子どもへの指示出しは、命令?依頼?促し?

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「それって正しい?」改めて問う!教師の基礎基本
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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章

学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。

文・稲垣孝章(元・埼玉県東松山市立公立小学校校長)

先生と生徒のクイズ大会的なイメージイラスト
イラスト/熊アート

子どもたちを立たせるときの号令は?

教室で座席に座っている子どもたちを立たせる際に、どのような言葉をかけますか。

  1. 「立ちなさい」
  2. 「立ってください」
  3. 「立ちましょう」

その場面によって異なることは当然ですが、教師としてそれぞれの言葉を意図的に使い分けているかどうかということが大切になります。

若い先生方に多く見られるのは、
「2.立ってください」という言葉であるように感じます。しかし、本当にそれでよいのでしょうか。 

例えば、「1.立ちなさい」は行動を指示し、『命じる』場合に使います。

「2.立ってください」は、行動のお願いをし、『依頼する』場合に使います。

「3.立ちましょう」は、強い指示ではなく、本人が行動するように『促す』場合に使います。

したがって、一般的には、「3.立ちましょう」と言葉をかけることがよいのです。

号令のかけ方と教師の立ち位置

体育等で子どもたちに指示する際に、「前へ、ならえ」という号令をかけます。

この言葉は、本来、二つに分かれています。「前へ」が心の準備をするための『予令』であり、「ならえ」が行動を命じる『動令』となります。したがって、二つの言葉の間には、時間的な間がなければならないことになります。

また、教師の立ち位置は、とても重要です。

体育のマット運動等で子どもたちの活動を教師がグループごとに見る際には、できる限り子どもたちに背中を見せず、全体が見える位置に立ちながら移動できるように配慮することが大切です。

授業が一問一答になってないか

一つの発問に対して、教師の求める答えが出るまで、子どもを指名し続けたり、一人の子どもが正解したら、次の質問に移るような一問一答の発問になっていませんか? このような問答のやりとりでは、子どもたちが「学び合い、高め合い、認め合う」学習にはなりえません。

ここで問題です。

(問)
一問一答でない授業の進め方には、どのようなものがあるのでしょうか。

教師が発問した後、正解が出るとすぐに次の発問に移ってしまうような場合に、一問一答の授業展開となるケースが多くみられます。

仮に、最初の子どもの発言で正解が出たとしても、その発言に対して、答えを導く際の考え方や手順、手法等について関連する意見を他の子どもたちから引き出すことが教師の役割です。

いわゆる子ども同士の「関連発言」を重視していくことが一問一答からの脱却の基盤となります。


『小一~小六教育技術』2014年4月号~2016年2/3月号連載「正襟危座--伝えたい--耳に痛いかもしれないけれど、教室で大切な基礎基本」より

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