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運動会へ向けて子供とつくる組体操【運動会で子供が輝く組体操!】③

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運動会へ向けて、組体操に取り組む学校が増えています。運動会で組体操を発表することを通して、子供たちに一体感が生まれ、達成感や自己肯定感も高まると聞きます。「運動会で子供が輝く組体操!」を3回シリーズで紹介します。第3回の今回は「運動会へ向けて子供とつくる組体操」です。運動会に向けて子供たちが組体操実行委員会を組織して、組体操に主体的に取り組む方法を紹介します。初めて組体操を取り組むという先生方も、ぜひこの連載をヒントに組体操に取り組んでみてください。

監修/埼玉県組体操協会・戸田 克

組体操 円形

計画しよう! 私たちの組体操

組体操に子供たちが主体的に関わることは、学級・学年経営にも大きな効果をもたらします。運動会で行う組体操は、一人一人が自分の役割を認識し、他者と協力して1つの技を完成していきます。そこで生まれる問題解決能力やコミュニケーション能力、協調性は学級経営に生きていくものが多くあります。教師が一方的に提示するのではなく、子供たちが自分事として関わり、主体的に取り組むことで、子供たち一人一人の成長と、よりよい集団形成が期待できます。

ここでは、子供たちが主体的に取り組む手立てとして、「組体操実行委員会を組織する」を紹介します。事前に準備が必要となりますので、運動会の練習開始に先立って、見通しをもって進めていきます。

組体操実行委員会を組織しよう

組体操への取り組みを、教師からの一方通行で行うのではなく、子供たちが組体操実行委員会を組織し、参画できるようにすることで、子供たち主体の組体操をつくり上げる道筋を示します。“ 卒業式実行委員会”“ 修学旅行実行委員会” など、ほかの行事と並行して実行委員会を組織するところもあるでしょうから、組体操に取り組む学年で、あらかじめ話をしておくことも必要となります。

【組体操実行委員会の主な活動例】
(1)組体操実行委員の決定
(2)テーマや技の決定に向けた話合い
(3)「組体操」への取り組みに向けた思いの集約・発表
(4)技の演示(演示者の選定や練習)
(5)練習ごとの準備・片づけ、集合・整列の声かけ


組体操実行委員が率先して行い、子供たち全員が主体的に取り組める活動となるように、主担当の教師と実行委員会、子供たちとの関係を構築し、教師が必要に応じて助言を行います。

(1)組体操実行委員の決定

❶実行委員の活動内容と人数の説明

○活動する時間:全体練習の前日または当日の休み時間などに集まり、次の練習で行う技の確認や流れを共有したり、技の練習をしたりする。
○人数:各クラス2人程度。
○具体的な活動内容:技の手本を示す(実際に行ったり、演示者を決めたりする)、周知したい内容の伝達、創作技コンテストの進行など。

❷決め方の留意点

実行委員は立候補で募ります。立候補した子供たち一人一人の意志を尊重しつつ、組体操への思いが伝わるよう、事前に決意の言葉を指導しておくことも大事です。

(2)テーマや技の決定に向けた話合い

組体操のテーマや取り組む技の決定について、組体操実行委員会が中心となって進めていきます。具体的には、アンケートを実施し、その回答から子供たちの願いや希望を集約していきます。テーマから、どんなイメージで技を行うのか、何に見立てるのかを話し合いながら、技や順序(流れ)、場面を決めていきます。この段階ではまだ確定ではなく、何度か試してイメージと合っているかを確認し、練習を進めていく中で、無理が生じたら修正しながら仕上げていきます。

子供たちは十分な経験がありませんので、すべて任せるのではなく、教師が大枠を示したり、助言したりしながら、子供たちが主体的に進められるようにしていきます。

子供たちが話し合うを行う
子供たちが主体的に話合いを行う

【アンケート実施の流れ】
①組体操実行委員会でアンケート実施を決定し、質問項目・回答形式を考え、アンケートを作成する。
②組体操実行委員が対象学年の子供にアンケートへの協力を呼びかける。
③組体操実行委員会でアンケート結果を集約し、演技のテーマや採用する技を検討・決定する。
④決定した内容(テーマ・技・演技構成)を対象学年の子供と共有する。

アンケートでは、テーマとそれに応じた技の希望など具体的な取り組みに関するものや、子供たちの組体操への思いや願いなどを質問します。

回答は自由記述でもよいですが、子供の組体操の経験値が高くないことが想定されますので、子供の実態や教師の願い、昨年までの実施例などから選択肢を設定するとよいでしょう。

【アンケートの主な質問と選択肢の例】
1.テーマについて
友情、成長、大自然、生命尊重、宇宙など
●テーマは子供たちの実態や学習につながる事柄を挙げるとよいでしょう。テーマが具体的であると、技の選択や場面構成が比較的しやすくなります。抽象的である場合は、選択する技や場面にどんな意味を込めて行うかを子供たちや観客がつかめるようにします。

2.行いたい技
2人技:高床式倉庫、バベル、ツインピークスなど
●すべての技を選ぶのではなく、2人技や3人技などのいくつかの技に絞るとよいでしょう。昨年行った技を入れると、より具体的にイメージをもつことができます。

3.身につけたい力
バランス感覚、仲間と力を合わせて組み立てる、作品のテーマを表現する、美しさなど
●体育的要素を中心に、組体操で身につけたい力を挙げます。技を行う際に意識することで完成度をさらに高めることができます。

4.組体操を通してさらに成長したいこと
進んで行動する力、よく考える力、仲間を大切にすること、協力することなど
●理想とする具体的な姿を提示します。
●一人一人が目標をもって取り組むことができます。
●組体操に取り組む中で、個々や集団の成長が期待できます。

アンケートには技の写真を入れたり、実施時に動画を提示したりして、組体操を行う意義や身につけたい力、教師の願いなどを十分説明し、子供たちがより具体的なイメージをもてるようにします。

また、アンケートに答えてもらう際、単に用紙を配付するだけではなく、実行委員が組体操を通して何を学び、どのような組体操にしていきたいかなど一人一人の思いを投げかけて、組体操をみんなでつくっていく意識の礎をつくります。実行委員から次のような投げかけをしてもよいでしょう。

2学期には、○○小の大きな学校行事の1つ、運動会が待っています。6年生にとっては最後の運動会、組体操。5年生にとっては初めてとなる組体操です。楽しみという期待、どんな感じになるのかなというドキドキ。私たちも、学年を超え、仲間とともにつくりあげる組体操が楽しみです。皆さんは、どのような組体操にしていきたいですか? また運動会や組体操が終わった後、自分や5・6年生のみんながどのような姿になっていたいですか? 自分の思いを書いてください。

【テーマ・技決め】
実行委員との次のようなやり取りでテーマや技を決めていきます。

(実行委員A)アンケートでは、『友情』をテーマにしたいという声がたくさん挙がったよ。

組体操で『友情』を表現するにはどんな技や場面が考えられるかな。

(実行委員B)一人一人の努力を1人技で表現し、2人技で仲間と力を合わせていくことを実感し、だんだんと仲間が増えていくことを3人技や6人技で表せないかな。

(実行委員C)『バベル』では、仲間を支える姿や、仲間を信頼して上に乗る姿を表せるよ。ほかにも『高床式倉庫』や『ツインピークス』も、仲間を信頼し、力を合わせるからこそできる技だね。

組体操を行うみんなは、そのことを感じながら行えるね。見ている人たちにどのように伝えようか。

(実行委員D)場面ごとに、技1つ1つに、意味を込めていることをアナウンスすると、その場で伝わるかな。

(実行委員E)たくさん拍手がもらえるように、技の見どころも事前に伝えておきたいね。実行委員会で観覧者用の技一覧をつくろうか。

(3)「組体操」への取り組みに向けた思いの集約・発表

アンケートの集約結果を子供たち全体の前で発表し、組体操練習の開始に向けて意識・意欲を高められるようにします。

(4)技の演示(演示者の選定や練習)

全体への演示に向け、組体操実行委員が事前に練習をします。選出した技が無理なく行えることが確認できたら、演示者を決定します。演示者は組体操実行委員に限らず、あらかじめ技を上手に行える人に依頼してもよいでしょう。

演示に向けた事前練習では、姿勢や技の組み立て方、手のつき方などのポイントを確認し、高さや見栄えを優先するのではなく、安全面に十分留意して行うことの意識を高めます。

技の演示
安全面に十分注意して技の演示を行う

【技の演示の留意点】
○1人~6人技の中で行う。
○男女別や体格差などの配慮をする。
○実態を把握した上で安全面に配慮し、経験が少ない技は無理に行わない。
 (例)中学年での壁倒立が身についていない・『補助倒立』の経験がない→けがにつながる。
○実行委員による技の手本の掲示物を作成してもよい。

(5)練習ごとの準備・片づけ、集合・整列の声かけ

組体操練習開始後の組体操実行委員の活動は、組体操の内容だけでなく、練習にも率先して取り組めるようにします。自分たちでつくる組体操は、準備から始まり、片づけで終わります。子供たち自身が運営面にも携わることで主体性が培われることが期待できます。

〈実行委員が主体となって行う、学習規律・準備・声かけ〉
(例)靴そろえ、服装の確認 、整列の声かけ、用具の準備

ほかにも始業時や終業時における活動を、練習計画を踏まえて子供たちと話し合い、子供たちができることを決めてもよいでしょう。

【戸田先生のコメント】
新しい組体操をつくり出そう
運動会での組体操を子供たちとつくり上げる手立てに「組体操実行委員会」や「創作技コンテスト」「テーマ組体操」「お話組体操」が挙げられます。いずれも、子供たちが今まで取り組んできた体育での学習や過去の先輩方の組体操を振り返り、自分たちの思いや体力に応じて新しい組体操をつくり出すことが期待されます。

※「創作技コンテスト」「テーマ組体操」などの方法や手順、指導のポイントなどは書籍『子どもとつくる 新時代の組体操』に詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。

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