小1国語「おむすびころりん」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「おむすびころりん」です。単元目標である「音読の発表会をする」に向けて学習活動を進めていきます。そのなかで、内容の大体を捉える時間、2の場面の音読を楽しむ時間を扱います。そのため、物語の内容を捉えやすくする板書、音読の工夫を考えて楽しむ板書を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・櫛引千恵(せせらぎの会)

 
教材名 「おむすびころりん」(光村図書 1年)

単元の計画(全5時間)

1 教材「おむすびころりん」を読み、内容の大体を捉える。
2 1の場面の音読を楽しむ。
3 2の場面の音読を楽しむ。
4 3の場面の音読を楽しむ。
5 音読の発表会をする。

板書の基本

挿絵を活用した板書

教材「おむすびころりん」は、お話のまとまりごとに1枚の挿絵が示されています。そこで、話の内容の大体を捉えるために、挿絵を活用します。挿絵を話の順に並べたり、挿絵を見ながら「どこ」「だれ」を見付けさせたりします。本文と挿絵を対応させながら読むと、お話の理解が深まります。

また、挿絵のおじいさんの表情から、おじいさんの気持ちを想像し、音読に生かすこともできます。

音読を楽しみながら、工夫のポイントが分かる板書

入門期の子供たちにとって、音読が楽しいのは、次の要因があるからです。

①知っているお話を声に出して読むことが楽しい。
②「4・4・5(「そろそろ おむすび たべようか」「おむすび ころりん すっとん とん」)の音で成り立つリズム感が快い。
③みんなで声をそろえて読むことで、勉強をしているという気持ちになる。

しかし、1年生の子供たちにとって、音読の工夫とはどのようなことか、まだ、理解が進んでいません。

そこで、上記の3つのことを視野に入れながら工夫する箇所を具体的に指導していきます。

板書を利用した授業の進め方(1/5時間目)

小1国語「おむすびころりん」板書の技術 
板書
1/5時間目の板書

1 本時のめあてを確かめる

月日、題名、めあてを板書します。このとき、子供たちにも同じように、ノートに月日、題名、めあてを書かせます。めあてを確かめ、「おむすびころりん」のお話を期待をもって読めるようにします。

2 挿絵を話の順に並べる

「おむすびころりん」の話を最後まで読ませます。その後で、順不同に並べた8枚の挿絵を、話の順に並び替えさせます。ねずみのおうちは、あなの中なので、ねずみのおうちの挿絵は他の挿絵より下に下げて貼ります。本文と挿絵を合わせながら読み、挿絵の順序を確かめます。

3 お話の「いつ」「どこ」「だれ」を確かめる

「いつ」は、むかしのお話であること、お昼ご飯のおむすびを食べようとしたところから「おひるごろ」のお話であることを話し合い、板書します。

「どこ」は、挿絵を見ながら、おじいさんがいる場所を確かめ、挿絵の上に、最初は「やまのはたけ」、次は「ねずみのおうち」、最後は「おじいさんのおうち」と3つの場所を板書します。お話が大きく3つに分けられることを確かめます。

「だれ」は、挿絵を見ながら、「おじいさん」「ねずみたち」「おばあさん」であることを確かめて、板書します。「ねずみ」と「ねずみたち」の違いを確かめます。挿絵を見ると、たくさんのねずみがいるので、「ねずみたち」を選び、「たち」に波線を引いて意識付けます。

4 お話の「はじめ」「なか」「おわり」を確かめる

「はじめ」では、おじいさんの1つ目の「おむすび」があなに転がり落ちたこと、2つ目の「おむすび」は、おじいさんがあなの中へ転がしたことを確かめ、「おむすび」の絵カードを貼ります。

「おわり」には、「こづち」のおかげで、おじいさんとおばあさんといつまでも仲よく楽しく暮らしたことを確かめ、「こづち」の絵カードを貼ります。

なぜ「こづち」をもらったのかを問い、「なかのお話で、「おむすび」がねずみたちに届き、「おむすび」のお礼に「こづち」をもらったことを確かめます。

5 学習の振り返りをする

今日の学習について、板書を見ながら振り返り、楽しいな、おもしろいなと思ったところをノートに書かせます。

「このおはなしで、わたしは、~のところがおもしろかったです。」

板書を利用した授業の進め方(3/5時間目)

小1国語「おむすびころりん」板書の技術 
板書
5時間目の板書 

1 本時のめあてを確かめる

月日、題名、めあてを板書します。このとき、子供たちにも同じように、ノートに月日、題名、めあてを書かせます。本時の場面(2の場面→おじいさんがあなにとびこんで、ねずみのおうちに行った場面)を確かめ、リズムにのって音読を楽しめるように子供たちの意欲を高めます。

2 本時場面のおもしろいところ、楽しいところを話し合う

本時の場面を音読させます。その間に、最初の1文を板書します。

おもしろいな、楽しいなと思ったところを発表させます。

子供たちの発言を基に、確かめた箇所にサイドラインを引いて、黄色チョークで書き込みをしていきます。

また、おじいさんの表情から、おじいさんの気持ちを想像して、♡マークの下に板書します。

3 「すっとんとん」「とびこんだ」の音読を工夫して、音読を楽しむ

1の場面にも出てきた、「すっとんとん」「とびこんだ」という言葉に波線を引きます。

1の場面では、「おむすび」であったこれらの言葉が、2の場面では、「おじいさん」に代わっていることに気付かせ、読み方を工夫してみようと提案します。

方法として、「おおきなこえで ちいさなこえで」「つよく よわく」というカードを貼り、ぴったりの読み方を見付けさせます。

4 ねずみの言葉の音読を工夫して、音読を楽しむ

ねずみの言葉は、挿絵を見ると、「ごちそう」グループ、「おどり」グループ、「こづち」グループに分かれています。そのことに気付かせます。 

そこで、ねずみの言葉のカードを、それぞれのグループの吹き出しになるように貼り直します。

「うたうように」「はやく ゆっくり」「ひとりずつ ふたりで みんなで たしざんよみで」というカードを貼ります。グループで役を決めて読んだり、みんなでいっしょに読んだり、いろいろな読み方をして音読を楽しみます。

5 学習の振り返りをする

今日の学習について、板書を見ながら振り返り、ノートに書かせます。

「きょうのがくしゅうで、わたしは、~とわかりました。」

※板書に使用した挿絵は、筆者が教科書の挿絵を模写したものです。

 

構成/浅原孝子

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