「エジソンは何回失敗したでしょうか?」全校朝会【校長講話】文例集 #1

連載
全校朝会【校長講話】文例集

兵庫県公立小学校校長

俵原正仁
連載 全校朝会【校長講話】文例集 執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

全校朝会での校長講話といえば、校長先生にとって腕の見せどころです。とはいえ、毎月、子供たちの知的好奇心を掻き立てたり、子供たちの心を整えたりする内容を考えるのは苦労するもの。そこで、本連載(月1回公開、全11回)では、学級経営や学校経営に関する多数の著書をもつ俵原正仁先生が、実際に使用したスピーチの全文を公開します。4月は講話「エジソンは何回失敗したでしょうか?」を取り上げます。

執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

4月のテーマはこう選ぼう

4月は、年度初めということもあって、校長の願いや思いなど、年間を通じて子どもたちにがんばってほしいことを話題にします。それと、4月の話に限ったことではありませんが、全校朝会後に、各クラスで学級指導につなげることができるような話をすることも意識しています。

今回のキーワードは「もう1回がんばる」です。

4月の講話「エジソンは何回失敗したでしょうか?」全文

エジソン

【まず、電球を出して見せる】(※1)

みなさんは、電球を発明した人を知っていますか?(※2)

そう、エジソンです。

ちびまる子ちゃんの歌で「エジソンはえらい人~」という歌詞があるので、エジソンという名前は聞いたことがあるという人は多いかもしれませんね。1300以上の発明をして、発明王と言われている人です。その中でも特にエジソンの三大発明と言われているモノが、蓄音機、動画撮影機、電球です。

ただ、最初に電球を発明した人はエジソンではありません。ジョセフ・スワンという人がエジソンより1年前に電球の発明に成功しています。スワンって知っている人いますか?

実は、校長先生もスワンという人は知りませんでした(※3)。どうして、最初に電球を発明したスワンより、エジソンの方が有名なのでしょうか? 実は、スワンの電球は短い時間(40時間)しか点灯しませんでした。それに比べて、エジソンの電球は、その25倍の1000時間も点灯し続けることができたのです。エジソンが長い時間点灯する電球を発明したからこそ、世の中に電球が広まったのです。つまり、多くの人が電球を使うことができるようになったのは、エジソンのおかげだということで、エジソンのほうが有名になったということです。

では、ここで問題です(※4)。 

エジソンは、電球を長い時間点灯させるために、何回、実験をしたのでしょうか?

①1回 ②10回 ③50回 ④1万回。

①だと思う人? ②だと思う人? ③だと思う人? ④だと思う人?(※5)

正解は、1……万回です(※)。2万回という説もあります。でも、1万回の実験ってすごいですよね。当時の人もそう思ったみたいです。

インタビューで「1万回、失敗しても実験を続けたことは…」と聞いたとき、エジソンはこう答えたそうです。

「I have not failed. 私は失敗なんかしていない」

インタビューしていた人は驚いたでしょうね。「いやいや、1万回失敗したって聞いてますけど…」と、心の中で突っ込んでいたと思います。

エジソンは、話をこう続けたそうです。

「この方法では、電球は光らないという発見を今までに1万回してきたのだ」
「それは失敗じゃなくて、その方法ではうまくいかないことがわかったんだから成功なんだよ」

多分、エジソンは、『どやっ』…という表情をしていたと思いますよ。

また、次のようなことも言っています。

「私たちの最大の弱点はあきらめることにある。成功するのに最も確実な方法は、常にもう一回だけ試してみることだ」

だから、エジソンは電灯がつかなくても、そこであきらめずに「もう1回やってみよう!」と実験を続けたんですね。

さらにこのようなことも言っています。

「全ての可能性を使い切ってしまったとき、こう思い出すんだ。……まだ使い切っていない(※7)

エジソンが、実験を1万回も続けることができた秘密はこの気持ちをもっていたからなんですね。もう無理だと思ったところから、さらにもう1回がんばることが大切だということです。

今日から新しい学年が始まります。

今、みなさんは学年が1つ上がって、やる気全開だと思います。この後、クラスで1年間の自分の目標を決めるかもしれません。いろいろなことに挑戦しようと張り切っている人も多いと思います。

でも、この1年の間に、もしかしたら、うまくいかないことがあるかもしれません。そんなときにこそ、今日の話を思い出してくださいね。これで、校長先生の話を終わります。

話し方のコツとポイント解説

私は、パワーポイントなどで、スライドショーを作って話をしています。現在は、感染症対策としてテレビ朝会のような形で行っていますが、コロナ禍前は、体育館のステージでプロジェクターでスクリーンに映しながら、スティーブ・ジョブズのように話をしていました。

(※1)【まず、電球を出して見せる】
モノを用意しましょう。子供たちの食いつきが違います。箱や袋から出すなど、もったいぶって見せると、さらに子供たちの集中力は増します。

(※2)電球を発明した人を知っていますか?
一方的に話すだけでなく、問いかけることで、子供たちも主体的に話を聞くようになります。

(※3)実は、校長先生もスワンという人は知りませんでした
教師自身が知らなかったこと、驚いたことなどは実感を持って話ができるので、教師の言いたいことが、子供たちに伝わりやすくなります。

(※4)では、ここで問題です
クイズ形式にすることで、子供たちは答えが何かを考えることになり、主体的に話を聞くことができるようになります。

(※5)①だと思う人? ②だと思う人? ③だと思う人? ④だと思う人?
子供たちに回答を聞くときは、手を挙げる、その場に立たせるなど、活動を伴わせます。

(※6)1……万回です
間を開けるなどして、もったいぶって、正解を告げましょう。さらに盛り上がります。

(※7)こう思い出すんだ。……まだ使い切っていない
ここも、たっぷり間を開けます。感情を込めて話してください。


俵原正仁先生

俵原正仁(たわらはら・まさひと)●兵庫県公立小学校校長。座右の銘は、「ゴールはハッピーエンドに決まっている」。著書に『プロ教師のクラスがうまくいく「叱らない」指導術 』(学陽書房)、『なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝!  全員をひきつける「話し方」の極意 』(明治図書出版)など多数。

イラスト/イラストAC

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