運動会で取り組む初めての組体操【運動会で子供が輝く組体操!】②
運動会に向けて、組体操に取り組む学校が増えています。運動会で組体操を発表することを通して、子供たちに一体感が生まれ、達成感や自己肯定感も高まると聞きます。「運動会で子供が輝く組体操!」を3回シリーズで紹介します。第2回の今回は「運動会で取り組む初めての組体操」です。運動会で組体操に初めて取り組むという先生方も、ぜひこの連載をヒントに組体操に取り組んでみてください。
監修/埼玉県組体操協会・戸田 克

目次
〈運動会〉組体操を発表するときの流れを知ろう
運動会で組体操を発表する際の流れを紹介します。まずは、流れを把握しましょう。
1 方針を決めよう
運動会での組体操指導の主担当者を決めます。複数学年で学級数が多くなる場合は学年に1人とするとよいでしょう。主担当者は、組体操指導にあたり、実施する学年全体の教師で行う会議(組体操会議)に向けて、次の内容の提案資料を整えます。
〈提案する主な内容〉
○テーマ:どんなテーマ(世界観)で行うか
○場面構成:テーマに即して、どんな場面を設定するか
○場面ごとに行う技:技の種類と何人技を使うか
○場面ごとの隊形
○場面で使う曲
○練習計画
○組体操会議の計画
❶テーマ・場面を決める
技そのものを見せる組体操もありますが、小学校では表現種目として実施するため、テーマを決めて行うことが多く見られます。テーマを決めることで場面や技の意味づけができ、子供たちが組体操を行う際に具体的なイメージをもてる特徴があります。
〈テーマと場面の例〉
○テーマ「成長」
第1場面「誕生」:1人技で、生まれたときから小学校入学前までを表す。
第2場面「出会い」:2人技・3人技で、友達と出会い、力を合わせるよさを表す。
第3場面「仲間」:5人技などで友達と協力して何かをつくり出す喜びを表す。
第4場面「成長」:集団演技などで社会の中でそれぞれが力を発揮することを表す。
〈1人技例〉


〈2人技・3人技例〉


〈5人技・集団演技例〉


❷技を決める
テーマや場面構成がおおよそ決まると、場面ごとの技も決まってきます。例えば、1人技はバランス感覚や腕支持感覚など体育で身につけた感覚を生かした技ですので、体育学習の成果発表としても行う意義があります。
すべての人数技において、選んだ技が適切かどうか、子供たちの実態をもとに確認をします。例えば、『補助倒立』は高学年のマット運動に例示されている技ですが、壁倒立を十分習得していない場合、けがをしてしまう危険を含んでいます。実態に応じて『腕立て姿勢から補助倒立』とする、代替技を行うなど選択肢に幅をもたせておくとよいでしょう。練習を進めていく中で、技の入れ替えや追加・削除も柔軟に行っていきます。
❸隊形を決める
技そのものを見せる場合は体操隊形がよいでしょう。テーマの情景を表す場合はイメージに合わせて隊形を選択します。同じ技でも隊形を変えると、違った印象を与えることができます。子供たちが行う技数を増やさずに、隊形など演出を工夫することも教師の腕の見せどころです。隊形を変えることで場面が変わったことも伝えられます。
集団演技では、横1列になったり、大きな円をつくったりと隊形が重要となります。場面を決める際におおよその隊形もイメージしておくとよいでしょう。
❹音楽を決める
組体操の技を行うときに音楽に乗せて行うことが主流となっています。曲の使い方として、①BGMとして使う(技の合図は教師が行う)②サインミュージックとして使う(拍や盛り上がり、歌詞に合わせて技を行う)の2通りがあります。後者は子供が曲を覚える必要がありますので、その時間の確保も必要になってきます。
曲は、はやりの曲でもよいし、組体操で定番として使っている曲でもよいでしょう。アニメや特撮、ドラマ、映画などのサウンドトラックは場面をイメージしてつくっているものが多いので、テーマに即した表現につながることもあります。曲を使用する場合は、あくまでも子供の演技が優先であって、曲に合わせるために子供の演技に負担がかからないように留意します。
❺管理職に報告する
組体操の計画ができたら管理職へ報告をします。特に行う技の指導について、安全に留意した指導を進めることを文書で報告します。指導計画を明確にし、無理のない範囲での指導であることを伝えます。
報告のタイミングはあらかじめ管理職と相談しておき、技の指導についてのみでよいか、指導計画まで必要かを確認しておきます。
2 練習計画を決めよう
実施する組体操のテーマやおおよその技、場面が決まったら練習計画を決めます。練習時間は限られていますので、無理のない計画を立てます。この時点で技や場面を盛り込み過ぎていないかを確認しておきましょう。
第1時のオリエンテーションで、テーマや場面、行う技の紹介と体験を行います。組体操実行委員会や創作技コンテスト、テーマ組体操などを行う場合は、さらに時数が必要となりますので、組体操への取り組みを早めに始めるよう、組体操を実施する学年の教師全員で見通しをもって進めていきます。
練習計画時に必ず確認しておきたいのは、指導分担です。主担当が主に全体指導を行います。主担当以外の教師は自学級だけでなく全体の子供と関わり、個別に指導・支援を行います。ただし、主担当が一斉指導を行っているときは個別指導を行わず、主担当の話を子供たちがしっかり聞くよう促します。また、音楽をかけたり、けがをした子供や体調をくずした子供の対応をしたりします。
3 資料を準備しよう
子供たちへの組体操指導の最初の時間は、オリエンテーションを行います。オリエンテーションでは、どんなテーマで行うのか、行う技の候補、組体操で身につけたい力、練習にあたっての心構えなどを話します。また、子供が自分で確認できるように、場面や技、隊形図が一覧できる資料を作成します。
❶オリエンテーションの柱と内容例
オリエンテーションは今回行う技や場面(全体像)を紹介し、組体操を学習する上での心構えを伝え、子供たちの意欲を高めます。
❷技紹介
子供たちが技の流れをつかめるように、技カード(技を掲載した写真)を使って、行う技を演技順に並べて資料をつくります。写真は姿勢、腕や脚の伸ばし方などのポイントがわかるようにあまり小さくし過ぎないようにします。また、必要に応じて技のポイントや組み立て順を示してもよいでしょう。

❸組体操学習ノート
技資料やオリエンテーションでの話を紙の資料にまとめたもの、さらに毎時間のまとめ・振り返りの欄を加え、画用紙の台紙に貼っていくことで、組体操学習ノートをつくることができます。隊形図や場面の説明、練習計画なども必要に応じて加えてもよいでしょう。資料の充実を図ることで、子供たち自身が技や場面の理解を深め、主体的な学習が期待できます。
〈運動会〉組体操の隊形と入退場の配置を決めよう
運動会で披露する組体操の隊形や入退場での配置を決めましょう。
1 隊形の決め方
組体操の隊形は縦列の体操隊形を基本とします。1人技や2人技、3人技など、技を中心とする場面では体操隊形で行い、集団演技を行う場合は同心円や対角線など場面のイメージに沿った隊形で行います。組体操を行う子供たちの人数と運動場(トラック)の大きさ、場面のイメージを考慮して、隊形を決めていきます。場面のイメージを表す際は配置を工夫するとよいでしょう。作品・場面のイメージを具体化する隊形を決定し、子供たちと共有していきます。入退場などで、隊形を移動する場合は、隊形図に矢印などで移動の方向を書き加えると、動きをとらえやすくなります。
2 入退場
入場・退場や場面ごとに隊形を変える際の移動は、駆け足を基本とします。演出の上で、行進や側方倒立回転などを入れて変化を起こすのもよいでしょう。
❶入場して縦列の体操隊形に並ぶ
トラックの後方(または外側)から入場して縦列の体操隊形に並ぶ方法には、「会場後方で縦列に並んで待機し、入場する(駆け足)」「会場後方で横に広がって待ち、順に入場する(駆け足)」などがあります。
❷退場
退場は、最後の演技場所からそのまま列をなして走り去ったり、一度集まって走り去ったりします。
最後の演技の後に中央横列に整列して、あいさつをするエンディングを取り入れると、左右対称な動きで退場することもできます。
※実際の練習や当日の指導、振り返りなどは書籍『子どもとつくる 新時代の組体操』に詳しく紹介していますので、そちらをご覧ください。
【戸田先生コメント】
組体操の技を保護者に伝えておこう
運動会での組体操では、作品にテーマを設定して、子供たちが行う1つ1つに技、場面に意味が加わることで、行っている子供たち、見ている人たちが世界観を共有することができます。運動会当日、世界観を共有するためにアナウンスやBGMを工夫したり、事前に作品紹介を学年だよりなどで保護者に伝えたりしておくと、子供たちの演技がより一層際立ちます。
