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【保育×教育対談 #3】体育「体ほぐしの運動(遊び)」を幼児教育接続の入り口に|小学校の教室が変わる「保育の知恵」の活かし方

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 「保幼小の接続」や「学級経営」が見直される今、幼児教育の現場にあふれる「子どもが楽しみながら主体的に動ける仕掛け」は、小学校の教室を豊かにする宝の山。そんな「保育の知恵」の小学校での生かし方についての特別対談です。

締めくくりとなる第3回は、保育の知恵を体系化した「遊びの3つの構造」と、人間関係を段階的に育む「3つの届ける順番(ステップ)」を大公開。体育の「体ほぐしの運動(遊び)」を架け橋に、通常の教科学習までを豊かに支える集団マネジメントの真髄に迫ります。さらに、単独担任制という小学校ならではの壁や葛藤に寄り添いつつ、子どもの育ちを「信じて待つ」大人の覚悟や多様性を包み込むまなざしを徹底議論。子どもと共に歩む温かい学級経営の完成形へ向けた対話を、ぜひご覧ください。

対談:岩田純一(東京都公立小学校指導教諭)×堀内亮輔(東京女子体育大学 こどもスポーツ教育学科 准教授、保育士)

岩田純一(いわた・よしかず)東京都公立小学校指導教諭。平成30年度体育授業優秀教員(日本学校体育研究連合会)。東京都小学校体育研究会で正副部長を歴任。小学館「みんなの教育技術」で学級レクや体育の指導法を多数発信し、全国の教員から支持を得ている。

堀内亮輔(ほりうち・りょうすけ)東京女子体育大学 こどもスポーツ教育学科 准教授。10年の保育士経験を経て幼児の運動遊びを研究。NHK『おかあさんといっしょ』等の番組監修や保育者研修講師を務め、子どもと共につくる運動遊びの普及に尽力している。

前回の記事はこちら:
【保育×教育対談】小学校の教室が変わる「保育の知恵」の活かし方〈第2回〉】子どもの「楽しい!」を引き出す遊びの導入法

遊びの「3つの構造」と「3つの届ける順番」

堀内:それでは改めて、保育で実践されている「遊びの引き出し」を、より具体的、かつ構造的に整理して先生方に活用していただくための、基本となる「遊びの3つの構造」と、それを子どもたちに提供していく上での「3つの届ける順番(ステップ)」について、少し整理してお話しさせていただければと思います。

岩田:お願いします!

堀内:私たちは、実践の中で見られる楽しさを、大きく3つの構造として整理しています。

一つ目は、先ほどからお話ししている『忍者手裏剣』や『狼さん、いま何時?』などの「競争系・対立系の遊び」です。これは、鬼と子ども、攻撃する側と守る側というような役割の対立構造をもっており、そのスリルや駆け引きをその場で味わう楽しさをもっています。ちなみに、この競争系の要素というのは、単なる「遊び」の時間だけでなく、日々の学級活動の中にも応用して取り入れることができます。

例えば、「音楽をかけたら、子どもたちがお片付けを始める」という実践もまさに、この「競争系・対立系」の遊びの構造を日常にうまく取り入れた事例です。つまり、ただ言葉で「早く片付けなさい!」と指示を出すのではなく、「この楽しい音楽が鳴り終わるまでの間に、みんなで力を合わせて全部お片付けをすることができるか、それとも音楽の方が先に終わってしまうか、さあ、音楽との勝負だよ!」というふうに、活動に一定の「条件」や「制限時間」というハードルを設ける。そうすると、子どもたちは「あっ、もうすぐ曲の最後のサビが始まるぞ! 曲が終わる前に急いで片付けなきゃ!」というふうに、お片付けという作業を、音楽との楽しい競争、遊びの文脈として捉えられたとき、楽しみながら身体を動かすようになるんですよね。

ただ単に「掃除をしなさい」「片付けなさい」と指示するのではなく、こういった遊びの要素をいかにして日常の活動の中に溶け込ませていくか。これが一つ目の競争系の構造です。

岩田:なるほど、お片付けの音楽も、競争系の遊びの構造なのですね。

堀内:そして二つ目の構造が、『あんたがたどこさ』や『おはながわらった』などの「シンクロ系・同調系の遊び」です。これは、周りの友達や先生と、特定の音楽のリズムやタイミングをぴったりと合わせたり、ある音の合図のときに全員で一斉に特定のアクションを起こしたりすることによって、お互いの一体感や心地よい調和を身体感覚として味わう楽しさをもっています。

そして三つ目の構造が、私たちが以前、創作あそび作家のたにぞう(谷口国博)さんと一緒に行った実践の中で使った『Up,Down,Side』(動画)や、『みんなの教育技術』記事で岩田先生が紹介していた『仲良くなれるかな』のように、お互いのポーズが「せーの」で合うか・合わないかという、自分の力ではどうにもコントロールできず、ただ「偶然を信じるしかない」という要素をもった「偶然系の遊び」です。

この、①競争系・対立系、②シンクロ系・同調系、③偶然系、という「遊びの3つの構造」を、大人の側がしっかりと頭の中に引き出しとしてもっておくこと。これが、子どもたちに遊びを提供する上での、重要な第一歩になります。

イラスト:髙橋正輝
① 競争系・対立系
楽しさの核 役割の対立や競争を楽しむ
スリル、駆け引き、制限やハードルへの挑戦
特徴・具体例 鬼と子ども、攻撃する側と守る側など、異なる役割の 「対立構造」をつくり、その場で生まれる スリルや駆け引きを楽しむ。

また、「時間内にできるか」といった条件や制限を設けることで、 活動そのものを競争や遊びとして捉えられるようにする。

例: 忍者手裏剣/狼さん、いま何時?/だるまさんがころんだ
日常への応用 音楽を使ったお片付け
「早く片付けなさい」ではなく、 「音楽が終わるまでに片付けられるか、音楽と勝負!」と設定する。

「音楽が終わる」という制限時間を設けることで、 お片付けを単なる作業から 「音楽との競争」という遊びの文脈に変える。
② シンクロ系・同調系
楽しさの核 リズムや動きが合うことを楽しむ
一体感、同調、心地よい調和
特徴・具体例 友達や先生と音楽のリズムやタイミングを合わせたり、 特定の音や言葉を合図にして、 全員で一斉に同じアクションを起こしたりする。

「みんなと合った」という感覚を通して、 一体感や心地よい調和を身体感覚として味わう。

例: あんたがたどこさ/おはながわらった/春が来た
日常への応用 「特定の音で一斉に動く」 「同じタイミングで動作する」といった仕掛けを日常活動に取り入れる。

個々に指示して動かすのではなく、 みんなでタイミングを合わせること自体を 楽しさに変える。
③ 偶然系
楽しさの核 予測できない偶然を楽しむ
「合う/合わない」の意外性や期待感
特徴・具体例 お互いが「せーの」でポーズを出すなど、 自分だけでは結果をコントロールできない状況をつくる。

「一緒になるかもしれない」という期待感や、 「合った/合わなかった」という予測できない結果そのものを楽しむ。 合えば嬉しく、合わなくても面白い。

例: Up,Down,Side/仲良くなれるかな
日常への応用 「結果が事前には分からない」 「相手の選択によって結果が変わる」といった偶然性を活動に取り入れる。

正解や成功だけを目指すのではなく、 予測できない結果そのものを楽しめる活動にする。

岩田:遊びの特徴が、3つの構造としてクリアに整理されましたね。では、それを子どもたちに実際に「届ける順番」というのは、具体的にどういったステップになるのでしょうか。

堀内:はい。この3つの構造をもった遊びについて、学級開きの時期や子どもたちの関係性の状態に合わせて「届ける順番」を意識することも、学級の人間関係を育んでいく上で大切な視点の一つだと考えています。私たちがいつも推奨しているのは、以下の「3つのステップ」に沿って遊びを届けていく、という方法です。

まず、一番最初の【ステップ1】として行うのは、「先生(大人)と、子どもたち全員」という、大人の側と子どもたち側とが向き合って行う遊びです。具体例を挙げるならば、まさに先ほどの『忍者手裏剣』や、その場バージョンの『狼さん、いま何時?』、あるいは『だるまさんがころんだ』などがこれに該当します。

なぜ、私たちが最初の段階では、大人と子どもが向き合う遊びから始めることを大切にしているのかというと、まだ子どもたち同士の関係が十分に温まっていない時期や、新学期の最初の段階において、まずは何よりも先に「先生と、子どもたち全員」との間の信頼関係をしっかりと構築する必要があるからです。「今からこのクラスでみんなと一緒に授業を作っていく先生は、一人ひとりの声を受け止めてくれる、共感的でおもしろい先生なんだ」という関係性を、まずはこのステップ1の遊びを通して築いていくわけです。しっかりと受け止め、問いかけ、子どものアイデアを取り入れるというプロセスの心地よさを、まずは先生との間の遊びで十分に体験していきます。

岩田:まずは先生と子どもたち全員との関係性、ベース作りから始めるわけですね。

堀内:その通りです。それが十分にできて、学級の中に安心感が育ってきたら、次の段階として【ステップ2】へと進みます。

このステップ2で届けるのは、「ペア(2人組)や、少人数のグループ」で行う関係づくりの遊びです。ここでは、先生と子どもという関係性から一歩進んで、「子どもたち同士の人間関係」を育むための遊びを提供していきます。

具体的なやり方としては、先ほどステップ1の段階では先生と全員とでやっていた『忍者手裏剣』の遊びを、今度は「じゃあ、次は近くのお友達と2人組のペアになって、お互いに忍者になって手裏剣を出し合って、よけ合ってみようか!」というふうに、子ども同士の活動へと移行させていくんです。

あるいは、先ほどの「偶然系の遊び」を使って、「2人でせーのでポーズを合わせて、イカのポーズかタコのポーズか、同じポーズになれるかな?」というような遊びをやってみる。そして、そのペアを「じゃあ、次は違うお友達を見つけて、どんどんペアを変えてやってみよう!」というふうに、次々にパートナーを変えていく。

このステップ2を行うことによって、子どもたちは特定の仲良しの子だけでなく、クラスの中の様々な友達との間で、遊びを介した自然で心地よいコミュニケーションの経験を、スモールステップで積み重ねていくことができるようになります。

岩田:なるほど、子ども同士の少人数の関わりへと広げていくのですね。

堀内:ええ。そして基本的な考え方としては、少人数での関係が育ってきた段階で、ステップ3となる「大人数・クラス全体での集団遊び」へと広げていきます。

ここでは、『じゃんけん列車(貨物列車)』のように、クラスの全員が一つにつながって大きくなっていくような、集団全体のつながりを実感できる遊びを届けたり、あるいはクラスをいくつかのチームに分けて、一定の勝敗のあるチーム対抗のゲームを行うことによって、チーム内の協力的な関わりや、クラス全体としての一体感を高めていくような関わりを行います。

このように、①先生と全員(ステップ1)→②ペアや少人数(ステップ2)→③クラス全体・集団(ステップ3)というふうに、子どもたちへの「遊びの届ける順番」を段階的にマネジメントしていくこと。これを「体育の授業(運動遊び)」というフィジカルな領域を入り口として日常的に実践していくことが、クラス全体の人間関係を育む上で、ものすごく大切なことだと考えています。

イラスト:髙橋正輝
STEP 1|先生(大人)と子どもたち全員
ねらい 先生と子どもたち全員との信頼関係をつくる
学級の中に「安心して参加できる」という土台をつくる。
関係の形 先生(大人) ⇔ 子どもたち全員

まずは子ども同士を直接つなげるのではなく、 先生が中心となって子どもたち全員と向き合う。
ポイント 新学期や学級開きの時期は、まだ子ども同士の関係が十分に温まっていない。 そこで最初に、先生が 子どもの声を受け止める・問いかける・アイデアを取り入れる という関わりを遊びの中で積み重ねる。

「この先生なら自分の声を出しても大丈夫」 「一緒に活動すると楽しい」という感覚を育てることが、 その後の関係づくりのベースになる。
遊びの例 忍者手裏剣/おおかみさん、いまなんじ?(その場バージョン)/ だるまさんがころんだ など
STEP 2|ペア・少人数の小グループ
ねらい 子ども同士の人間関係を少しずつ広げる
遊びを介して、様々な友達と自然に関わる経験を積み重ねる。
関係の形 子ども ⇔ 子ども
ペア(2人組)や少人数の小グループで関わる。

先生との関係を土台にしながら、 子ども同士の関係へと活動の中心を移していく。
ポイント ステップ1で行った遊びを、 今度はペアや少人数で行う形へ展開する。

また、同じ相手だけで続けるのではなく、 パートナーを少しずつ変えることで、 特定の仲良しだけに関係を限定しないようにする。

大集団の中でいきなり関係づくりを求めるのではなく、 少人数という安全な単位で、 自然で心地よいコミュニケーションの経験を積み重ねる。
遊びの例 ペアで忍者手裏剣
2人で手裏剣を出し合い、お互いによける。

偶然系のペア遊び
「せーの」でイカ/タコなどのポーズを出し、 同じポーズになるかどうかを楽しむ。

その後、相手を次々と変えながら、 クラスの様々な友達との関わりへ広げていく。
STEP 3|大人数・クラス全体
ねらい クラス全体のつながりや一体感を育てる
協力する経験や、集団の一員として活動する心地よさを味わう。
関係の形 クラス全体・大人数の集団

先生との関係、ペアや少人数での関係が十分に育った段階で、 関わりをクラス全体へ広げる。
ポイント 大人数での遊びは最初から行うのではなく、 子ども同士の関係が十分に温まった後に届ける。

クラス全員がつながる遊びや、 チーム対抗の遊びなどを通して、 個々の関係から集団全体の関係へと発展させる。

チーム内で協力する経験や、 クラス全体で一つの活動を共有する経験によって、 集団としての一体感を育てていく。
遊びの例 じゃんけん列車(貨物列車)
クラスの子どもたちが次々につながり、 集団が一つになっていく感覚を楽しむ。

チーム対抗のゲーム
クラスをいくつかのチームに分け、 一定の勝敗を取り入れながら、 チーム内の協力やクラス全体の一体感を育てる。

体ほぐしの運動(遊び)を制するものは学級を制する!? 学習指導要領の改訂と接続

岩田:今、堀内先生が整理してくださった「3つの届ける順番」は、私自身、どんな学年を担任しているときであっても、必ずこのステップを意識して体育の授業の中に取り入れていました。今のお話を伺って、自分がやってきた実践の構造が、きれいに言語化されたなと感動しています。

堀内:岩田先生は、すでに現場でこのステップを実践されていたのですね!

岩田:まさに、学級開きの4月の最初の頃には、どの学年であっても、私は最初の体育の授業で、幼児教育でもやられているような遊びを全力でやります。たとえば『じゃんけん列車(貨物列車)』をしたときに、私は「こうやって男女関係なく、みんなで一緒に全力でじゃんけんして、一つの大きな列車につながれるって、とても素敵だし、楽しいよね! それができるこのクラスと出会えてうれしい!」というふうに、遊びの中で見つけた価値を言葉としてクラス全体に投げかけています。

そうやって、いつでも、どこでも、だれとでも関わることができる良さを体育の授業の中で豊かに経験しているクラスというのは、国語や算数などの時間にも「では自分の考えを近くの席の人と自由に交流しよう」と言ったときに、その交流の質やスムーズさが全く違うものになります。なぜなら、子どもたちはすでに体育の活動(遊び)を通して、お互いの心の距離がぐっと縮まっているからです。だからこそ、授業の中で交流し合う場面になっても、誰とでもスムーズに、お互いの意見を交わし合うことができる子に育っているんですよね。体育科における運動(遊び)の経験が、他の教科の学習活動の土台としても生かされているわけです。

堀内:まさに、身体を動かす学びを通して培われたコミュニケーションの力が、国語や算数といった知的な学びの場面の人間関係を支えているというすばらしい構図ですね。

岩田:本当にその通りなんです。そして、この「遊びがもつ高い価値」に関連して、非常にタイムリーで重要な教育界の動きとして、文部科学省が現在進めている、新しい『学習指導要領』の改訂に向けた様々な会議や議論の内容があります。

これまで、小学校の学習指導要領において、体育科のなかに「遊び」という明確な文言がついていたのは、幼児教育からの接続期にあたる「第1・2学年(1・2年生)」の段階だけだったんですよね。しかし、現在行われている新しい改訂の議論の中では、その「運動遊び」という文言の対象年齢を、「第4学年(4年生)」まで引き上げよう、という方向での検討が進められているんです。

つまり、中学年にあたる4年生までの体育の授業においては、個別の運動スポーツのスキルをきっちりと教え込むこと以上に、「運動遊び」という枠組みの中で、身体を動かす楽しさそのものを存分に味わわせたり、遊びを通した豊かな人間関係を培ったりするプロセスが、この時期の子どもの学びに重要である、というふうに国の教育方針でも、遊び込むこと自体に価値があり、その中で学びや技能が生まれると考えられているということなんですよね。

堀内:それは、私たち幼児教育の世界にとってもうれしいニュースです。まさに、遊びの価値が小学校以降の教育の中でも、改めて注目され、位置づけられつつあるということですね。

岩田:そして、実際の小学校の体育のカリキュラムを見てみると、まさにそうした遊びの要素を実践できる「領域」が、すでに最初から用意されています。それは、「体つくり運動」という領域の中に含まれている『体ほぐしの運動(運動遊び)』という単元です。

この体ほぐしの運動(遊び)というのは、小学校の学習指導要領の中でも、明確に「自己の心と体の状態に気付いたり、みんなで関わり合ったりするとともに、様々な基本的な動きを楽しく経験する」ことが、内容として示されている領域なんです。だからこそ、私は4月や5月の学級開きの最初の段階、クラスの人間関係を丁寧に作りたいと考えているその時期に、この体ほぐしの運動(遊び)を体育の授業に取り入れることには、大きな意味があると考えています。

保育園や幼稚園、認定こども園の中で子どもたちがそれまで豊かに経験していた遊びの要素、リズムの心地よさを、体育の「体ほぐしの運動(遊び)」の中で、バトンを引き継いで実践する。そうすることによって、子どもたちの新しい環境への適応はもちろんのこと、その後の学級経営にもスムーズに、かつ豊かにつながっていくことになる。そう私は確信しています。

堀内:「体ほぐしの運動(遊び)」が、幼児教育と小学校教育をつなぐ架け橋になっているというわけですね。

岩田:まさにその通りです。ただ、小学校の現場では、この「体ほぐしの運動(遊び)」がもっている特性が十分に伝わっていなかったり、理解されていなかったりする現状もあるように感じています。そのため、「体ほぐしの運動(遊び)」が体を動かす心地よさを味わい、友達と一緒に体を動かす楽しさやつながりを体験できる良さをもっていても、適切な時期やタイミングで扱われないともったいないし、その価値が十分に生かされていないようにも思います。

例えば小学校では5、6月に体力テストを行う学校が多く、4月の最初の体育では、「陸上運動系」の学習を行い、50メートル走のタイムを測ったり、体力テストに向けた準備をしたり、整列などの集団行動を身に付けたりする時間に充てている場合もあります。最初の体育の授業では、まだ先生や子どもたちの関係性が何もできていないからこそ、子どもたちが楽しい体育の時間と出合い、クラスの人間関係を遊びを通して豊かに育める最大のチャンスにしたいと考えています。

だから私は「幼児教育からの接続として、体育の『体ほぐしの運動(遊び)』を最初に充実させることが、新しい学級のスタートによりよい効果を生み出す」ということを、先生方に向けて発信していければと考えてます。やや大げさかもしれませんが、「体ほぐし運動(遊び)を制するものは、学級経営を制する」と言ってもいいほど価値をもっていると思います。遊びを通した学びがクラスづくりに直結するものなんだとわかったら、自分も4月の最初の体育の授業で、あの忍者手裏剣の遊びや、あんたがたどこさのジャンプ遊びを、体ほぐしの運動(遊び)の時間にやってみようかな!」と思っていただけたらうれしいです。

そして、実際に試してみることで、「本当だ! ちょっと取り入れただけで、子どもたちの表情が一気に明るくなって、クラスの関係も良くなった!」と感じてくれる先生がたくさん増えていくのではないかと思っています。

堀内:「体ほぐしの運動(遊び)を制するものは、学級を制する」。いいですね! 本当に、小学校のすべての先生方に届けたい、良いスローガンだと思います。

イラスト:髙橋正輝

「待つ」という勇気と自ら育つ力――3歳児の実践エピソードから

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