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【臨時休校 緊急寄稿】時短卒業式を準備しながら小六担任として今思うこと

2020/3/3

臨時休校により、卒業式までの残りの日々で行うはずだったこと、用意してきたことが達成できず、辛い思いをしている6年生や先生も少なくないでしょう。そんな中でも、整理できない感情はそのままに、前例のない時短卒業式の準備をしている先生方がいます。今年度6年生を担任している岩手県公立小学校の古舘良純先生からの、緊急寄稿です。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純

卒業式
写真AC

世間の空気と教室のギャップにとまどいながら

私の学校では、卒業式まで残り14日となった日、休校という判断が下されました。

教育委員会や校長会等での決定であり、それに対して何の反論もありません。

6年生を担任する身として、14日間でやりたかったことがあったのは事実です。この3月という期間が、子どもたちにより高い成長を促す期間であったことも事実です。

休校期間の過ごし方がどうなるのか、そもそも休校期間で事態が収束していくのか。卒業式だけではなく、入学式時期は大丈夫だろうか…など、悩みや不安をあげればキリがありません。

そんな中、私の勤務校では本来予定されていた卒業式を延期し、3月下旬に規模を縮小して行うという判断が下されました。主な決定事項は以下のとおりです。

  1. 期日を3月下旬に延期する。なお、それまでは休校とする(卒業生は前日が登校日になることも視野に入れる)。
  2. 卒業式は、学校職員と児童のみで行う。保護者や来賓は参加しない。
  3. 修了式、離任式、卒業式を同日開催とする。
  4. 祝賀会や送別会等は自粛する。(中止を求める)

この事実を子どもたちに伝えると、やはりショックを隠せないようでした。子どもたちにとっては受け入れ難い判断でした。

なぜなら、学級の全員が元気に出席していましたし、学年全体を見ても欠席は数名だったからです。また、インフルエンザも流行っていない学校状況で、コロナウイルスの影響は全くありませんでした。

休校の事実を知った子どもたちは、涙を流して給食を食べました。休みも教室の片隅でシクシク泣いている子がいました。掃除をしていても、帰りの会でも…。
(もちろん、最後だからこそ元気に遊ぼうという子もいました!)

はじめのうちは、「残っている勉強はどうするんですか?」「ドリルがまだ終わっていないんですけど…」「給食費は?」「漢字検定の結果は来ていませんか?」「宿題はありますか?」「卒業式練習はやらないんですか?」などの質問責めでした。

しかし、いよいよ事の深刻さを受け止め始めると、全てを悟ったかのように黙って荷物をまとめました。背中と両手が埋まるほどの大量の荷物でした。

感情は整理できなくても、思考と行動を整理した

そんな中で私が伝えたこと(質問に対しての答えも含めて)は次のようなことでした。

1、学習の課題は、今残っているドリル関係と家庭学習です。でも、先生は見てあげることもチェックしてあげることもできなくなります。この1年間やってきたように、自分で自分の力になるように取り組みなさい。

2、集金したお金や集めたものは、いずれきちんと戻ってくるはずです。PTAの親御さんをはじめ、大人がきちんと対応します。安心して待っていてください。

3、これから、世の中にはいろいろな情報が流れます。信じても信じすぎず、変に情報に踊らされず、まずは自分で自分の健康を管理することに全力を尽くしなさい。そして、延期された卒業式にまたみんなで元気に会えるようにしっかりと準備しておきなさい。

小学校生活1200日の最後がこのような形で閉じられることになるとは思ってもいないことだったでしょう。しかし、これは現実です。子どもたちは心の中で必死に整理して、整理しきれないまま下校しました。

最小限の練習でもできる卒業式の時短案

全国の様子を見てみると、

  1. 予定通りに卒業式を行う
  2. 延期して卒業式を行う
  3. 卒業式は行わない
  4. 最終日に卒業式を強行した学校もある?

など、決断は様々なようです。

そして、「卒業式の形式はどうなるのか?」「そのための練習はどうなるのか?」という課題が浮き彫りになりました。

本校は、卒業式は「学校職員と児童のみで行い、保護者や来賓は参加しない」「修了式、離任式、卒業式を同日開催とする」ということになりました。つまり、規模を縮小して行う形です。

具体的には、

  1. 来賓祝辞をカット
  2. 来賓紹介をカット
  3. 全校合唱をカット(予定)
  4. 「呼びかけ」をカットか縮小(予定)
  5. 入退場を2列で時短(間も詰める)
  6. 証書授与の行動様式を簡略化して時短
  7. 動画撮影をして卒業式DVDを各家庭に配付する(予定)

のような対策が考えられます。特に証書授与については、行動様式の練習が少なくてもできるように考える必要があります。

例えば、

  • ステージに上がってから降りるまでは一直線上を歩いて済むようにする。
  • もらう前の礼、もらった後の礼を無くし、最初と最後の代表児童だけきちんと行う。
  • 直線上で歩き、礼を無くすことで、呼名のタイミングを早くできる。

↑本校では、従来、校長先生の前で一歩前に出て礼をしていた。また、礼を短縮するために、前者のもらった後の礼と、後者のもらう前の礼を同時に行っていた。

↑一直線にすることで、校長先生の前で向きを変えるだけの動作になる。礼をカットすることで、余分な動きは極力減らすことができる。(目線を合わせたり、軽く会釈のようなやりとりは行いたい)

「卒業式は最後の授業」と言われるように、子どもたちにとって大きなものを考え、感じさせることのできる時間です。発せられる言葉の全てが心に染み込んでいくような、しっとりとした時間が流れます。その節目を、準備期間から卒業式後の余韻まで、「予定通り」一緒に過ごしたかったと思います。しかし、今となってはそれは難しい状況にあります。

今の自分にできることは呼名と笑顔に思いをこめること

だからこそ、今私にできることは、当日思いを込めて呼名することや、これまでにない笑顔で見送ってあげることではないかと思っています。誰かのせい何かのせいにして、目の前のこと「今」に向き合わなければ、それこそ子どもたちに失礼だと思うのです。

明日からもまた、動向が変わったり新たな決定事項が下されていくことでしょう。我々教師は、そうした状況でも柔軟に対応してきました。今回、本校の職員室を見ていて本当にそう感じました。個人の考えや思いはあるでしょう。でも、その気持ちを伏せて子どもたちに対応する様子や、何とかその日を乗り切って下校させた事実は、我々教師の底力そのものです。

気持ちの整理がつかず、マイナス・ネガティブな発信が目立つSNSですが、きっとその裏側には、涙なしでは語れない子どもたちとの温かい別れの事実や、矢面に立って苦渋の決断をリードしてくれた管理職を含む先生方の事実があるに違いありません。何年先になるかわかりませんが、この令和元年度の3月を、いつか穏やかに話せる日が来ることを心から願っています。

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