職は変わってもあなたは変わらない 【連載|女性管理職を楽しもう #7】

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元北海道公立中学校校長

森万喜子
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学校の女性管理職の数はまだまだ少ないですが、女性管理職だって「理想の学校」をつくることができます。前例踏襲や同調圧力が大嫌いな個性派パイセン、元小樽市立朝里中学校校長の森万喜子先生が、女性管理職ライフを楽しむコツを伝授します。
第7回は、<職は変わってもあなたは変わらない>です。

執筆/元小樽市立朝里中学校校長・森 万喜子

慌ただしい年度替わりに

みなさんお元気ですか。あっという間に1年の6分の1が過ぎ、3月となりました。年度末の慌ただしさは本当に大変。
特に、転退職を控えていると、絶対に延長できないタイムリミットがありますから心落ち着かない人もいることでしょう。
特に膨大な仕事を抱えていらっしゃる副校長、教頭先生は時間との闘いですね。駆けつけて、腕まくりし、お手伝いしたい気持ちになります。
2024年度、4月1日は月曜日です。月曜日から始まる新年度の1週間も長くて大変。なんとか今から少しずつ着手して年度替わりを迎えてください。
管理職の皆さんは、4月からの職位や勤務先について、内々の情報などがもたらされる時期でしょうか。昇任、校長採用が内定した皆様、おめでとうございます。

サンキューサヨナラの3月

学校っていうところは、4月はじまりの3月終わり。必ず区切りがきます。企業でも年度は同じですが、学校ほど人の入れ替わりが大きくはない。
子どもたちは卒業し、スタッフは転勤、退職し、4月になると新しい子どもたちとスタッフが来る。学校の外の人からは毎年同じことの繰り返しのように思えても、これだけの人が動くというのは大きな変化です。
私は時々、「職員室や学校がしんどい」と語る先生に「もしもこれが、小さな会社で、何年もずっと同じメンバーだと辛いよね。でもね、学校って入れ替わりがあるから、なんとかやりきれるのよ。なかなかに相性の悪いスタッフや分かり合えない子どもたちがいたとしても、時が来ると新しい風が吹く。区切りってありがたいことよ」と話します。
「同じ釜の飯を食う」という言葉があるけれど、学校の時間を、良いときも苦しいときも共に生きてきた仲間は、まさしくそんな感じでした。同僚だけでなく、保護者や地域の方々も同じ。
でも、忙しさゆえに、ゆっくり「ありがとう」も「さようなら」も言わずに、目の前のことに追われて慌ただしく過ぎてしまった3月がたくさんあったなぁ、と今になって思い出します。
そして、転勤したり退職してしばらく経ってから当時の仲間に会うと「あの時は助けられた」とか「あの頃は大変だったけど楽しかったです」と言われたりして、しみじみ思い出すのです。
ああ、そうだったね、もっとゆっくりサンキューを言えばよかった。あなたのおかげですてきな学校だったね、と言えばよかった、と。
そのサンキューを4月からの自分の居場所で、ひとつずつまた作っていこう。

職が変わると人柄が変わる!?

新しく管理職になる方、新たな職位に対しての不安や緊張や、意欲が体いっぱいに詰まっていることでしょう。
管理職になるって転職するみたい、と私は教頭になったときに感じました。昨年度は教諭で、仕事で目の前にいるのは子どもたちだったのに、教頭になった今月からは目の前にいるのは大人。時に厳しい視線を投げてくるし、尋ねられてもわからないことばかりで、永遠に慣れることなんかないんじゃないか、自分はダメなやつだと感じました。
でも、管理職になるのに新たな人間になろうなんて思わないほうがいいと私は思います。
仕事の内容は変わるけど、その仕事をするあなたが人柄を変える必要ってある? ないない。
教諭でも副校長、教頭でも、校長でも、ゴールは同じ。幸せに学び生活する子どもたちの学校をつくること。同じゴールを目指す人が対立するのってちょっと違う。

ここのところを勘違いして、ちょっと失敗しちゃった人を幾人か見ています。
肩に力がはいって「べき」の鎧をまとってしまった人。
管理職になったとたんに「管理的」になって、小言ばかり言うようになった。
笑顔なのは校長と話すときや、自分の思い通りになっているときだけ、困ったことが起きて相談したとたんに表情が険しくなって責められて……相談しなければよかった、と若い職員に思われる上司。
自分の気に入っている職員とは親しく話すけれど、自分に声をかけてくれることは少ないみたい……。
初任で至らないのは自分でもわかっているけれど、いつも誰かと比べて厳しいことを言う管理職……。

管理職になったあなたの、教諭だったときの姿を知っている人がたくさんいます。教室や職員室に昔の自分を見ることもあります。
先生の話に「なんでだよ」と尖っていたあなた、友達とわかり合ってはじけるような笑顔のあなた、初任者で右往左往していた頃のあなた、難しいクラスや子どもたちと真摯に向き合ってきたあなた、職員室の中で困っている人にそっと手を差し伸べていたあなた。
学校っておもしろい。昔の自分とあちこちで出会う場所。
管理職になると、仕事の中身は変わるけど、人格を変えろなんてだれも期待していないので、あなたらしく、自然に。
この学校を、子どもたちが安心して学び、生活できる場所に、大人たちも安心して働けて、子どもたちが幸せに学び生活できる場所にするために、頭を働かせる。
学校ってクリエイティブで楽しい場所だと思って、楽しく暮らしてください。 失敗は学び。笑顔で、サンキューサヨナラの3月を抜けて、新年度、シアワセな4月に踏み出そう。


森万喜子

<プロフィール>
森万喜子(もり・まきこ) 北海道生まれ。北海道教育大学特別教科教員養成課程卒業後、千葉県千葉市、北海道小樽市で美術教員として中学校で勤務。教頭職を7年勤めた後、2校で校長を勤め、2023年3月に定年退職。前例踏襲や同調圧力が大嫌いで、校長時代は「こっちのやり方のほうがいいんじゃない?」と思いついたら、後先かまわず突き進み、学校改革を進めた。「ブルドーザーまきこ」との異名を持つ。校長就任後、兵庫教育大学教職大学院教育政策リーダーコース修了。現在は、北海道の公立学校初任者指導講師として活動するかたわら、青森県が7月に設置した同県教育改革有識者会議の副議長としても活躍中。


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