小2国語「おにごっこ」指導アイデア
教材名:「おにごっこ」(光村図書二年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(2)ア 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)ウ・カ
言語活動:ア
執筆/福岡県公立小学校教諭・栢野恭美子
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、福岡県公立小学校校長・吉田一憲
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
文章を読んで感じたことや分かったことを共有することができる力を育成します。
② 言語活動とその特徴
本単元では、「おにごっこの遊び方を表す大事な言葉を見付けて、そうする理由やその遊びのよさを読み取ります。そして、友達と感じたことや分かったことを伝え合う」という言語活動を位置付けます。
本教材は、興味・関心をもちやすい「おにごっこ」について説明された文章です。多くの子供が共通の体験をしています。さまざまなおにごっこの「遊び方」と「なぜそのような遊び方をするのか」について読み取り、文章中の「おにになった人も、にげる人も、みんなが楽しめるように工夫されてきた」という部分に注目させます。
どのように工夫すれば誰もが楽しめるおにごっこになるのか、自分の体験と結び付けて友達と話し合うことを通して、文章の内容と自分の経験とを結び付けた感想をもち、伝え合うことができるようにします。
単元の展開(8時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①知っているおにごっこや遊びについて話し合い、次のような学習課題を設定し、学習計画を立てる。
→アイデア1 主体的な学び
【学習課題】だれもが楽しめるようなおにごっこについて、考えたことを伝え合おう。
第二次(2~5時)
②③④⑤遊びの説明のしかたを確かめながら、「おにごっこ」を読む。
・遊び方とその遊び方をする理由、面白さについて、必要な情報を探したり、大事な言葉を考えたりしてまとめる。
・「おにごっこ」から読み取ったことを基に、考えたことを話し合う。
第三次(6~8時)
⑥誰もが楽しめるようなおにごっこについて、考える。
⑦考えたおにごっこをみんなに紹介する。
→アイデア2 対話的な学び
⑧「ふりかえろう」で学習をふり返り、「たいせつ」で文章を読むときは大事な言葉や文を見付けることを確かめる。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 子供が主体的に読むことができるようにするための学習課題

この教材で取り上げられているおにごっこは、どれも体育科の授業時間や休み時間などに、子供が一度は経験したことがあるような馴染み深い遊びです。導入では、リード文や扉絵を見て、おにごっこについて興味がもてるようにします。
そして、子供が今までにどんな鬼遊びをし、どのような遊び方をしたことがあるかを問います。どの鬼遊びにもルールがあり、それは、みんなが遊びをより楽しむための工夫であることに気付かせます。
文章の内容について深く考えさせるために、文章の最後の一文に着目し、「誰もが楽しめるようなおにごっこについて、考えたことを伝えよう」という学習課題を設定します。この学習課題を設定することで、子供が主体的に読むことができるようにします。
今までにどのような鬼遊びをしたことがありますか。また、その遊びをどんなルールでしましたか。
かくれおにです。運動場の中しか隠れてはいけないというルールがありました。また、おにが10分経ってもみんなを見付けられないときには、おにを交代するというルールでしました。
なるほど。もしそのルールを決めずにかくれおにをしたらどうなるかな。
おにが探す範囲が広くなって、みんなを見付けるのが大変になる。
1人の人がずっとおにをしないといけないから、ほかの人がつまらないんじゃないかな。
ルールって、もしかするとみんなが遊びを楽しむためにあるのかもしれないね。
アイデア2 自分の体験と結び付けて考えをもち、友達と考え話し合う活動

誰もが楽しめるようなおにごっこをペアやグループで考える活動を設定します。6段落の「あそぶところやなかまのことを考えてきまりをつくれば、自分たちに合ったおにごっこにすることもできます」という文章を基に、「あそぶところ」や「あそぶなかま」について考え、どのようなきまりを決めると、誰もが楽しいと思えるようなおにごっこができるかを自分の体験などと結び付けて話し合う活動をします。
そのためには、遊び方とそうする理由、面白さについて、なぜ筆者はそう考えたのかをしっかりと理解することが重要です。
そこで、2時で下のワークシートにまとめる活動を行うとよいでしょう。各自ワークシートを活用して読み取った筆者の考えと自分の体験を結び付けて、誰もが楽しめるようなおにごっこについて話し合うことは対話的な学びにつながります。
▼ワークシート
僕は走るのが苦手だから、走ることが苦手でも楽しめるきまりがいいな。
じゃあ、「中の2」に書かれていたことをヒントにしてみようよ。
「丸の中にいればつかまらない」というきまりを使って、鬼遊びを考えてみない?
いいね。僕は1年生のときに逃げる人が入れるゾーンをつくって遊んだことがあるよ。とても楽しくてみんなで何回も遊んだよ。
アイデア3 誰もが楽しめるおにごっこを、体験をふり返り考え、共有する活動

誰もが楽しめるようなおにごっことはどういうものかをペアやグループで話し合った後、一人一人の子供に、自分の鬼遊びの体験をもう一度ふり返り、誰もが楽しめるおにごっこを考えるよう促します。
そのときに、これまで体験した遊びを「遊び方」「その遊びをした理由」「遊び方の面白さ」の視点でふり返るように声かけをするとよいでしょう。そうすることで、自分の体験を基に誰もが楽しめるおにごっこを考えることができるでしょう。
そして、それを全体で発表し合い交流します。このように全体で発表し合い交流することで、互いの思いを分かち合ったり認め合ったりすることができるでしょう。
私は1年生のときによくおにごっこをしていました。そのなかで一番面白かったのは「色つきおに」です。おにが色を言います。その色を見付けてタッチした人はつかまりません。見付からなかった人はタッチされると、おにになります。
おには見付けにくい色をよく言います。でも、それが続くと逃げる人が困ります。そこで、逃げる人には2回までどの色でもタッチすればつかまらないルールを私が提案して決めました。そうすると、誰もが楽しめる色つきおにになりました。
逃げる人に2回までどの色でもタッチすればよいとルールを決めた考えはすごいと思います。今度色つきおにをするときには、そのルールでやってみようと思います。
イラスト/川野郁代 横井智美
『教育技術 小一小二』2021年12/1月号より