「小5の僕たちにとって雪景色は異世界体験だった」はたこうしろうさん(絵本作家)

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雑誌『教育技術 小一小二/小三小四/小五小六』では、月替わりで人気の高い絵本作家に表紙用のイラストの作画をお願いしています。本コーナーでは、その絵本作家さんに、小学生の頃の思い出を綴っていただきます。今回は、2020年1月号のイラストを担当していただいたはたこうしろうさんです。

教育技術2020年1月号表紙は、はたこうしろう氏のイラスト
『教育技術』1月号の表紙

小五の冬、雪の降った日

学生時代、大阪の北部で育ったせいで雪遊びとはほとんど無縁だった。一年生のとき、学校の階段の踊り場に、きれいな写真入りで「雪国のくらし」を紹介する壁新聞のようなものが貼り出されていて、僕は一瞬でくぎ付けになってしまった。「雪国っちゅう国は、年中雪が積もってるんやなぁ。なんちゅう、ええ国なんやろ! いつか、雪国へ行って思いっきり雪遊びがしたい」と、そこを通るたび、憧れをもって長い時間、写真を眺めていたことを思い出す。もちろんその記事は、日本海側のどこかの豪雪地帯のことで外国のことではないのだが、当時の僕は「雪国」という国家があるのだと信じていた。しかし、一方で「日本ぽい感じやなぁ。日本の隣ぐらいにあるんかなぁ」とも思っていた。

はたこうしろう小学一年生
小学1年生のはたさん。通っていた小学校は、1学年12 クラスのマンモス校。

そんな、雪の降らない大阪なのだが、小学五年の冬に一度だけ5センチほど積もったことがあり、そのときの、地域の小学生たちの興奮のボルテージは爆発的だった。雪だるまが泥だるまになっても、雪合戦が泥合戦になろうとも、僕たちは茶色い泥混じりの雪玉で遊んだ。僕たちにとって雪景色は非日常であり異世界体験なのである。

大学卒業制作の搬入日に大雪

1月号表紙のイラスト

その感覚はいつまでもあって、京都での大学時代、卒業制作の搬入日に大雪が降り、みんなが搬入に苦慮する中、のんきに雪だるまを作る女子たちがいた。

ちょっとうらやましくて近寄ってみると、全員大阪出身者である。中でも夢中でせっせと手を動かしていたのが、今の嫁さんである。

はたこうしろう
兵庫生まれ、大阪育ち。絵本作家、イラストレーター。絵本に「ショコラちゃん」シリーズ(講談社)、『ことりのゆうびんやさん』(福音館書店)、『なつのいちにち』(偕成社)、『むしとりにいこうよ!』(ほるぷ出版)、『雪のかえりみち』(岩崎書店)、『はじめてのオーケストラ』(小学館)など。妻は、絵本作家、漫画家のおーなり由子さん。
はたさんのHP  http://www.koshirohata.net/

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