子どもの自己肯定感を引き出す「評価カード」ちょっとしたコツ

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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章

評価活動を進めていく時、まずは多様な評価資料を収集することが求められます。その評価資料には、大別すると観察やチェックリストなどを活用した「教師による評価」と、自己評価や相互評価カードなどを活用した「子どもによる評価」があります。特に、子どもの自己評価カードは広く活用されていますが、どのようなことに気を付けて作成していくことが大切なのでしょうか。具体的な評価活動の手順として、基本となる四つの視点を取り上げます。

文・稲垣孝章(元・埼玉県公立小学校校長)

評価のイラスト
イラスト/伊神彰宏

基本となる四つの視点

一般的には、②「方法と場面」、③「実施者と実施時期」を中心に、評価カードを作成するというのが現状であるように思います。しかし、本来は①「目的と対象」と④「結果の解釈と活用」が明確であってこそ、②③が構想されていくものです。再度、評価活動の原点にもどって、適切な評価について考えていき たいものです。

個人内評価を重視するためのポイント

個人内評価とは「本人の前の成績と比べたり、他の成績と比べたりして、本人としては現状がどうかを解釈したり、成績をつけたりする評価方法」です。具体的には、個人内評価には、次の二つの側面があるので、それぞれのポイントについて簡潔に取り上げます。

(1)横断面的個人内評価
 個人のいろいろな特性を比較して、本人の長所、短所を評価すること。

(2)縦断面的個人内評価
 本人の前の成績、状況と比較して、進歩の様子を評価すること。

特に、縦断面的個人内評価を重視するためには、「前の自分より」という視点を自己評価カードに取り入れていくと、子どもの自己肯定感を高めることにもつながります。

「もう少し」でも前の自分より頑張った、「よくできた」けれど、前よりもっとよくできたという視点が子どもに自信をもたせます。多様な評価方法を工夫し、子どものよさを引き出し、伸ばすように努めていきたいものです。


『小一~小六教育技術』2014年4月号~2016年2/3月号連載「正襟危座--伝えたい--耳に痛いかもしれないけれど、教室で大切な基礎基本」より

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