小3国語「まいごのかぎ」指導アイデア

教材名:まいごのかぎ(光村図書 三年上)

指導事項:〔知識及び技能〕(1)オ 〔思考力、判断力、表現力等〕C(1)エ
言語活動:イ

執筆/東京都公立小学校主任教諭・平形裕司
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京都公立小学校校長・加賀田真理

単元で付けたい資質・能力

①身に付けたい資質・能力

登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像する力を育成することをめざします。

特に、登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりとともに描かれる登場人物の気持ちがどのように変化しているのかを具体的に思い描くことを重点的に指導します。

登場人物の気持ちは場面の移り変わりのなかで揺れ動いて描かれることが多いため、複数の場面の叙述を結び付けながら、気持ちの変化を見いだして想像していくために、登場人物の境遇や状況を把握し、物語全体に描かれた行動や会話にかかわる複数の叙述を結び付けて読んでいくことが重要です。

②言語活動とその特徴

本単元では、最初の場面と最後の場面を比較して、「りいこの気持ち」とともに「うさぎ」「かぎ」などが変化したことを確認し、作品の構造や内容を捉えたうえで、揺れ動いているりいこの二つの気持ちを場面の様子とともに考え、伝え合うという言語活動を設定します。

「うさぎに悪いことをしたなあ」と思っているりいこが、「かぎ」を持つことで心が揺れ、不思議な出来事と出合っていく様子を場面ごとにていねいに読み取ることで、作品の魅力に迫ります。第三次では、それまでの学習を生かして「うさぎ」や「かぎ」の存在について伝え合うことで、協働で読みを深めていきます。

単元の展開(6時間扱い)

主な学習活動

第一次(1時)

◎学習の見通しをもち、学習計画を立てる。
・全文を読んで、初発の感想を書く。
・最初と最後の場面を比べ、「りいこの気持ち」や「うさぎやかぎの存在」が変化していることに着目して、なぜ変化したかの「なぞ」を解く意識を高める。
→アイデア1
・学習課題を作り、学習計画を立てる。

【単元】かぎをもった、りいこの「二つのゆれる気持ち」をさがして、くらべながら読むことで、想像を広げよう。

第二次(2~4時)

◎りいこの気持ちに着目して、場面ごとに「まいごのかぎ」を読み進める。
・かぎを持ったことによって迷うようになる、場面ごとの、りいこのゆれる気持ちに気を付けて読む。
・出来事のきっかけや、不思議な出来事との関連を考えながら表にまとめる。
→アイデア2

第三次(5・6時)

◎これまでの学習を基にして「うさぎ」「かぎ」について考えたことを伝え合うことで、作品の理解を深める。
→アイデア3
・「まいごのかぎ」という題名などの言葉に着目する。

アイデア1 最初と最後の場面を比較し、物語の「構造」を把握することで、主体的に読む意欲を高める

子供の初発の感想を基にして、最初の場面と最後の場面では、「りいこの気持ち」や「うさぎやかぎの存在」が異なっていることを確認し、どのように変化していくのかを解き明かすという意識を高め、主体的に読もうとする活動への意欲を引き出します。

「気持ちの変化」の過程をより詳しく読んでいくために、時間や場所を表す言葉に着目しながら大まかな場面分けをします。視覚的に整理することで、物語全体の流れを意識し、登場人物の気持ちの変化や性格などについて読み進めようとする、活動への意欲が高まります。

▼最初と最後の場面での登場人物の気持ちの変化

最初と最後の場面での登場人物の気持ちの変化

アイデア2 かぎを持ったりいこの「ゆれる二つの気持ち」を探して、比べながら読む

この作品は、かぎを持ったりいこが、どちらにしようか迷っていることが分かる、気持ちの揺れを表す描写がたくさんあります。場面ごとに一つ一つていねいに確認していくことで、りいこの気持ちや性格などについての想像を広げるようにしていきます。

場面ごとの気持ちの揺れをていねいに捉えることが、最初の場面と最後の場面の気持ちの変化を理解することにつながっていきます。また、かぎによる出来事のきっかけや起きた不思議な出来事と結び付けながら読み、表に整理することで、場面ごとの比較が容易になり、改めて内容を確認することができます。

▼場面ごとに整理した表

イラスト/やひろきよみ

『教育技術 小三小四』2021年6/7月号より

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