#19 すべての行為は生き方につながっています【連続小説 ロベルト先生!】

連載
ある六年生学級の1年を描く連続小説「ロベルト先生 すべてはつながっています!」

前文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官/十文字学園女子大学教育人文学部児童教育学科 教授

浅見哲也

2学期が始まります。すべての行為は自分の生き方につながっています。模造紙の例もご紹介します。

第19話 2学期

2学期初めの黒板

久しぶりに子どもたちの元気な顔を見ると、こちらまで元気になる。

日焼けした顔はたくましく、一段と成長した様子が伺える。静まりかえっていた教室に息を吹き込む子どもたち。

夏休みの宿題を提出すると、教室は一気に、理科の自由研究や家庭科の創意工夫作品などで彩られた。どの作品も力作揃いだ。

始業式が終わり、教室に戻ると、私は子どもたちに伝えた。

「こうして、また元気な姿で皆さんに会うことができて本当に嬉しいです。

いよいよ2学期の始まりです。1学期は『真面目』をテーマにして、皆さんと一緒に取り組んできました。しかし、真面目さだけでは突き抜けられない壁があります。

それを突き破るのが努力、そう、2学期のテーマは『努力』です。2学期には、皆さんの努力がためされる行事がたくさんあります」

ここで私は、模造紙を広げ、黒板に貼った。

黒板「みんなの心得」

2学期の行事で皆さんがどんな姿を見せるのか、とても楽しみにしています。

ときには助け合い、励まし合いながら、クラスのみんなが同じ目標に向かい、ときには一人で、自分の目標に向かいます。

運動会…ソーラン節を踊ります。迫力のある声と動きが成功の秘訣。六年生は運動会を運営するための係活動も責任重大です。

写生会…神社周辺を描きます。こんな絵にしたいという思いや願いと集中力があると、すばらしい絵に仕上がります。

親善運動会…ついに来た! 長縄跳びの7分間に全力を尽くせ! 選手として、自分のため、家族のため、そして、学校のためにがんばろう!

読書感想文制作会…その本の面白さや感動をどのように工夫して作文で伝えるか。上手な読書感想文を読むと参考になります。

修学旅行…小学校の思い出ナンバーワン! 親もとから離れても、考えて行動できる自分の成長を確かめられるよいチャンスです。

緑ヶ丘小芸術祭…今年から初めての取組です。工夫した発表で、見に来てくれた人に感動を与えます。

持久走大会…走るのが得意な人もそうでない人も、自分の目標に向かってベストを尽くして走り抜きます。

そして、これらの行事だけをがんばろうと思っても、いい結果は絶対に得られません。授業、掃除、挨拶、靴そろえ、宿題、服装など、毎日のことを真面目に努力することがとても大切です。

「それは関係ないって?」

「いえいえ、そうではありません」

「それはなぜかって?」 

「そうです。『すべての行為は自分の生き方につながっているからです』」

次回へ続く


執筆/浅見哲也(文科省教科調査官)、画/小野理奈


浅見哲也先生

浅見哲也●あさみ・てつや 文部科学省初等中等教育局教育課程課 教科調査官。1967年埼玉県生まれ。1990年より教諭、指導主事、教頭、校長、園長を務め、2017年より現職。どの立場でも道徳の授業をやり続け、今なお子供との対話を楽しむ道徳授業を追求中。

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