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子供たちと読みたい 今月の本#14 水について考えたことあるかな?

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子供たちと読みたい 今月の本
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子供たちといっしょに読みたい 今月の本 
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石橋幸子
子供たちと読みたい 今月の本 バナー

全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子先生にすてきな本を紹介していただく連載です。14回目のテーマは、「水について考えたことあるかな?」。近年暑さの時期が早くなりがちですので、水が恋しい季節が以前より早くなってきました。今回は水に関係する様々な本が登場します。本を通して身近な水に関することを少し深掘りしてみてください。そして、読書の楽しみを伝えてください。子供たちの1人読み、先生が読む、読み聞かせなど学級の実態に合わせてください。

監修/全国SLA学校図書館スーパーバイザー・石橋幸子

図書室の絵本の棚

絵本

水に関する出来事の主人公、水に関する知識、水道の循環など、水を取り巻く様々な絵本があります。水に興味をもつきっかけにつなげてください。

『みずをくむプリンセス』

『みずをくむプリンセス』作/スーザン・ヴァーデ 絵/ピーター・H・レイノルズ 訳/さくま ゆみこ さ・え・ら

作/スーザン・ヴァーデ 絵/ピーター・H・レイノルズ 訳/さくま ゆみこ さ・え・ら書房刊(発行:2020年)

朝早く起きて、つぼを頭に乗せて、ずっとずっと遠くまで、水をくみにいきます。それは、アフリカの、ある水くみ少女の1日。少女の願いは、誰もが、いつでも、きれいで安全な水を使えるようになること。

石橋先生のおすすめポイント
表紙を見せて題名からどんなお話か、想像させてみましょう。中学年の子供でしたら、女の子が水をくみに行く現実を知っているかもしれません。正解は告げずに全文を読み聞かせるか、主人公のプリンセス・ジージーが水くみに出発する場面くらいまで読み、あとは自分で読むようにするとよいと思います。
この絵本のあとがきは低学年の子供が自分で読めるように配慮されています。写真も豊富で水くみと井戸の設置について理解することができます。作者紹介に実在のプリンセス・ジージーが載っていますので、先生方はぜひご覧ください。この欄もすべてひらがな表記です(低中学年向き)。

『すいどう』

『すいどう』作/百木一朗 福音館書店刊(発行:2022年)

作/百木一朗 福音館書店刊(発行:2022年)

普段使っている水道の水はどこから来てどこへ流れていくのでしょう。山に降った雨が川となり、川の水が浄水場を経て、各家庭へと送られてゆきます。各家庭で使われた水は下水となり川に戻され海へと流れていきます。海の水はやがて蒸発して雲となり雨になって山に降り注ぎます。水道を通して私たちの暮らしの中で使われている水の流れが分かりやすく描かれています。

石橋先生のおすすめポイント
子供たちにとって一番身近な水は「水道水」かもしれません。その点からもどのように学校や家庭に水が届けられているのか、ぜひ読み聞かせてください。この絵本は、目に見えない道路の下や家の配管が目で見てよく分かるように描かれています。低学年の子供もどうやって水が自分のところに運ばれているかが理解できる、分かりやすい文章とイラストの絵本です。
浄水場や水の循環の仕組みについて詳しく学ぶのは中高学年ですが、低学年の子供たちが毎日使う水道への意識を高めさせてくれる絵本です(低学年向き)。

『こおりのせかい なんきょくへいこう』

『こおりのせかい なんきょくへいこう』監修/国立極地研究所 写真/朝日新聞フォトアーカイブほか 
ひさかたチャイルド刊(発行:2024年)

監修/国立極地研究所 写真/朝日新聞フォトアーカイブほか ひさかたチャイルド刊(発行:2024年)

南極観測船「しらせ」が日本を出発。厳冬の大地で研究に挑みます。その活動の様子や、他では見られない情景、夢のような自然現象、そこに生きる生物たちなど、驚きにあふれた南極をビジュアルで紹介していきます。地球の自然と、未知に対する興味が広がる写真絵本です。

石橋先生のおすすめポイント
この本は「しぜんにタッチ!」シリーズの1冊ですから、本文はすべてひらがなとカタカナだけで小学1年生でも2学期以降なら1人で読むことができます。でもせっかく学校図書館で扱うのですから、各ページに載る大人向けの解説も「○○らしいよ」と読み手の言葉も交えて紹介してください。きっと子供たちは目にしている写真と耳からの情報で、氷山や南極に住む生き物、隊員の暮らしや研究の様子を知り、興味をもつことでしょう。
毎年11月から行われる南極観測に関しては様々なメディアで広報されるので、この絵本から子供たちの知的好奇心がさらに広がると思います(全学年向き)。

『へんしん みず!』

『へんしん みず!』構成・文/川村康文、小林尚美 写真/遠藤 宏 岩崎書店刊(発行:2025年)

構成・文/川村康文、小林尚美 写真/遠藤 宏 
岩崎書店刊(発行:2025年)

蛇口から流れてくる水を冷凍庫に入れると氷になってしまいます。温めたら、消えてしまったのかな? 水が変化する様子を楽しい写真で紹介する3歳からの科学絵本。水が氷、水蒸気と形が変わる様子を写真で楽しく紹介。固体、液体、気体の性質を知ることができる知る楽しさに出合える科学絵本。

石橋先生のおすすめポイント
カラフルな表紙の写真から始まって、見返し、本文と擬音語、擬態語といったオノマトペが満載の写真絵本です。ぜひ声に出してゆっくり読み聞かせてください。1回目はさらっと読んで、2回目はオノマトペの部分を子供たちと一緒に大きな声で読むのも楽しいですよ。
水の三態変化については4年生理科で扱いますが、難しい言葉を使わなくても面白い実験で固体・液体・気体の変化の様子が理解できます。ハンマーや火を使って固体→液体→気体→液体→気体と変化させる実験は子供たちの前でやってみたくなります。理科室や家庭科室を使って実際に見せると、子供たちが大喜びすること間違いないでしょう(全学年向き)。

『どうぶつみずそうどう』

『どうぶつみずそうどう』作・絵/かじりみな子 偕成社刊(発行:2023年)

作・絵/かじりみな子 偕成社刊(発行:2023年)

大きな川から水を引き、米づくりをしてきたダルマガエルやイシガメ。周りで暮らすイタチやカニは自分の田んぼに水が来ないので、無理やり水の道を変えてしまいます。このままでは、水の取り合いで村同士のけんかになってしまいます。そこで、思い付いたのが、水を公平に分ける仕組み。農業用水を公平に分ける施設である「円筒分水」をモチーフに、水をめぐって生き物たちが繰り広げる騒動を描く創作昔話です。

石橋先生のおすすめポイント
笑顔のカエルが天秤棒の左右に水が入った桶を吊るしている表紙の絵と題名から愉快な物語を想像すると思います。しかし、実際は大正時代に発明され、田畑に公平に水を分けることができる「円筒分水」という仕組みをつくり上げる話なのです。奥付ページに写真と仕組みの図解があります。これは子供の実態に応じて紹介すればよいでしょう。昔の暮らしや稲作について学習する際に紹介したり読み聞かせたりすると学習への興味が深まると思います。
動物たちの絵が魅力的で、困りごとを解決していく過程も見事なので、読み物としてもおすすめです(中高学年向き)。

『水のはなし 水をめぐる冒険の旅へ』

『水のはなし 水をめぐる冒険の旅へ』文・絵/オリガ・ファジェーエヴァ 訳/横山和江 鈴木出版刊(発行:2024年)

文・絵/オリガ・ファジェーエヴァ 訳/横山和江 
鈴木出版刊(発行:2024年)

水は大切な天然資源です。海や湖、川、地下水のこと、古代の水の入手方法、現代の水の使われ方と守る方法など、水にまつわる様々なことを美しい絵とともに紹介。ロシア発の自然科学絵本。

石橋先生のおすすめポイント
題名にある通り、水に関する様々なことが載っています。目次はないので、子供が興味をもちそうないくつかの項目をクイズ仕立てにして紹介するとみんなで楽しめます。例えば、「地球にはどのくらい水があるの?」「海はどうして青いの?」「水が少なすぎる土地は?」「水が多すぎる土地は?」などなどです。
大型絵本なので、絵の分量が多く、文章だけでなく視覚からの情報も豊富ですから、自分が知りたい、面白そうと思うページを読む読み方でもよいと思います。また調べ学習の課題づくりや情報源としても子供たちの役に立つ1冊です(高学年向き)。

図鑑

流域治水、川の科学など、川のことがよく分かる図鑑があります。川に関する調べ学習などに活用してください。川で遊ぶときに注意すべき点なども分かります。

『流域治水って何だろう? 人と自然の力で気候変動に対応しよう』

『流域治水って何だろう? 人と自然の力で気候変動に対応しよう』監修/瀧 健太郎 PHP研究所刊(発行:2023年)

監修/瀧 健太郎 PHP研究所刊(発行:2023年)

「流域治水」とは、雨水が川に流入する地域(集水域)から、川の氾濫で浸水が想定される地域(氾濫域)までの、流域に関わるすべての人が協力して行う水害対策です。気候変動を踏まえた水害対策として、全国的に取組が始まっています。この流域治水の考え方と具体例を解説。自然の力を生かした、持続可能な水害対策が分かります。

石橋先生のおすすめポイント
PHP研究所のこのシリーズは、社会、理科、総合的な学習の時間等の授業に役立つテーマばかりです。「流域治水」に関してのこの1冊も新しい内容で、大いに活用してほしいと思います。
そもそも「流域治水」とは? と思ったら、「はじめに」を読む。「具体的にはどんなことが書いてあるのか?」 は「もくじ」を見る。「ページ構成やどう使うの?」は、「この本の使い方」を見る。というように調べる際の本の上手な使い方をぜひ指導してください。
課題が設定できているときは該当する部分を読みますが、そうでないときはもくじを見て興味ある項目を読むと興味が広がります。写真が豊富で撮影場所や出典がキャプションとしてしっかり載っているので、自分が住む地域や関心ある場所の写真を探すのもよいですね。
先生方にとってはキャプションに載る出典や奥付の参考文献の記載が信頼できる情報源として役立つと思います(高学年向き)。

『川の科学ずかん 川の楽しさと防災』

『川の科学ずかん 川の楽しさと防災』監修/知花武佳 編/本作り空Sola 文研出版(発行:2024年)

監修/知花武佳 編/本作り空Sola
文研出版(発行:2024年)

川について科学的な視点から多角的に学べるシリーズ。「川はどのようにしてできるのか」「川にはどのような働きがあるのか」などや川魚のキャラクターなどが楽しく学べます。また、川で遊ぶときに注意すべき点や川の水害を防ぐための対策などをイラスト、写真付きで分かりやすく解説します。

石橋先生のおすすめポイント
『川のなりたち』『川と人びとのくらし』に続く第3巻です。これから暑くなると川で遊ぶ子供も増えると思います。そんなときに役立つ知識が満載です。「なぜ〇〇してはいけないか」というように理由が子供に伝わる言葉で書かれていますから、ポイントを読んだり紹介したりしてください。
第1部は川との付き合い方、第2部は水害、防災がテーマ。自然災害について勉強する4年生以上の調べ学習で使えるシリーズですから、社会、理科、総合的な学習の時間で活用するとよいでしょう(高学年向き)。

読み物

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