4月の荒れ予防!学級崩壊を防ぐファーストステップ|「言葉遣い」と「聞く姿勢」で地盤固めをしよう【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#4】
4月の教室には、独特の空気があります。期待と不安が入り混じり、新しい環境で子どもも先生も少し緊張しているからです。この空気は、始業式からおよそ2週間ほど漂っていると思いますが、その間に効果的な施策を行うことで、「荒れ」を未然に防ぐことができます。特に効果的なのは、「言葉遣い」と「聞く姿勢」による土台づくりです。一緒に見付けていきましょう。

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志

目次
4月のファーストステップで学級の地盤固めをしよう
4月の初期段階で学級の地盤固めをしっかり行っておくと、教室は1年を通して驚くほど安定します。
この地盤固めとは、言い換えれば規律です。学校は小さな社会ですから、すべての基本は規律があるか否か。そして、小学校の学級経営で規律を導入するのは、決して難しいことではありません。
それは、教師と子どもの言葉遣いをていねいにすること。そして、教師の話を最後まで聞くルールをつくること。すぐに実行できて、効果は抜群です。
①教師の言葉遣い
まずは、教師の言葉遣いです。あなたは子どもたちをどう呼びますか?
「くん」「ちゃん」「呼び捨て」……いろいろありますが、ぜひこの機会に 全員を“さん付け” に統一することを意識してください
それには、2つの理由があります。
適切な距離感が保てるから
「ちゃん」や「呼び捨て」は家族や友だちのような距離感をつくり、ラポール(信頼感)の構築につながることがあります。
しかし、特にちゃん付けで呼ぶことで、公私の区別がつきにくくなりますし、特に呼び捨てで呼ぶことで、教師が上から目線でものを言うような権威勾配が構築され、場合によって威圧感を感じさせたり、心理的安全性をゆるがしたりします。学校では公平な心理的安全性が指導のしやすさにつながります。「さん付け」にするだけで、自然と“教育的な距離”ができます。
例:「はるか、出して」→ 距離が近い、公私混同、威圧感
「はるかさん、お願いします」→ 公私の区別をわきまえた安心感
公平感を与えるから
呼び方が子どもによって違うと、「先生、あの子には特別優しい……?」と、他の子の心がざわつきます。4月は全員が“評価に敏感”なので、呼び方の統一は絶対です。
また、教師の口調も、「です」「ます」の丁寧語を使うことを心がけてください。規律の中で、お互いに敬意をもって接するという、社会の最も基本的なルールを体現することになるからです。
②子どもの言葉遣い
若手の先生は子どもとの年齢が近く、きょうだいのように思われることもあるでしょう。そこで子どもたちはついつい普段の口調で話しかけてきたりします。また、低学年の場合、単純に敬語を知らない、という背景もあるでしょう。
しかし、是非とも教師と子どもたちの間では、丁寧語を使うことを浸透させてください。
その理由は3つあります。
学校の教育目標のひとつだから
学校の教育目標のひとつとして、教育指導要領の中には、低学年から段階的に「相手や場面に応じた言葉遣い」を学ぶよう定められています。適切な言葉遣いは、社会的な資質や能力を育むうえで絶対に必要なことで、これを学ぶ機会がないと、子どもの将来的な不利益につながります。
相互に尊重し合う意識や、規範意識が育つから
学級は規律を維持することで成り立ちます。そして、規律とは人間関係において、相互に尊重し合うことで作られていきます。丁寧語は、教員と児童、児童と児童が尊重し合う“教育的距離感”を作ってくれ、学級の規律を整えます。ため口が続くと、先生の指示が通りにくくなり、荒れの芽になります。
言語感覚が伸びるから
丁寧語は、状況に応じた言葉選びの最初の学習です。言葉の切り替えができる子は、文章理解・相手意識・表現力が伸びやすいと言われています。
【丁寧語を浸透させるための簡単3ステップ】
1 モデル提示(黒板に書く)
黒板に、
「先生、◯◯してもいいですか?」「先生、手伝っていただけますか?」など、使ってほしい文を“見える化”して提示します。
2 その場でやさしく言い直す
叱らず、淡々と明るく言い直しを促すのがコツです。
子ども「先生、これやって!」先生「“これを見てください”だね。もう一回言ってみよう」
怒られなければ、子どもはすぐ慣れます。
3 ロールプレイで“全員で練習”する
朝の会で2分間、「プリントがほしいときの言い方練習」などミニロールプレイを入れてみましょう。実際に子どもたちがやってみることで、クラスの“ことばの空気”は驚くほど整います。
イラスト/しゅんぶん

内田仁志(うちだ・ひとし)。
環太平洋大学准教授。栃木県の小中学校で三十余年、子どもたちと向き合いながら学級づくりや国語科の授業に取り組んできました。現場にいる頃から大学や地域の研究会に関わり、先生同士が学び合う場づくりを続けています。現在は、その経験を生かして環太平洋大学独自の教員の実践力養成講座「青年教師塾」を中心に、学生や若手の先生方と一緒に成長できる学びの場を全国へ広げる準備を進めています。専門は国語教育・初等教育。著書に『国語教師のための「反論の技術」入門』(明治図書)、ほか共著も多数。現場の悩みに寄り添いながら、明日の教室で使えるヒントをお届けします。
