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3学期は具体的な行動を重ねて足元を固めよう

連載
古舘良純の「つぶやききれなかったこと」

元・岩手県公立小学校教諭

古舘良純

自らの体験に裏打ちされた教育哲学と再現性の高いスキルをTwitter(@YoshiJunF)で発信し、若手教師を励まし続ける古舘良純先生が、Twitterではつぶやききれなかった思いを綴る連載。3学期は「足元を固める」ことが大事だと古舘先生は言います。

執筆/岩手県公立小学校教諭・古舘良純



具体的な姿のイメージを

3学期になると、決まり文句のように、「あと何日で◯年生」と子どもたちに伝えるようになります。私も6年生に、「中学生を意識して過ごそう!」「もう少しで卒業だ!」と伝えます。

そして、子どもたちと一緒に目指す方向性を考えます。子どもたちに、

残りの日数で、どんな6年生になりたいか?

と問うのです。

子どもたちは、

立派な6年生になりたいです!

下級生のお手本になるような6年生がいい!

全校のリーダーとして引っ張っていきたい!

と言います。

とても素敵な言葉が並び、担任も子どもたちも目標を共有できた気になります。しかし、

どんな姿が『立派』なのかな?
どうすれば『お手本』になるのだろう?
『リーダー』って何をすればいいの?

と続けて問うと、なかなか具体的な姿が出てきません。子どもたちも足元をすくわれたような顔つきです。

そこで、新たな視点を与える意味で、別の問いを与えます。

では、みんなが下級生だったとしよう。どんな6年生の姿が嫌だなと思う?

と聞きます。

すると、子どもたちは息を吹き返したかのようにまた答え始めます。

廊下を走っている6年生は嫌だ!

提出物を出さないのも、だらしない!

悪口や暴力もダメだと思う!

と口々に言います。

「具体的な行為」として次々に出されます。イメージしやすい言葉が並びます。

日々の行為を意味づける

ここまで考えた後、担任から子どもたちへ話を続けます。次のような内容です。

目標をもって、高く高く成長を意識する姿勢は大事なことです。ただし、成長を高く積み上げるためには、土台がしっかりとしていないといけません。足元が不安定だと、成長を積み上げることはできません。土台が不安定な状態では、高く積み上げる前に崩れてしまいます。目標には届かないでしょう。実は、今みんなが出してくれた具体的な行為を日々身につけ、定着させていくことが、「立派」「お手本」「リーダー」という目標に向かうための土台になるのです。今はまだ「立派な姿」がどんなものかわからないかもしれないけれど、きっと卒業する頃にはみんな立派になっているはずです。当たり前を当たり前にして、足元を固めていきましょう。

このような話が、自分たちの行動と目標をつなげていく一助になります。日々の行為の意味づけが、目標達成のための具体的な姿として示されることになります。教師の声かけが、「単発」ではない「一貫性」のある指導になっていくのです。

もしかしたら、学習規律や生活態度を指導しようと、「〜しません!」「〜はいけません!」「もう◯年生です!」などと、子どもたちの行動を強引に正すような指導が行われているかもしれません。もちろん、状況や実態に応じて必要な場合があるかもしれませんが、「教える」ことと同時に「育てる」意識をもっと高めてもよいのではないでしょうか。

行動の積み重ねが自信につながる

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