小3理科「ゴムや風の力」指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア
小3理科「ゴムや風の力」

執筆/北九州市立日明小学校教諭・茨木 康佑
 北九州市立八児小学校教諭・松本 祥吾
監修/文部科学省教科調査官・鳴川 哲也
 北九州市立泉台小学校校長・平川 信乃
 北九州市立日明小学校教頭・企救岳 智宏

単元の目標

ゴムと風の力と物の動く様子に着目して、ゴムの伸ばし方や風の強さを変えたときの物の動き方の違いを比較しながら、ゴムと風の力の働きについて調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察・実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題を解決しようとする態度を育成することがねらいとなります。

学習指導要領では、ゴム(風)の力は、物を動かすことができること。また、力の大きさを変えると、物が動く様子も変わることを指導するよう示されています。

子供が問題解決の活動を通して、上記の内容を理解するように指導しましょう。また、その過程において、思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を育成しましょう。

単元展開

総時数 13時間

第1次 ゴムの力と物の動き

① ゴムで動く車を作って遊んでみよう。(問題を見つけよう。)


ここでは、ゴムを先に取り扱います。理由としては、操作や調整がしやすく、定量的に扱いやすいことと、ゴムを伸ばす長さもはっきりしているため、条件制御のしやすさが挙げられます。また、手ごたえも、はっきりと実感することができます。まず、ゴムで問題を解決するための方法を学び、風の学習に生かすことができるようにします。


学習の導入となる本活動で、車をゴールにぴったり止める活動を仕組みます。ゴムを伸ばす長さと、その際の車の進む距離を結びつけ、児童に気付きをもたせ、動き方の違いから問題を見出すことができるようにします。また、ゴムを伸ばした時の手ごたえを体感させることで、エネルギーという考え方に結びつけることができます。

② ゴムの伸ばし方をかえると、車の進む距離はどのようにかわるか調べよう。(計画を立てよう。)


「エネルギー」を柱とする領域である本単元は、主として量的・関係的な視点でとらえることが大切です。ゴムの伸ばす長さや車の進む長さの数値化や一覧表示等を通して「量的・関係的」な見方を働かせることができるようにしましょう。

③ ゴムののばし方をかえると、車の進む距離はどのようにかわるか調べよう。(実験をしよう。)

④ 学習したことを深めよう。(もっと遠くまで進む車にしてみよう。)

第2次 風の力と車の進む距離

① 風で動く車を作って遊んでみよう。(問題を見つけよう。)

② 風の強さをかえると、車の進む距離はどのようにかわるか調べよう。(計画を立てよう。)

③ 風の強さをかえると、車の進む距離はどのようにかわるか調べよう。(実験をしよう。)

④ ゴムと風で動くおもちゃを作ってみよう。


車だけでなく、ゴムを動力としたプロペラ飛行機や船、風をあてると動く風車等を作ることで、「物」として一般化していきます。

⑤ 学習したことをまとめよう。

授業の詳細

第1次 ゴムの力と車の進む距離

②・③ ゴムののばし方と車の進む距離の関係を調べる

ゴムや風の力 板書(大)
(板書例。クリックして拡大)
① 問題を見いだす【自然事象との出会い】

・ゴムで動く車で遊んでみて、気付いたことを基に学習問題をつくる。

車をゴールにぴったり止めるために、どのような工夫をしましたか?

ゴムののばし方に気をつけました。

ちょうど良い長さにのばすのが難しかったね。

車をゴールにぴったり止めるには、ゴムののばし方がポイントのようですね。


ゴムののばし方をかえると、車の進むきょりはどのようにかわるのだろうか。

 予想する

・グループ内で個人の意見を出し合い、グループとしての予想をまとめる。

車を動かしている子供


根拠のある予想をすることができるように、継続的に指導することが大切です。単元の導入で、車を動かしている様子を写真や動画で記録したり、学びの足あとを活用したりして、想起できるようにします。前時の活動で、車の動き方や手ごたえの違い等、気付いたことなどを根拠として予想できるように支援しましょう。

ゴムののばし方で、車の進む距離はどうかわるかな。

ゴムを長く伸ばすと、車の進む距離も長くなると思います。

なぜそう思ったの?

ゴムを長く伸ばした時にゴールを過ぎてしまったからです。


比較しながら調べる活動を通して、問題を見出し、表現する力を育てたいものです。そこで、「ゴムを少し伸ばした時よりも、長く伸ばした時の方が~」のように、『比較』して考えを述べている児童がいたら、取り上げて価値付けをしましょう。

ゴムを長く伸ばすと、ゴムが固くなって、戻される感じがしたからです。

③ 解決方法を考える

ゴムを伸ばす長さを決めて車が進む距離を比べるとわかると思うよ。

実験方法

安全指導

ゴムを伸ばす長さ(10㎝と15㎝)を変えて車が進んだ距離を調べる。それぞれ3回ずつ調べ、結果は表に色違いのシールを貼って記録する。また、手ごたえ等、気付いたことも記録しておく。


実験は、人・もの(ゴムや車)・環境(場所や回数)などの条件を揃えて行うようにします。車を引く人や記録をする人など、役割や順番は事前に決めておくとよいでしょう。
結果を数値で記録するのが困難な場合は、車が停まった場所にシール等を貼って、結果を可視化しながら整理していきます。

④ 観察・実験をする
実験する様子
ゴムの伸ばし方をかえて実験する様子


ものさしをスタートラインに合わせ、ものさしの10㎝、15㎝の目盛りに車の先端を合わせるようにすると、子供たちも簡単に操作することができます。

⑤ 結果の処理

・表に貼ったシールの分布をもとにグループで伝え合う。


ゴムの伸ばし方と車が進んだ距離に着目して比較できるようにします。グループ内で結果がはっきりしない場合でも、黒板に全グループの結果を掲示し、全体で考えることできまりが見えてきます。
結果を全体で共有する際、子どもはどの車がよく進んだかなどの違いに着目してしまうことがあります。結果の共通点を見つけるよう声をかけるなどして、きまりを見つけていくとよいです。

結果を記した資料の例

・結果を黒板に掲示し、全体で共有する。(グループでの話合い同様、シールの分布を大まかにまとめることで、考察できるようにする。)

⑥結果を基に考察する


考察は「~と予想していたが~だった。」と予想と結果を照らし合わせて考えることができるようにしましょう。
子どもは目の前の事象(車の動き)で考察を書きがちなので、あくまでも、ものの動きを確かめるために車を使ったということを、問題や予想に立ち返るなどして、意識付けましょう。

ゴムの伸ばし方は、車の進む距離に、どう関係していたかな。

予想と同じで、ゴムを長く伸ばすほど、車の進む距離は長くなりました。

ゴムののばし方をかえると、車の進む距離は変わると言えそうです。

なぜ、ゴムを長くのばすと、車は長く進んだのかな。


ここでは、ゴムを長く伸ばすことをエネルギーの大きさとしてとらえられるようにした場面です。伸ばす長さが長いほど、ゴムが元に戻ろうとする力が大きくなるので、車に加わる力も大きくなるというように、「量的・関係的」な見方を働かせることができます。手ごたえの違いと結びつけながら、なぜ、ゴムを長く伸ばすほど、車の進む距離が長くなるのかという視点で考えさせるとよいです。

ゴムを長くのばすほど、手ごたえが大きくなったから…。

ゴムが、元にもどろうとする力が大きくなったと思う。

⑦結論を出す

・「ゴムののばし方」「車の進んだきょり」というキーワードを使って、学習のまとめをします。


「結論を出す場面の『まとめ』は『問題』に対する答えを書くようにしましょう」と伝えれば子どもは何を書けばよいかイメージしやすくなります。キーワードをもとに、短い言葉ですっきりとまとめるとよいです。


ゴムののばし方を長くすると、車の進むきょりは長くなる。

⑧ 振り返る

ゴムを長く伸ばすと、かちかちに硬くなったから、元にもどろうとする力が大きくなったんだね。

ゴムをもっと伸ばすと、もっと遠くに車を動かせると思うよ。

ゴムの数を増やすと、伸ばした時の手ごたえが大きいよ。車も、もっと進むかな。


長いゴムや太いゴムを使用することも考えられるが、口径が大きくなり、条件が変わり、混乱が生じる可能性がある為、留意する。
ゴムを増やす方法は、条件をそろえやすい。

安全指導

安全指導①
  • 強く伸ばしすぎてゴムを切らないようにする。
  • 古いゴムは、切れやすいので使わないようにする。
安全指導②
  • 車を走らせる前に、前方に人がいないことを確かめるようにする。
  • ものさしをしっかり押さえるようにする。

※「実験方法」のはじめに戻る

イラスト/したらみ

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