訳 犬吠徒歩/絵 ほるぷ出版 2025.6)

それからぼくはひとりで歩くの紹介

最後の本はメキシコの作家が書きました。11歳のハイメが主人公です(表紙を見せる)。持っているのは? 「白杖」ということは……。

目の不自由な人。

ハイメはいつものように起きて、いつものように学校に行きます。でもお兄さんに携帯電話を貸してしまったために迎えを呼べなくなってしまいます。そこからハイメの未知の世界への冒険が始まります。視覚障害のある子の感じ方、考え方、周りの人の反応。国は違ってもきっと共通点があるのだろうなと思います。さあ、ハイメは無事帰宅できるのでしょうか。

海外作品の面白いところは、物語そのものにもありますが、日本と異なる暮らしの様子や学校の様子が読み取れるのがよいと思います。作者や訳者の後書きが大体ついているので、それを読むとさらにいろいろなことを知ることができて楽しいですよ。

味見読書

ブックトークで紹介した本を子供たちが試し読みをする時間です。本は授業者から手渡され、決められた時間になると、別の本に交換します。

子供たちに本を配る
石橋先生が子供たちに本を配る。
味見読書
味見読書は子供たちの読書習慣につながる。
読書に集中する子供たち
読書に集中する子供たち。
岩田先生


同学級担任、岩田純一先生のコメント

普段は本が好きな様子が見られなかった子供も、石橋先生のブックトークのお話の世界に引き込まれていきました。味見読書では、読みたい気持ちが表れ、熱心に読み進める子供たちの様子を見て、感動しました。これから、読書の時間をできるだけ確保し、本がすぐに手に取れるような環境設定も大切だと思います。

本がどれだけ魅力的かを子供たちに伝える

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