「本には多くの宝が眠っている」全校朝会【校長講話】文例集 #3

連載
全校朝会【校長講話】文例集

兵庫県公立小学校校長

俵原正仁
連載 全校朝会【校長講話】文例集 執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

全校朝会での校長講話といえば、校長先生にとって腕の見せどころです。とはいえ、毎月、子供たちの知的好奇心を掻き立てたり、子供たちの心を整えたりする内容を考えるのは苦労するもの。そこで、本連載(月1回公開、全11回)では、学級経営や学校経営に関する多数の著書をもつ俵原正仁先生が、実際に使用したスピーチの全文を公開します。6月は講話「本には宝が眠っている」を取り上げます。

執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁

6月のテーマはこう選ぼう

読書する子供たち

6月といえば、梅雨。外で遊ぶことができない日も多く、アウトドア派の子供たちにとってはストレスがたまる時期です。ただ、外で遊ぶことができない時期だからこそ、読書の楽しさを味あわせるチャンスの月だと言い換えることもできます。そこで、今回は、誰もが知っているあの人の名言から、読書の素晴らしさを子供たちに伝えていきます。キーワードは「宝」です。

6月の講話「本には多くの宝が眠っている」全文

ウォルト・ディズニーという人を知っていますか? みんなも知っているミッキーマウスをはじめとする多くのキャラクターの生みの親で、ディズニーランドやディズニーシーなどのディズニーリゾートをつくった人です。ディズニー映画の1つである『パイレーツ・オブ・カリビアン』という映画は、ディズニーランドにある「カリブの海賊」というアトラクションがモチーフになっています。このアトラクションを考えたディズニーの言葉(※1)に次のようなものがあります。

宝島の海賊たちが盗んだ財宝よりも、「?」には多くの宝が眠っている。そして、何よりも、宝を毎日味わうことができるのだ。

では、ここで問題です(※2)。

「?」の中には、どんな言葉が入るでしょうか?
①海 ②本 ③カレーライス

①の「海」だと思う人。②の「本」だと思う人。③の「カレーライス」だと思う人(※3)。校長先生は、カレーなら、毎日食べてもあきません(笑)。

正解は……(※4)「宝島の海賊たちが、盗んだ財宝よりも、本には多くの宝が眠っている。そして、何よりも、宝を毎日味わうことができるのだ。」……②の「本」が正解です。本には、宝を手にした時のような楽しいこと、嬉しいこと、ワクワクすることがたくさんあるということです。

では、〇〇小学校で本という宝が一番たくさんあるのはどこか分かりますか?5) そうです。図書室ですね。では、ここで2つ目の問題です。

〇〇小学校の図書室には何冊の本があるでしょうか?
①774冊 ②1万7771冊 ③約4342万冊(※6)

①の774冊だと思う人? ②の1万7771冊だと思う人? ③の約4342万冊だと思う人?

正解は……①の「774冊」は、〇〇小学校が昨年1年間で買った本の数です。だから①ではありません。正解は②の「1万7771冊」です。

ちなみに③の「約4342万冊」は、日本で一番本の数が多い国立国会図書館にある本の数です。日本で出版されているほとんど全すべての本があるそうです。毎年、新しい本は出版されているので、毎年80万冊ずつ増えているそうです。すごいですね。

今、玄関ロビーには、図書委員会の人や先生たちのおススメの本が飾られています(※7)。 校長先生のおススメの本は、『ごめんね ともだちです』。図書室にありますので、探してみてください。

『ごめんね ともだち』(作・内田麟太郎/絵・降矢なな/偕成社)
『ごめんね ともだち』(作・内田麟太郎/絵・降矢なな/偕成社)

6月は、雨が降って、外で遊べない日も多くなりますが、そんな時だからこそ、〇〇小のみなさんには、いっぱい本を読んで宝物をたくさん見つけてほしいと思っています。

これで校長先生のお話を終わります。

話し方のコツとポイント解説

(※1)読書に関する名言はディズニーだけではありません。私が好きな名言の1つに、「よき書物を読むことは、過去の最もすぐれた人たちと会話を交わすようなものである」 (ルネ・デカルト/哲学者・数学者/フランス)というものもあります。デカルトの言葉を軸に話を進めていくパターンもあります。

(※2)クイズ形式にすることで、子供たちは、答えが何か考えることになり、主体的に話を聞くようになります。

(※3)回答を聞くときは、手を挙げる、その場に立たせるなど、活動を伴わせます。ぼんやりと話を聞き流すことがなくなります。③のようなボケをしなくてもかまいません(笑)。

(※4)間を開けるなどして、もったいぶって、正解を告げましょう。さらに盛り上がります。

(※5)ディズニーの後は、自分たちにとって身近な図書室の紹介です。子供たちに自分の学校の図書室への興味をもたせることがねらいです。

(※6)①と②は図書室の実際のデータを、③には子供たちが驚くようなデータを入れましょう。

(※7)本校では、6月に図書委員主催でこのような企画を毎年行っています。このような取組をしていない学校の場合、校長先生のお薦めの本を紹介するだけでもかまいません。子供たちの「図書室に行ってみようかな」という気持ちを高めることができるはずです。


俵原正仁先生

俵原正仁(たわらはら・まさひと)●兵庫県公立小学校校長。座右の銘は、「ゴールはハッピーエンドに決まっている」。著書に『プロ教師のクラスがうまくいく「叱らない」指導術 』(学陽書房)、『なぜかクラスがうまくいく教師のちょっとした習慣』(学陽書房)、『スペシャリスト直伝!  全員をひきつける「話し方」の極意 』(明治図書出版)など多数。

イラスト/イラストAC

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