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面白い授業日本一決定戦!第3回ネタワンGP全国大会ファイナル in 知多半田 リポート

全国各地の予選を勝ち抜いた教師たちが、子どもを惹きつける”本気の授業ネタ”を実演形式で競い合う授業実践型プレゼン大会「ネタワンGP(グランプリ)」。今年で第3回となる全国大会ファイナルの予選および決勝の模様をお届けします。教科も校種も異なる6名が登壇、8分の模擬授業で授業の技とネタを競いました。笑いあり、感動あり、そして「明日すぐ使える」実践知があふれた一日でした。

主催者の「ミニネタの達人」土作彰先生の挨拶でスタート

授業で勝負する教師たちが、愛知・半田に集結

2026年3月20日、愛知県半田市のアイプラザ半田 小ホールにて、「第3回ネタワンGP全国大会ファイナル」が開催された。

「ネタワンGP」とは、“ミニネタの達人”土作彰先生が主催する、教師が”一番の授業ネタ”を競い合う授業実践型プレゼン大会である。ここでいう「ミニネタ」とは、短い時間で扱えて子どもたちの興味・関心を強く引く教材のことを指し、「楽しく体験的に学ぶちょっとした仕掛け」が求められる。各地の予選を勝ち抜いた教師たちが、子どもを惹きつける”本気の授業ネタ”を実演形式で披露するこの大会。「明日すぐ使える授業ネタがほしい」「子どもが前のめりになる授業をつくりたい」「全国の教師の実践から刺激を受けたい」という教師たちにとって、まさに待望のイベントだ。

名古屋の南に位置する知多半島・半田市での今回の全国大会ファイナル開催は、イベント主催者である土作彰先生の「若手教師を育てたい」という願いに共鳴した「愛知何でも話そう会」(愛知教育大学名誉教授・土屋武志先生のもとで学び続けてきた地元教師グループ)のメンバーたちにより実現した。

第1回大会in横浜の模様はこちら>> https://kyoiku.sho.jp/304162/

予選に臨む6人。左から西田智行先生(山口県小学校)、宮副健人先生(愛知県中学校)、大貝浩蔵先生(山口県小学校)、末永大貴先生(山口県小学校)、及川直人先生(千葉県小学校)、高田峻平先生(愛知県中学校)

午前中は敗者復活戦(ワイルドカード)の勝者1人+各地方大会の優勝者5人の計6名による予選、午後は予選を勝ち上がった3人による決勝と表彰、そしてゲスト3名――友田真先生、渡辺道治先生、そして本大会の主催者である土作彰先生――による講演が行われた。採点基準はとくに設けず、参加者それぞれの視点で発表を評価するスタイルが、この大会ならではの自由な雰囲気を生み出していた。

【予選】各代表者の発表

1人目|西田智行先生(山口県小学校)

トップバッターは、下関から来た西田先生。「なぜ四国では狸が大事にされるのか」という問いからスタートし、軽妙な語り口で会場をつかんだ。

弘法大師が狐を追放した伝説、狐が「詐欺師」で狸が「商売繁盛の縁起物」とされる理由、カエル(無事カエル)やタコ(置くとパス=合格)など動物の語呂合わせを次々に紹介した後、「言霊」の概念へと展開。受験生への「落ちる」「滑る」といった忌み言葉、下関でフグを「フク(福)」と呼ぶ文化、お正月の南天(難が転じる)の話を経て、最後に「では、狸を縁起のいい漢字に置き換えると?」と受講者に問いかけた。

参加者から「他を抜く(たぬき)」という答えが引き出され、大きな拍手が起きた。日本が「和の国」であるがゆえに言葉を大事にしてきたという主張で結び、言葉が持つ力を子どもたちに伝える国語・道徳的ミニネタとして高い完成度を見せた。


2人目|宮副健人先生(愛知県中学校)※敗者復活戦勝者

数学の空間図形「球の体積」を扱った授業。宮副先生がまず提示したのは、音を消した実験映像だ。半球の容器と円柱の容器があり、半球で水を汲んで円柱に移し替える様子が映し出される。「この動画は何を伝えたいのか」と問い、生徒(参加者)に言語化させる場面から始まった。

音あり映像で「3杯入る」という事実が確認されると、「水=体積」という数学的な見方を生徒自身から引き出す展開へ。半球の体積×3=円柱の体積、という関係をもとに、円柱の体積から逆算して球の体積を導く流れを丁寧に構築した。

「映像をただ見せるのでなく、数学的な見方を子どもから引き出すことが大切」「量は質を凌駕する」という信念を解説で語った宮副先生。子どもと子どもをつなぎ、学びの表現を育てる授業スタイルが印象的だった。


3人目|大貝浩蔵先生(山口県小学校)※現在は指導主事

小学6年生の社会科「平和な日本へ」の単元を想定した授業。戦後、日本中の海にアメリカ軍がまいた1万2,000個の機雷が残され、特に関門海峡(下関市周辺)には5,000個が残存し、多くの船が沈没したという事実から入った。

「誰が片付けたと思うか」という問いに対し、参加者からは「アメリカ」「自衛隊」という意見が出た。正解は掃海部隊(現自衛隊の源流)で、7年をかけて片付ける中で79名が殉職した。しかしGHQの命令により、その事実は一般には知らされなかった。

さらに授業は朝鮮戦争へと展開。北朝鮮が海に機雷をまき、困ったアメリカが日本の掃海部隊に派遣を依頼。吉田茂首相が憲法の制約の中で極秘派遣を決断したのは、日本の主権回復交渉と切り離せないものだったと解説した。

地元・下関に根ざしたローカルな視点から歴史の本質に迫る、重厚な社会科授業だった。大貝先生は三陸鉄道への「クウェートからの支援に感謝します」という言葉との出合いが、この授業を作るきっかけになったと明かした。


4人目|末永大貴先生(山口県小学校)※前回優勝者

前回王者として登場した末永先生は、圧倒的なエンターテインメント性で会場を沸かせた。テーマは理科「光」の単元

自ら描いたオリジナルキャラ「チャビー」を紹介。「世界で一番まるまるなものは?」という問いから始まり、光が世界で最も速いという事実を提示。「光の足し算引き算クイズ」として、赤・青・緑の光を混ぜると何色になるかを問いかけ、「白」という正解を確認。続いて参加者に配布した分光シート(ホログラムシート)で照明を見ると、青・赤・緑の成分が視覚的に分かれて見えることを体験させた。

暗転した会場でレーザーポインターを使い光がまっすぐ進む様子を見せ、鏡で反射させる実験も実施。その原理を応用したものとして「プラネタリウム」を紹介した後、光と人類の歴史(火→ロウソク→ランプ→電気)へとつなげた。

フィナーレは、ホームセンターで入手できる材料(ホース・ビー玉・三角鏡)で作った手作り万華鏡の体験。”どこでも万華鏡”と名付けられたこの道具で参加者が会場を覗き込む姿は、まさに子どもが授業に前のめりになる瞬間そのものだった。


5人目|及川直人先生(千葉県小学校)

和服で登場した及川先生。「ショートケーキ・ちくわ・ナポリタン・ドリア」の写真4枚を見せ、「共通点は?」と問うところから授業が始まった。答えは「すべて日本生まれの食べ物」。物事にはさまざまな見方があるという気づきを、身近な食材で引き出した。

続いて図形パターンの問題(規則性を見つける4択)、ウサギにもアヒルにも見えるだまし絵(餌は何を与えるか?という問い)を通じて、「見え方は人によって異なる」という体験を積み重ねた。

ハイライトは「ちくわを22文字でプロデュースせよ」という課題だ。「タンパク質が豊富な筋トレ食」「ダイエット中の財布に優しい万能食」など、参加者から多様なアイデアが出た。物の見方・考え方を変えることで、平凡なものにも新たな価値が生まれることを体感させる授業は、学級経営や総合的な学習など幅広い場面への応用可能性を感じさせた。「違いを喜ぼう」「おもしろい!」という言葉で締めくくった。


6人目|高田峻平先生(愛知県中学校)

英語による授業で、テーマは「音読(Ondoku)」とアクセント。取り上げたのはバラク・オバマ元大統領の「Yes We Can」スピーチだ。

まず日本語字幕なしで音声を聴かせ、「このスピーチが伝えたいことは?」と投げかけた。その後、英語と日本語字幕つきの音声で内容を確認。「このスピーチをオバマのように話せたら格好よくないか?」と参加者の意欲に火をつけてからチャンツへと移行した。

フレーズごとにリピートさせ、全員で立ち上がって「早読み競争」を実施。さらにスクロールするスクリプトとの速さを競う「iPad対人間レース」を行い、会場は笑いと熱気に包まれた。

解説では「内容に没入させた状態で音読させることが重要」「量は質を凌駕する」という持論を展開。「気づいたらめっちゃ読んでた、もう50分終わった」という授業を目指していると語り、音読という活動の持つポテンシャルを改めて示した。

【決勝】3名による再登壇

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