7月の学級通信文例:物事の捉え方を広げる働きかけ
7月に入り、一学期も残り少し。まもなく夏休みがやってきます。今回は長期の休みに入る前に、子供たちにどんなことを伝えておくのがよいか、過去の学級通信を例に挙げながら考えていきたいと思います。
目次
夏休みを有意義な期間にするために
1か月以上の休みが続く夏休みは、子供たちにとっていろいろなものに触れることのできる絶好の機会です。どこかに旅行へ出掛けなくても、近くの公園に出向くだけで鳥の鳴き声を耳にしたり、飛び回る虫を目にしたり、草木のにおいを感じたりとたくさんの刺激があります。特に中学年の子供たちは、ものすごいスピードで自分の感性を豊かに広げていくことができる年齢にあります。
しかし、そんな大切な時期に、ゲームやインターネットの世界に浸りきってしまう子供たちがいます。豊かに広がる世界への扉を、自分から閉ざしてしまっているのです。
せっかくの夏休みですから、いろいろな物を五感で感じてほしい。そんな願いから物の捉え方が広がるような働きかけをしていきます。
『子供の日記2+教師のコメント』という形式で紹介している、ある日の学級通信です。
▼学級通信「つながり」No.54
【子供の日記】
日曜セミがみんみん鳴いていました。もうセミが鳴くんだと思いました。セミが鳴くの早いなと思いました。はじめ鳴いたときはびっくりしました。もう鳴く時期なんだと思いました。セミはいつもうるさいと思ってました。でもセミは夏ってかんじがしていいなと思いました。【Aさん】
今日家で、はいくの練習をしました。全部言えたけど、足りないところもありました。学校では6こ言えました。うれしかったです。はいくっておもしろいなあと思いました。 【Bさん】
【教師のコメント】
たしかに、夏を「あつい~」というだけで終わってしまったらもったいないですね。夏らしさを感じたいです。よくわからなかったはいくもみんなでおぼえてみたらおもしろかったですね。「炭」という漢字を見た時に、「炭たいぎのタンだ!」という声があがったのには笑いました。
7月3日 学級通信「つながり」No.54
炭太祇というのは、国語の教科書に出てきた俳人の名前です。進出漢字として「炭」の字を習った時に、それよりも先に「炭太祇」を覚えてしまっていた子供たちが「炭太祇のタンだ!」と口々にした、という出来事があった一日でした。
この、はじめはつまらなかった俳句の授業もみんなで覚えてみたら面白かったという日記と、うるさく聞こえていたセミの鳴き声から夏を感じとったという感性豊かな日記を結び付けて、「つまらなく見えるものも、見方を変えると面白くなる」ことを伝え、事物の捉え方が変わるように促しています。
捉え方が変われば、自分の周りにはたくさんの面白い物事が広がっていることに気が付きます。なんとかそのきっかけを学校でつかませてあげることができるように、子供たちへの働きかけを続けていきたいと思います。
佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。