#35 この日のために練習してきた【連続小説 ロベルト先生!】

連載
ある六年生学級の1年を描く連続小説「ロベルト先生 すべてはつながっています!」

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

今回は芸術祭の映画の台本より、いよいよ長縄の本番のシーンです。この日のために練習してきました。円陣を組み、気持ちをひとつにする子どもたち。さて、結果は…。

第35話 神社の境内 ゴースト姉妹登場(芸術祭)

ゴースト1「私たちがこの前来た時間と場所はここだったのね。」

ゴースト2「何だか親善運動会のために、みんな真剣になってきたみたい。」

ゴースト1「すぐに諦めるかと思ったのに…。」

ゴースト3「この前はあきらに悪いことしちゃったな。」

ゴースト2「私たちはいたずらも好きだけど、なんか6年3組を応援したくなってきちゃったね。」

(三人頷く)

ゴースト1「よし、じゃあ、みんなで一つずつ、よいことに魔法を使いましょう。」

ゴースト3「そうだね。」

(ポーズを決めて、呪文をとなえる)

三人「パッキン、ポッキン、ブリリンパ、マカレロマカレロ、コバテマータ! えーいっ!」

ゴースト1「ねえ、モモはどんな魔法を使ったの?」

ゴースト3「もちろん私は、あきらくんの足が治る魔法よ! メイは?」

ゴースト2「私はなな子ちゃんが、上手に跳べるようにって。マミは?」

ゴースト3「わかった! もちろん、6年3組が優勝する魔法よねー。」

ゴースト1「違うわ。(真面目な顔で)」

ゴースト2&3「えーっ、違うの!」

ゴースト1「私の魔法は、めぐみさんとだいすけくんがうまくいきますようにってことよ。」

ゴースト2&3「えーっ! それじゃあ、6年3組は優勝できないの?」

【大会本番】

大会本番

あきら「みんなーっ!」

女の子8「あっ、あきらくんだ!」

男の子9「あきらが帰ってきた。」

男の子「おまえもう足治ったのか?」

あきら「うん、今日朝起きてみたら、骨がもとどうりになっていたんだ。ほら、この通り。(右足を動かして見せる)」

女の子9「よかったね。」

あきら「うん。」

だいすけ「よう、あきら。待ってたぞ。」

あきら「だいすけ。」

だいすけ「やっぱりキャプテンはおまえだよ。頼んだぞ。」

(あきらとだいすけはがっちり握手をする)

あきら「よし、じゃあ、これまでの練習の成果を見せてやるぞ!」

(円陣を組む)

のぞみ「ダメ。私もう心臓がドキドキしてる。」

かなえ「私も足がふるえてきちゃった。」

こうへい「みんな、落ち着け! おれたちはこの日のためにがんばって練習してきたんだ。やり直しはできない。悔いの残らないようにしよう!」

あきら「よし、7分間集中していくぞ!」

あやか「みんな声を出してね。」

めぐみ「なな子、きっと大丈夫。」

たまえ「勇気を出してがんばろう!」

なな子「うん。」

あきら「それじゃあいくぞ! 6年3組!」

みんな「ファイト! いっぱーつ!」

挿入歌  レベッカ「SUPER GIRL」

(ピストルの合図とともに、7分間の縄跳びがスタートする)

(声を出しながら一生懸命に跳ぶみんな)

(応援するお母さんたち)

(一人一人が跳んでいるシーンをスローモーションで)

挿入歌 レベッカ「MAYBE TOMORROW」

(7分感の終了の合図。結果は800回に届かず、うなだれる子どもたち)

(泣き崩れるめぐみ)

次回へ続く


執筆/浅見哲也(文科省教科調査官)、画/小野理奈


浅見哲也先生

浅見哲也●あさみ・てつや 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官。1967年埼玉県生まれ。1990年より教諭、指導主事、教頭、校長、園長を務め、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追求中。

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