【相談募集中】管理職が仕事をビルドアップするばかりでスクラップしない

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北海道公立小学校教諭

藤原友和

30代の女性教諭から「みん教相談室」に相談が寄せられました。管理職が次々に提案する仕事によって、業務量のコントロールに困っているそうです。これを受け、北海道公立小学校教諭・藤原友和先生はご自身の体験から開発された「6つのお薬」を処方。その愛とユーモア溢れる回答をこちらでシェアします!

薬
写真AC

Q. 次から次へと仕事がビルドアップされるばかりで、一向に仕事量が減りません

管理職が、「大切なことだから」と仕事をビルドアップするばかりで、スクラップしないため仕事量が増えています。大切なのは分かるけれど、あれもこれは無理です。ツラいです。(にゃん先生・30代女性)

A. 「症状抑制」と「体質改善」2つの局面から対策を考えてみましょう

にゃん先生、こんにちは。今日はどうしました?
……ほうほう、なるほど。

ただでさえ忙しいのに管理職があれもこれもと持ち込んできて、やらざるを得ない。ふむ。それで、多忙感、疲労感、倦怠感が辛いと。
それは確かにお辛いですね。いや、最近そういう訴えが多いんですよ。

では、症状を抑えるお薬と、体質改善のための漢方薬を処方しておきますので、それ飲んでゆっくり休んでくださいね~。どうぞお大事に。

1 管理職がいろいろ持ち込んで辛いときの処方箋~症状を抑えるお薬~

まずはツラい症状を抑えるためのお薬です。症状を抑えるだけで、根本的な治療にはなりませんのでご注意ください。中にはかなり強めのお薬もあるので、説明をよく読んで服用してくださいね。

① クッツケールA錠
② ヨミカエルザ散剤
③ WSRTテヘペロン膏薬

では順番に説明していきますね。
まず、「① クッツケールA錠」です。これは、もともとやることになっていた授業に、飾り付けで管理職の持ち込み企画を「くっつける」お薬です。

例えば私たちの勤務地には「北海道みんなの日」というものがありまして、これにちなんだ教育活動をしたかどうかの調査が入ります。北海道のよさを改めて知ったり、北海道が抱えている課題解決に向けた動きを授業で取り扱ったりすることが求められているわけです。

このようなとき、もともと来る予定だったゲストティーチャーを招いた授業において、黒板に「北海道みんなの日」と掲示するだけ。新しいことは何もせずにやったことになります。

次に「② ヨミカエルザ散剤」です。先ほどのお薬は1時間のスポット授業を念頭に置いていますが、このお薬は例えば朝自習や体力作りなどの帯で取り組むタイプの持ち込み企画に効果的です。

例えば「朝自習プリントに取り組んで学力を向上させてほしい」といった要望が降りてくると、朝の会の時間を圧迫されたり、プリントを準備することが大変だったりします。

こうしたときに、教科書の練習問題を使うということが考えられます。学級の実態に合わせて予習でも復習でも構いません。また、どの問題をどのくらいの量行うのか子どもが決めてやるようにしたら、「学習計画の立案」という主体的な学びに向かうスキルも育ちます。

体力作りだったら、体育の時間の授業冒頭と最後に3分ずつの鬼ごっこを入れることが考えられます。これは準備運動と整理運動を「読み替えた」わけです。

いずれにせよ、もともとの取り組みに近いものを持ち込み企画のねらいに合わせて読み替えることで、負担感を緩和します。

最後に「③ WSRTテヘペロン膏薬」です。これは劇薬ですから注意してください。要するに取り組むことを忘れていたことにして、謝るというお薬です。使える場面・回数は非常に限られていますので、どうしても駄目なとき以外は使わない方がいいかもしれないです。ただ、使うと決めたら覚悟してどうぞ。

*筆者注 WSRT=WaSuReTa(わすれた)

2 時間をかけて体質改善を図るための処方箋~ゆっくり効いてくる漢方薬~

次に体質改善を図るための漢方薬の説明です。もちろん漢方薬ですからすぐには効き目は出ませんし、体質が改善する前に一時的に症状が悪化する場合もあります。ただ、しっかり体質が変われば症状が出なくなりますから、根気よく続けてくださいね。こんなお薬たちです。

④ 根気対話継続湯
⑤ 周囲巻込検討丸
⑥ 削減専門顆粒

まず、「④ 根気対話継続湯」です。にゃん先生のご相談の件ですと、管理職が見積もっている学級担任の先生方のリソース量と、にゃん先生ご自身が感じられているリソース量にギャップがあるように感じられます。

リソースとは、個々の教師の指導力・支援的な職員の配置・教材や教具・予算といった「ひと・もの・こと」といった「教育的資源」のことです。もともとの教育活動にかなりの教育的資源を投入している際には、新たな持ち込みに割けるリソースは不十分になります。その結果、持ち帰り仕事や残業が増えて、負担感につながります。

にゃん先生のご相談内容を拝見すると、「よいことだから」と管理職は説明し、それを受けたにゃん先生も「確かにそうだけど」と受けていらっしゃいます。ですから、対話の余地があるように読み取れました。このリソースのギャップについて根気よくお話しして、リソースを十分に用意していただくように働きかけるのも一つの方法かなと思いました。

やるかやらないかの二択ではなく、「それをやるには~~の資源が不足している」「資源の不足を工夫や残業で補うのならば、その他のところに~~の配慮がほしい」と要求を明確にすることから対話を始めてみてはいかがでしょうか。管理職は意外とそういう前向きな議論を待っているかもしれませんよ。にゃん先生が学校経営への参画意識をもっている証左になるのですから。

次に「⑤ 周囲巻込検討丸」です。ご相談のケースでは、要するにもともとの教育課程に位置づけられていない取り組みをしなさいといわれる場面のお話なのでしょう。

それならば取り組みながら一年かけて教育活動全体を整理していけばよいのです。その課程で似たような取り組みは整理・削減することができますし、教育課程全体をスリム化すれば子どもたちとの時間を確保できるようになります。

私の学校でも、前期と後期のそれぞれで学校評価を行い、各分掌ごとの改善及び分掌をまたいだ特別委員会ごとの見解を統合して、新年度準備委員会を設けています。その際、「働き方改革」の視点や、「スクラップ」をかけていくのだという方針を、職員全体で共有して進めています。

スクラップを進めていくためには前例踏襲主義に陥ってはいけません。また、新たな取り組みを一つ始めるためには、同種の活動を3つやめて統合するというくらいの大胆な削減をする必要があります。「やめる勇気」を発揮するのはこういう場面です。

最後に「⑥ 削減専門顆粒」です。前述の「⑤ 周囲巻込検討丸」は非常に効きの悪いお薬です。仕事に熱心な人や、新しい分掌の仕事を覚え始めたばかりの人、質より量で教育活動を考えがちな人には、効果を発揮するまでにやたらと長い時間がかかります。

そのようなときには、仕事の削減を専門的に扱う部署を設定します。分掌のチーフになる人はどうしても自分の仕事を頑張る傾向にあります(そういう人だから主任を命じられるのでしょう)。しかし、部分最適は全体最適を阻害しますから、どこかで誰かがブレーキをかけなければいけません。だから削減を専門とする人を校内の仕組みに位置づけるのです。これを個人の努力でやろうとすると「嫌われる勇気」が必要になりますし、下手すると「変人扱い」を受けてしまいます。

そこで、分掌として位置づけることによって、属人的な要素(何を言うかではなく、誰が言うか)を排します。

もちろん、我々教諭には校内人事や校内組織を云々できる立場にはありません。ですから、管理職との対話に加えて主幹教諭や教務主任、職員室に影響力のある先生、自分の学年団や分掌の先生方と粘り強く対話し、学校評価等も活用しながら時間をかけて校内の業務改革を進めていくことが、遠回りのようでいて結局は近道であるようにも思います。私も現任校に来て6年目になります。振り返るとこうだったなぁ、というお話でした。

以上、症状を抑えるお薬と、体質改善の漢方薬とを処方しておきました。
どうぞお大事に。


みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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