入学式に信頼を得る小一担任が教室で行うクイズと保護者挨拶とは
一年生の担任になったら、入学式を迎えるにあたり、どのような心構えが必要になってくるのでしょうか? 入学式当日を中心に、服装から担任としてのふるまい、保護者へのあいさつまでを紹介します。
執筆/千葉県公立小学校・藤木美智代
目次
担任としての心構え
入学式当日は、子どもにとっても保護者にとっても人生の節目となる一日。厳粛で清新な式と、新たな生活への希望を持たせる学級活動、どちらもおろそかにはできません。担任は、気を引き締めるとともに、明るくあたたかく子どもたちを迎えられるよう心がけましょう。
コンディションを整え、明るい笑顔で
前日は早めに休み、ベストコンディションで臨めるよう体調管理が大切です。いつもより少し早めに起き、鏡で笑顔のチェックをしましょう。そして、しっかりと朝ご飯を食べましょう。
服装にもひと工夫
明るく、さわやかな、春らしい装いを心がけましょう。男性の場合、黒や紺のスーツなら、胸に明るいコサージュなどを付けたり、色のあるシャツやネクタイを選びましょう。女性は白やピンク、クリーム色などの優しいイメージの色遣いで装いましょう。靴はヒールを避け、動きやすいものを用意しましょう。
教室はすっきり、美しく
他学年の職員や子どもたちによって、教室環境は整えられていると思いますが、最終チェックはやはり担任の仕事。名前や配付物がきちんとそろっているか確認します。花などを飾り、整理整頓をして、ほこりやゴミのない清潔な教室に整えましょう。
名前の確認、呼名の練習
机、ロッカー、下駄箱などには、一年生向けにひらがなで名前が書かれていると思います。読み方が難しい名前も多いので、もう一度確認しましょう。声に出して読み、決して呼名で言い間違えることのないようにしましょう。一年生は、漢字の読み方が違っていても、自分で訂正することはできません。
一日の流れの確認をぬかりなく
受付、入学式入場、学級活動、下校、それぞれの時刻をきちんと頭に入れ、見通しを持って進めていきます。しかし、新一年生のことですから、突然、トイレへ行きたくなったり、泣き出したりする子もいます。慌てず臨機応変に対応することも大切です。
入学式では、元気に返事
入学式で担任発表があります。校長先生に名前を呼ばれたら、大きな明るい声で「はいっ」という返事をしましょう。子どもたちのお手本になる返事を心がけます。そして、とびっきりの笑顔で、子どもたちの前に立ち、全員を見渡して「よろしくお願いします」とあいさつをします。
楽しく学ぶ学級開き
入学式終了後、教室で保護者の方も一緒に担任の話を聞きます。たとえ短い時間でも、「最初の授業参観」だという自覚をもって演出することが大事です。なぜならば、これが担任の信頼を得る絶好の機会だからです。
入学式の態度をほめ、今日から□□小学校の一年生になったこと、クラスは一年◇組であることを確認します。
その後、私はいきなり問題を出し、子どもたちとやりとりをしながら、学校の勉強は、こんなふうに楽しいのだということを伝えました。「先生の名前は、○○△△です。いきなりですが、先生についての三択クイズです。」
第一問 ○○先生は何歳でしょう?
①5歳 ②43歳 ③100歳
「①だと思う人? ②だと思う人? ③だと思う人?」
と手を挙げさせます。ほぼ全員が②に手を挙げることでしょう。
「みんな、大正解! さすが一年生」
「あ、おかあさんのほうが若い」
「こらこら、お母さんと比べなくていいですからね」
などと、ちょっと笑いをとりながら、子どもたちとやりとりをします。
そして、
「では、ここで、かっこいい手の挙げ方を練習しましょう。指はピン! 腕を耳にくっつけます」
と言って手の正しい手の挙げ方を指導します。これは、学習のしつけにもなります。
第二問 先生の飼っている動物は何でしょう?
①ライオン ②キリン ③犬
これも、ほとんどみんな正解するでしょう。
「さあ、どうかな? 答えは……③」
「いえ~い!」
「どうしてライオンやキリンじゃないってわかったの?」
と尋ねると、
「キリンはね、屋根から首が出ちゃうから」
「キリンは屋根の上だから、えさをあげられないから」
「ライオンは、人間を食べちゃうでしょ」
「ライオンは、お家の中で暴れるから、飼えないよ」
などと話し始めます。
「すごい。理由を上手に言えましたね」
などとほめてあげます。
第三問 最後に一年生らしい、すてきなお返事はどれでしょう?
①はぁ~い ②はいはい ③はいっ!
「答えは③。みんな正解。それでは、みんなで練習しましょう」
「はいっ!」
このように、発表の仕方や返事の仕方まで練習させました。このあと、一人ひとりの呼名をすると、どの子もきちんとした返事ができます。
一年生の最初の三択クイズの答えは、正解がはっきりしているものを一つにし、不正解は、おおげさなもの、ありえないもの、笑えるもの等にします。選んだ理由を問うのであれば、理由が言いやすいものを考えましょう。
子どもたちが生き生きと話を聞いたり、手を挙げたりする様子を見せることで、保護者も安心感を持って小学校生活をスタートさせられると思います。このような演出を工夫してみましょう。
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保護者にも安心感を
保護者に向けてのあいさつ
子どもたちと楽しくやりとりをした後は、保護者向けのあいさつです。学級経営方針や教育に対する信条などを短く、しかし印象強く話すことが重要です。
私は、子どもたちが毎日、期待を胸に登校し、満足を胸に下校する、そんなクラスをめざしています。一人ひとりのお子さんの良さを大切にして、成長を支えていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
明日からのこと
先一週間の予定表を配付し、学習内容や持ち物を知らせます。細かいことは追々連絡していくことを告げ、あまり気負わないよう、明日、また元気に学校に来てほしいことを強調します。
イラスト/大橋明子
『小一教育技術』2016年4月号より