小3算数「3年のまとめ」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・井畑 悟
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井 健一、新潟県公立小学校校長・遠藤 昇
目次
本時のねらいと評価規準
本時2 / 5時
ねらい
ます目を使った乗法の解き方について、筆算との共通点や違いを考える活動を通して、ます目を使った計算方法の意味を理解する。
評価規準
ます目を使ったかけ算で、筆算と同じように、同じ位どうしのたし算で答えになっていることを考えることができる。

問題
算数マジックのタネあかしをしてください。

好きな数字を4つ言ってみてください。
5、6、8、2です。
縦の82と横の56をかけた答えが一瞬で分かります。
えー。無理でしょう。
縦と横の数をかけた九九を言ってください。
五八40、六八48、五二10、六二12です。
分かりました。答えは、4592です。
えー。本当ですか。筆算をして確かめてみよう。
本当だ。4592になるね。
- マジックにすることで、タネあかしをしたいという気持ちにさせる。
- 既習の筆算の方法についても確認することで、この後の筆算と比較する活動につながる。
学習のねらい
どうして、ます目に九九を書いただけで答えが分かるのかな 。
見通し
筆算みたいに、九九の答えを最後にたすんじゃないかな。
斜めにたすと答えになっているよ。
自力解決
A つまずいている子
どうして答えが分かったんだろう。
どこをたしたか分からない。どこの斜めをたすのか分からない。
B 素朴に解いている子
斜めにたしたら答えになったけど、どうして答えになるの。
どこをたして答えになったか分かる。
C ねらい通り解いている子
5×8は50×80のことだよ。4は4000の千の位だよ。
それぞれのますの中の計算の意味まで考えている。
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
どうして、答えが分かったのですか。
斜めにたすと、右下から一の位、十の位、百の位、千の位になっているので、それぞれの位ごとにたしていることになるからです。
筆算は、かける順番が決まっていたけど、ます目のかけ算 は、どのますからやってもできます。
筆算と同じところもあるし、違うところもあるんですね。
筆算のよいところは、縦に位が揃っていて見やすいことだと思います。
ます目を使った計算は、かけ算の繰り上がりを後でたせるから計算が簡単だと思います。
本時の子供のノート例
ますの中の計算の意味について考えると、筆算との共通点が見えてくる。共通点だけでなく、違いにも目を向けさせると、それぞれの考え方のよさに気付く。
学習のねらいに正対した学習のまとめ
ます目を斜めにたすと答えになる。筆算のやり方と同じで、同じ位どうしをたしていることになるから。
評価問題
となりの人に、同じやり方で算数マジックをやってみよう。どうして答えが分かったのか、マジックのタネもお話ししましょう。

期待する解答の具体例
答えは、4278です。どうしてかと言うと、(ます目を指さしながら)4×9のますは、40×90のことで、3は千の位、6は百の位です。6×9のますは、6×90のことで、5は百の位で、4は十の位です。・・・(中略) ・・・ 斜めが同じ位になっているので、一の位は8、十の位は7、 百の位は12で千の位に1繰り上がります。だから、百の位は2で、千の位は4です。

感想例
筆算は縦に位が揃っていて意味が分かりやすいです。ます目を使ったかけ算は繰り上がりが分かりやすくて計算が簡単でした。それぞれの計算方法によさがあることが分かりました。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2020年3月号より