多様な意見がみるみる出る教室になる「出し尽くし指名」|「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア #7

AIなどを取り入れたデジタルの可能性とアナログならではのよさを融合させながら唯一無二の実践を続ける鈴木優太先生の連載です。学級経営や授業づくりについて、個々の子供も学級集団もどちらも育つような実践アイデアを、毎月1本紹介します。
執筆/宮城県公立小学校教諭・鈴木優太
目次
多様な意見があふれ、少数意見も大切にする「出し尽くし指名」
学習に深まりを生むために必要なものがあります。
多様な意見
しかし、こんな教室になっていませんか?
――意見を言うのはいつも決まった子ばかり…。
――似たような意見ばかりで物足りない…。
――そもそも意見があまり出ない…。
今回紹介する指名法なら、教室はがらりと変わります。その指名法とは――
出し尽くし指名
短い時間で実施できるのに、全員で考えを出し尽くす満足感があります。
(「お手紙」のかえるくんが考えていたことについて)ペアで聞き合いましたね。全員起立。Aさんから、席順に次々どうぞ。
児童A:「親友が喜んでくれた」です。
児童BCD:同じです!
児童B:「安心した」です。
児童ACD:同じです!
児童C:(座りながら)もう無いから、座ってノートに書き足そう。
児童D:「いい時間だった」です。
児童A:いただきまーす! 思いつかなかった。書き足そう。
児童B:あ、今ので新しい考えを思い付いた! もう一度立とう。
出し尽くし指名を支えるのは、2つの短い言葉です。
「同じです!」…自分と同じ意見が出たとき
「いただきまーす!」…自分と違う意見が出たとき
「同じです!」は、聞いていた証です。声に出すことで、発表者に「あなたの考えは私の考えでもある」と表明します。発表した子も、「同じです!」と言えた子も、誇らしい顔になります。
「いただきまーす!」は、友達への尊敬の証です。自分では思いつかなった考えを、ごちそうとして受け取ります。そして、子供たちはノートに書き足します。ここが重要です。
必ず鉛筆を動かす行為とセットにします。自分では思いつかなかった考えを書き足すから自分の考えが増えます。自分の考えが増えるから、もう一度立って発表したくなります。この「再起立」が見られるようになったら、学級としてひと皮むけた証です。座って終わりではありません。座ってからが本番なのです。学び合う場が学校です。

できるだけ立ち残ること。これが「出し尽くし指名」の心臓部です。座っていく友達が増えるほど、立っている人の考えが際立ちます。「自分の考えはクラスにとって必要とされている考えだ」と、視覚的にも実感できるのです。
「まだ出ていない考え」が飛び交う授業は、よい授業になる確率がとても高いと言えます。どんどん奨励しましょう。
【「出し尽くし指名」の進め方】
①最初に全員が起立して、席順に1人ずつ発表する。
※「同じです」or「いただきまーす!」と周りはリアクションをする。
②考えが出尽くした人は座る。
※再び考えを思い付いたときは再起立する。
③まだ出ていない考えがある人は立ち残る。
たったこれだけです。特別な教材も、長い説明も要りません。「少数意見を大切にしましょう」と百回説くよりも、「出し尽くし指名」を経験した方が強いと、私は考えています。
前後にペアトークを入れるのがポイント

出し尽くし指名の前後には、ペアでの聞き合いを行います。
「発表前ペアトーク」と「発表後ペアトーク」
発表前に行うペアトークは、全員が意見を言える状態をつくるためです。
全体で発表する前に、まずはペアで聞き合います。じゃんけんで勝った人から質問をします。
わずか数十秒でかまいません。一度口に出した言葉は、二度目にはぐっと言いやすくなります。
ペアの人が聞いてくれたから、全体の前でも言えた!
この言葉が全てを物語っています。そして、教師にとっても、ペアトーク中は子供の実態をつかむ絶好の機会となります。何が飛び出すか分からない挙手指名とは違い、誰がどんな考えをもっているかを事前に把握することができます。「あの子の考えは、きっと最後まで立ち残ることになるぞ」と分かっていれば、教師の待ち方が変わります。
発表後に行うペアトークは、自分の言葉で編み直し、定着を促すためです。
出てきた意見を参考に、改めて自分の言葉でまとめて聞き合います。じゃんけんで勝った人から質問をします。
このように、もう一度ペアで聞き合うことで、意見は一人一人の中に確実に落ちていきます。ペア⇔全体の往還を繰り返すことが、1人も取りこぼさない授業の秘訣です。
ペア活動の始め方については、過去記事「話しましょう」はNG!全員が話せる「ペア活動」の秘訣を、 終わり方については過去記事騒がしい教室が一瞬で「静寂」になる!ペア活動の「終わり方」をご参照ください。
