小4国語「初雪のふる日」京女式板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、物語文の「初雪のふる日」です。この単元の学習課題は、「物語を読んで感じたことをまとめる」です。「読んで感じたことをまとめる」ことを段階を追って習得できるようにしたり、登場人物である女の子の気持ちを分かりやすくしたりする板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/前京都女子大学附属小学校講師・川口知佐子

 

教材名 「初雪のふる日」(光村図書出版)

単元の計画(全5時間)

1 初発の感想を書く。
2 初発の感想をもとに、単元計画を立てる。
3 女の子の様子や気持ちの変化を考える。
4 物語を読んで感じたことを200字でロイロノートに書いて提出する。
5 ロイロノートを共有して、友達の物語の感想を読んで、共通点や相違点を見付けて、伝え合う。

板書の基本

読んで感じたことをまとめる板書

まず、どんな出来事が起こったのかを理解するために、場面ごとに出来事に関わる文や文章(叙述)を見付けます。

次に、登場人物は、どうなったかということを確かめるために様子や気持ちを表す語や文を見付けます。

さらに、登場人物の気持ちを考え、想像したことや、きっとこのような気持ちだろうと思うことを短い言葉でまとめます。

以上の学習活動は、「読んで感じたことをまとめる」という学習内容を、段階を追って習得することを意図したものです。

女の子の気持ちを分かりやすく表した板書

上段に「気持ちを考える手がかりになることば」、下段に「女の子の気持ち」を書くことができるようにしました。

場面は赤色チョークで囲って、目と雪に関わる表現に着目して読み取ることができるように板書しています。女の子の目の様子を表す言葉が女の子の気持ちを表していると考えました。

目に関することは(  )で、雪やよもぎなど天気を表す言葉は黄色チョークで板書しています。最後に、季節が冬から春になること、女の子の気持ちが楽しいことからこわくなり、最後は感謝したり安心したりしているという変化を矢印で表しました。

板書のコツ(3/5時間目前半)

板書
3/5時間目前半の板書

板書のコツ①

最初に、「日付、題名・作者」と「めあて」を板書しました。

次に、黒板を2段に分け、上段を「気持ちを考える手がかりになることば」と板書しました。様子や気持ちを表す文や文節から気持ちを考える手がかりにさせたいためです。下段は、「女の子の気持ち」を想像させ、「めあて」である変化について考えることを意図しました。

板書のコツ②

〇「石けりの輪」と板書したのは、「ろうせきでかかれた石けりの輪が、どこまでも続いていたのです。~この石けりの輪どこまで続いているの。」と「石けりの輪」が繰り返し出てくる文をもとの場面としてまとめたものです。

〇「目を真ん丸」は、「ろうせきでかかれた石けりの輪」に対して「目を真ん丸にしてさけびました」から引用した言葉です。「びっくりして目をぱちぱち」は、石けりを楽しんでいた女の子が、「真っ白いうさぎが石けりをしながら女の子の後を追いかけてくる」という場面の変化を考える手がかりにした板書です。

〇黒板の上段は、「目を真ん丸」と「びっくりして目をぱちぱち」の間を空白にして様子や場面を表す文を考えさせました。下段は、この場面で、女の子の気持ちとして想像したことを板書しました。

板書のコツ(3/5時間目後半)

板書
3/5時間目後半の板書

板書のコツ①

「石けりの輪」の場面で学習したことを生かして、「おばあさんの話」と「知らない町」の場面を決めました。

「おばあさんの話」と板書したのは次の文からです。

「このとき、女の子はどきっとしました。いつか、おばあさんから聞いた話を思い出したからです。」「一生けんめいおばあさんの話を思い出しました。」

また、「目を大きく見開いて」と板書したのは、「あのとき、女の子は目を大きく見開いて、なんとおそろしい話だろうかと思ったのでした。」という文からです。時間的には、過去と現在の違いはありますが、女の子の気持ちを考える手がかりにしたいと考えたからです。

板書のコツ②

板書で大事にしたのは、「読んで感じたことをまとめ、伝え合おう」という学習内容につなげたいということです。本時のめあて「女の子の様子や気持ちの変化を考えよう」も「読んで感じたことをまとめ、伝え合おう」という学習内容につなげることを大切にしました。

「おばあさんの話」の前半は「たった一人だけ、白うさぎにさらわれて、生きて帰れた子どもがいたっけねえ。」につながる言葉を板書しました。後半は、「よもぎの葉」「花のにおい」「小鳥の声」と象徴的な言葉でまとめました。感じたことをまとめて伝え合うときに使ってほしい語句だからです。

黒板の下段の「女の子の気持ち」を伝えるときに役立つように、黄緑色のチョークを使って、矢印で女の子の気持ちの変化を示しました。「見える化」を意図した板書です。

 

構成/浅原孝子

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