【相談募集中】反抗挑戦性障害の子との関わりが、もう辛いです…

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臨床心理士・公認心理師

大多和二郎

反抗挑戦性障害の生徒との関わりが辛くて悩んでいる先生からの相談が「みん教相談室」に寄せられました。障害だと分かっていても、うまくコントロールできない自分に嫌気がさしているとのこと。教員向け法定研修でメンタルヘルス研修の講師をされている臨床心理士・公認心理師の大多和二郎先生からのアドバイスを紹介します。

イラストAC

Q. 障害だと分かっていても、うまく自分をコントロールできません

中学校教員をしています。20年目にしてメンタルを患い、なんとか回復してきているところです。そんな矢先、反抗挑戦性障害の生徒が入学してきました。最初はただすれ違っただけで「クソデブ」などと呼びかけられていました。そういう障害だから、と自分に言い聞かせて過ごしていました。その男子生徒にも、そのような言葉に傷ついて心を痛めていることや困ったことがあるなら相談に乗ることなどを語りかけ、穏便に対応しつつ生活しておりました。

2か月が経とうとしたある日、他学年の先生が入ってくれている授業中に、机をなぎ倒し、暴れ出しました。他の生徒に危害が加わる直前に取り押さえ、別室に連行しました。そのことがきっかけになり、「生きてる価値ないクソデブ」「クズ」「カス」「お前臭ぇんだよ」などの暴言、中指を立てて舌を出すなどの挑発行動がエスカレートしました。

つい一昨日、集会終わりに階段を登っているとき、前の生徒のメガネを奪い、「このメガネ折るぞ!」と揉み合っているところに出くわしました。将棋倒しの危険があり、抑えて他の生徒を先に上がらせました。その時点で他の先生にバトンタッチし、別室に連れて行ってもらいましたが、そこでも机を蹴飛ばし、窓を開け、「飛び降りてやる!」など、騒いだようです。

正直、激しく腹が立つし、悲しいし、もう辛いです。夜も眠れなくなり、仕事にも遅刻したりする始末です。この仕事は天職だと思っていました。他の生徒たちがたくさん心配してくれています。ですが、中学生に気を遣わせている状況に我ながら情けないとも思います。障害だとは分かっていても、自分をうまくコントロールできない自分に嫌気がさしています。
(サイコロ先生・40代男性)

A. 誰が対応しても大変な状況です。基本的な注意を守り、人とのつながりを大切に

反抗挑戦性障害の生徒との関係が辛いというご相談ですね。具体的に実際に起こった場面での生徒の様子と、先生の対応について書いていただきましたので、その大変さが伝わってきます。

反抗挑戦性障害(ODD)は、身近な人に対して過度に怒りっぽく、挑戦的な態度をとったり、口論をふっかけたりして、周りをわざとイライラさせたりする障害で、執念深くそういった態度を続けるところに特徴があります。そしてそのような態度を示す相手は、家族、学校の先生、友達などですから、学校においては様々なトラブルを引き起こします。

先生としては、いくら障害があるからと言っても、他の生徒が傷つけられたり、授業を妨害されたり、器物の損壊をそのままにすることはできませんから、どうしても指導に入りますよね。その「指導」がまた怒りの爆発に繋がりますので、生徒はさらに暴れ続けることになり、結果として「取り押さえ」「別室に連れて行く」などの対応をせざるを得なくなります。教員同士の連携、協力体制を密にして、よく起こる事態があったら、それを想定したチーム対応を確認しておくことが大切だと思います。

対応するときの基本的注意としては、行動をとめるために拘束したり、強い言葉で注意することは攻撃とみなされますので、より暴れたり暴言が酷くなったりします。そこで、怒鳴り合いにならないように注意します。取り押さえる場合も押さえる力は必要以上に強くならないようにします。声掛けの声はできるだけシンプルに言い切り系で語ります。挑発暴言に対しては直接反応しないようにしましょう。反応すると暴言は増加します。また、その生徒が、やることをやっているときに何気なく肯定的な声をかけてあげることも大切です。

先生も人間ですから、対応法が分かっていても、毎日大変な事態が繰り返されると、心がすり減ってきますし、精神的に追い詰められてきます。職場では「今日もよく対応しましたね」「ありがとうございます」という、お互いを労い、協力に感謝する人と人とのつながりを確認することが大切です。辛い状況でも、理解者と協力者がいるだけで、精神的な辛さが緩和します。日々の生活の中で軽い運動や音楽を聞くこともちょっとした気分転換に役立ちます。そして自分に言ってあげましょう。「自分は今、知力、体力、経験をフルに使って、最善を尽くしている」と。誰が対応しても大変な状況に、よく対応していると思います。

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