先輩女性教師に聞いた「家庭と仕事を両立させる」働き方のワザ

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学校現場でもしばしば取り沙汰される「働き方改革」。女性管理職のベテランの先生に、仕事の取り組み方や時間管理のテクニックなどを取材しました。

監修/神奈川県公立小学校副校長・小嶋千里

学級担任の「働き方改革」メイン
写真AC

人生の段階ごとに働き方を工夫する

私は若い頃は働き方など少しも考えていませんでした。時間をあるだけ使って仕事をし、週末も授業の準備をしていました。仕事は楽しく、やればやるほど指導はよくなりました。そんな時期もあってもよいのかもしれませんが、そうした働き方はずっと続かないのが現実です。時間をかけたくてもかけられないときもあります。

女性は特に、結婚、出産、子育て期の前・中・後で生活が大きく変わります。今自分はどの段階にあるのかを自覚して働き方を考えましょう。寝不足で体調不良の先生より、笑顔で元気な先生のほうが子供たちもうれしいはずです。

また、自分自身が働き方を見直すことで、次の世代の方にも、「大変そう」ではなく、「よい職業だ」と感じてもらい、熱意をもって教師を選んでもらえることにつながると思っています。

さらにこれまでと違い、「チーム〇〇」のように組織的な対応が求められている学校では、学年やブロックなど、いろいろなメンバーが一緒に仕事を進めることが多くなりました。メンバーの状況や働き方も様々ですから、全体に関わることは、時間を意識して勤務時間内に効率よく進めていくことがより大切だと思います。

働き方をふり返るポイント

仕事は3つに分けることを意識する

仕事は、
・「必ずやらなければならないこと」
・「やったほうがよいこと」
・「時間が余ったらやりたいこと」
に分けてそれぞれ書き出し、優先順位を付けて取り組むことで自分の気持ちも整理されます。

一日の時間の使い方の工夫

5分、10分という隙間時間の使い方が上手になると一日を有効に使えるようになります。以前は30分くらいまとまった時間に集中してやっていたことを、「打ち合わせまでのあと5分」と隙間時間を活用するようになりました。

行事担当になったらチェックリストで準備万端

行事の担当になった場合は、落ち度があると周囲に迷惑をかけるので、チェックリストを作成。忙しくともミスや漏れを防げます。

〇チェックリスト例
(項目は学校や場合によります)

チェックリスト例
クリックすると別ウィンドウで開きます

仕事効率化のアイディア

①宿題

宿題を学年で統一し、分担することで、プリントづくりや印刷にかける時間を省くことができます。さらに、名前マグネット(両面)を活用。チェック用ボードを作り、朝宿題を出したら、子供が自分の名前マグネットを反対側へ移すようにすると、出した、出していない、がすぐわかります。

②連絡帳

連絡帳は朝の会が始まる前に、まずざっと見て次のように仕分けます。

・欠席の連絡→保健係の児童に「子供のおみまいカード」の依頼。
・体調などの連絡→内容を確認後、ひと言返事を書いて返却。
・要返事のもの→内容によっては学年主任や管理職に相談し、帰りまでに返事を書く。

③テストやプリント

出席番号順に集めると、採点後の入力作業が楽になります。

④学級通信

学級通信は週1回、月曜日に出していました。A4で枠を決め、クラスの様子とその週の予定、連絡事項と大まかに3つの内容をシンプルに書くことで、迷わず続けることができました。

学級通信

家庭との両立のコツ

保育園、学童、ママ友、実家など、頼れるところを多くもつと心強いでしょう。私は実家の近くに転居し、いざという時は両親に助けを借りることができました。保育園時代に夫がまさかの単身赴任となりましたが、なんとか乗り切ることができたのも、周りの助けがあったからだと思います。

共働き家族同士も強力な味方でした。子供たちが少し大きくなると、お互いの子供たちを預けたり、預かったりできるようになります。「お泊まり会」で子供たちがいない週末は、大人のリフレッシュにもなりました。

食洗機、掃除ロボット、乾燥機などは極力有効活用します。「お金で解決できるものは割り切って出費する」という方法を先輩から聞いて納得し、早速取り入れました。もったいないと思っても、「時間を買っている」と割り切ることも必要です。

家庭との両立のコツ

管理職とのコミュニケーションのコツ

管理職には、自分の状況をきちんと説明しておくとよいと思います。我が子の入学式と卒業式など、これだけは譲れないという行事は、早めに管理職と相談をして行かせてもらいました。

年度のはじめや面談のときと、さらに日程が近くなったタイミングでもう一度相談させてもらうことで、全体での仕事の調整も配慮してもらうことができました。

取材・文/出浦文絵 イラスト/山本郁子

『小四教育技術』2019年2/3月号より

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