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【木村泰子の「学びは楽しい」#46】低学年の学びの問い直しを

連載
木村泰子の「学びは楽しい」【毎月22日更新】

大阪市立大空小学校初代校長

木村泰子

すべての子どもが自分らしくいきいきと成長できる教育のあり方について、木村泰子先生がアドバイスする連載第46回。今回は、近年急増する低学年の不登校について、その原因と対策を考えていきます。(エッセイのご感想や木村先生へのご質問など、ページの最後にある質問募集フォームから編集部にお寄せください)【 毎月22日更新予定 】

執筆/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

 

【木村泰子の「学びは楽しい」#46】低学年の学びの問い直しを 
イラスト/石川えりこ

低学年の「不登校」激増する

2025年10月に発表された最新情報では、2024年度に不登校だった児童は、小学校では13万7704人(前年度比7334人増)になり35万人を超えて、12年連続過去最多となりました。次から次に「不登校支援」対策が打ち出されてきているにもかかわらず、過去最多の残念な事実をつきつけられているのです。

近年特に小学校で顕著なのは、低学年の「不登校」の激増です。これまでは小学校の「不登校」は少なく、中学校に入ると学校に行けなくなると言われていましたが、その当時から、「小学校で不登校の種をまいて芽を出しているのをそのままにして、中学校で残念な結果になっているだけだ」と私は言い続けてきました。この10年間の「学校教育」の結果がこのような残念な子どもの事実として「見える化」してきたのだと思います。

では、どうして低学年の「不登校」が激増したのでしょうか。

義務教育のスタートを踏みはずさない

義務教育のスタートの学年、これが1年生です。「主体的・対話的・深い学び」の6年間の基礎をつくるのが1年生です。

従前の学校文化の中には、1年生を担当する教師は、まず、学校としての決まりや学習規律をいかに教え込むか、違う表現をすれば、1年生の間に学校生活の「しつけ」をきちんと行うことが、1年生の教師のするべきことだと考えられてきた傾向があります。1年生はベテランと言われる教師が担任し、小学校という「スーツケース」の中に子どもたちをうまくはめ込むことが求められてきた感があります。例えば、50年前の社会で求められていた学校の役割は、この手法で担うことができてきたかもしれません。ところが、現在の社会状況は大きく変化しています。

社会のニーズに応じて変わり続けるのが学校です。それでなければ、小学校での6年間の学びが、卒業後の10年後、20年後の社会で「生きて働く力」にはつながらないことは明白です。

「学び」の目的を明確に

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